ミニレビュー
ハイレゾ鑑賞用ヘッドフォンに選んだソニー「MDR-Z7」の“素敵さ”とは
(2015/1/22 09:30)
ネットで「ポチッ」とするだけで、当日か翌日には商品が届いてしまうこのご時世に、何度も実店舗に足を運んで吟味したのはいつ以来だろうか。そんな記憶はもうほとんど思い出せないが、ともかく、年末年始を挟んでたっぷり時間をかけ、最終的に購入に至ったのが、ソニーのヘッドフォン「MDR-Z7」だったのである。
ハイレゾ音源をしっかり鑑賞できるヘッドフォンを、と思って他メーカーの製品も試聴しながら探していたわけだけれど、簡単に言えばコストパフォーマンスの良さ、将来への期待感から、MDR-Z7が「素敵すぎる」と感じて選んだのだ。じゃあ、どんなところが「素敵すぎる」と思ったのか、ちょっとご紹介したい。
あまり素敵とは言えなくなった非ハイレゾヘッドフォン
と、その前に、それまで個人で所有して使っていたヘッドフォンのことを話そう。筆者はソニーのスタジオモニターヘッドフォン「MDR-CD900ST」を数年前から愛用しており、頑張って自分でリケーブルもした。この製品自体はプロにも使われている実績があり、飾り気のない“素の音”が聴けるという意味では大変重宝するのだが、ハイレゾにマッチした製品かと問われると、やっぱり時代遅れの感は否めない。
単純にスペックだけ見てもハイレゾには不足気味(MDR-CD900STの再生周波数帯域は5〜30kHz。(オーディオ協会の定義では40kHz以上を求めている))だ。そもそもモニターヘッドフォンという性格から、全域がフラットな音の出方になっていることもあり、音楽を長時間気持ちよく聞き続けるというタイプの音質でないことも、“ハイレゾ鑑賞”に合っていない部分と言える。これまでソニーのヘッドフォンについては「MDR-1RMK2」などをお借りしていたこともあり、それらと比べるたびにMDR-CD900STの“物足りなさ”が募っていくばかりだった。
そんなわけで「本気でハイレゾを聴く」ためのヘッドフォンを選ぶべく、ヘッドフォン・イヤフォン専門店や家電量販店に通い、ハイレゾ音源を仕込んだノートPCとヘッドフォンアンプを持ち込んで、試聴用のヘッドフォンを取っ替え引っ替えしながら一心不乱に聴き込んでいった。
音を鳴らすのが楽しすぎたMDR-Z7
最終的に絞り込んだのは、MDR-Z7のほか、ゼンハイザー「HD650」と「HD800」、HiFiMAN「HE-560」の計4機種。このうちHD650はMDR-Z7は、5万円程度の似たような価格の製品だが、HD800とHE-560はそれより2ランクほど上の価格帯となる。そういう面から見れば後者の2機種は本来比較に適さないモデルなのかもしれないけれど、結果的にはMDR-Z7のコストパフォーマンスの高さに気付ける悪くないチョイスだったと今は思える。
どの製品も音の解像感の高さは文句なし。特にHE-560は、他とは異なる平面型と呼ばれる振動板を採用しているためか、圧倒的な音場の広さが魅力だった。が、結局は約10万円という値段がネックに。HD800は値段の問題もさることながら、音の堅さがどちらかというとクラシック向けという雰囲気があり、プライベートと仕事の両方で使うことを考えると、もう少し汎用性が欲しいと思えるところがあった。HD650も似た傾向にあるものの、音質としてはHD800に曇りがかかったような印象。
対してMDR-Z7は、これら3機種とはまた別の方向性にあるヘッドフォンに思えた。他の3機種がトラディショナル、あるいはエレガントをイメージさせるタイプだとすれば、MDR-Z7はもっと親近感のある音で、「大人カジュアル」とでも言えば良いだろうか。何より低音の充実度とキレが格段に良く、HD800やHE-560ほどではないが、繊細さや音の広がりも十分に感じられる。幅広いジャンルの曲を鳴らしきる余裕があるような気もした。
性格が全く異なるし、HD800やHE-560にも劣らない! などと言うつもりは全くないが、実売5〜6万円でここまでのクオリティが得られるのは、はっきり言って衝撃的(それでもヘッドフォンとしては十分高額な部類に入るが)。ソニーのヘッドフォンに触れる機会が多いせいで、その音の傾向に耳が慣れていることもあるのかもしれない。しかしそれを考慮に入れたとしても、あまりにも音を鳴らすのが楽しかった。
音質も、装着感も最高なMDR-Z7
購入してから自宅で聴いてみた後でも、その印象に変わりはない。改めてMDR-CD900STと比べてみると、全体にかかっていた“もや”みたいなものがすっかりなくなり澄み切っている。ボーカル曲ではBGMと入り交じっていたのが、ボーカルはボーカル、楽器は楽器と、しっかり聞き分けられる抜けの良さもはっきり体感できた。重低音の聞こえ方はもはや比較にならない。
また、細部まで聴き取ろうとボリュームを上げていくと、MDR-CD900STは全体が音の塊となって津波のように押し寄せてくるのに対し、MDR-Z7の方は、波が寄せては返す渚に自分から近づいていく感じ。聴きたくないところは目立たせることなく、聴きたいところだけしっかり耳を傾けることができる。
耳周りをすっぽり包み込む、大口径ハウジングの安心感もすばらしい。側圧は強すぎず、音質面でも物理的な面でも、音楽鑑賞を数時間続けていても全く苦にならない。ただ、密閉型とはいえ音漏れは比較的大きい。持ち運びに適したサイズとは言えないので外出時に使うことはないだろうが、近くに人がいれば何を聞いているのか悟られてしまうことがあるので、その点には注意が必要だ。
高音質化へのステップアップが面白いMDR-Z7
個人的にはかなり満足度の高いヘッドフォンではあるけれども、現状でどのジャンルの楽曲でも最高のパフォーマンスを出せるかと言えば、そうではないかもしれない。とりわけクラシックでは、広大な音場を余すところなく再現できているとは言いがたい。が、あくまでもそれは“現状”の話。MDR-Z7のそういった弱点と思える部分は、今後容易に克服できそうだ。
というのも、現在は付属のアンバランスケーブルで使用しているのだが、おそらくMDR-Z7が本来の性能を発揮し始めるのは、さらに高品質なケーブルにリケーブルしてからだろう、と思っているから。KIMBER KABLEの協力のもと開発したアンバランスステレオミニケーブル「MUC-B12SM1」(1.2m/実売同22,000円前後)がすでにMDR-Z7用として発売されており、これに変えるだけで一段上の音を聞かせてくれる、はず。
さらにバランス接続できれば、また違った音の世界が広がるのではないかとワクワクしている。バランスケーブルについても、付属品として用意されているのに加え、同じくKIMBER KABLE協力の「MUC-B20BL1」(実売24,000円前後)もある。ソニーのポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-3」と組み合わせてバランス駆動することで、大幅なクオリティアップを果たせるに違いない。
一気にバランス接続にジャンプアップするのもいいが、少しずつ段階を踏んで音質の向上と自分の耳の“慣らし”を楽しめそうなのも、MDR-Z7の面白さではないだろうか。
バランス化のコストと選択肢の少なさが泣けるMDR-Z7
そんなステップアップが楽しめるMDR-Z7だが、最大のハードルはやはり価格。別売ケーブルは実売2万円以上、PHA-3は実売7万円前後で、バランス化までしようと思うと計10万円近くの追加投資が必要になるのはさすがに腰が引ける。3.5mmミニ(3極)×2本というバランス接続に対応する他社製品がほとんどなく、現時点では実質的に付属バランスケーブルかMUC-B20BL1を使い、PHA-3と組み合わせないとバランス駆動できない選択肢のなさも残念なところだ。
ヘッドフォン本体側の端子が3極のステレオミニで、MMCXなど、他社で多く採用されている端子ではないものの、特殊な端子というわけではないので、いずれはサードパーティー製のリケーブル品も増えてくるのではないか、と想像しているのだが、どうだろうか。その前に辛抱たまらずPHA-3を購入してしまいそうな自分が、ちょっと怖い。
| ソニー
MDR-Z7 |
ソニー
バランス駆動用ケーブル MUC-B20BL1 |
ソニー
PHA-3 |
|---|---|---|
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