イスラム国邦人人質:「日本人もスパイと誤解される…」
毎日新聞 2015年01月20日 23時45分(最終更新 01月21日 00時25分)
◇日本政府関係者「安易な渡航は絶対に控えて」
「渡航の自由は憲法で保障されているが、イスラム国では日本人は欧米人と同様にスパイなどと誤解され、拘束されかねない危険な情勢が続いている。安易な渡航は絶対に控えてほしい」。イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」とみられる組織が20日、日本人2人を拘束している映像と身代金を要求するビデオ声明をインターネット上に公開したことを受けて、日本政府関係者は、国内の一部にある渡航の動きについてそう強く警告する。
昨年11月上旬、東京都内の日本人女性とアルジェリア系フランス人の夫がシリア隣国のトルコに出国後、連絡が取れなくなった。夫妻はいずれも20代のイスラム教徒で、イスラム国の支配地域に渡航する意向を周囲に伝えていた。
イスラム国は、イスラム国家樹立を目指し、全世界のイスラム教徒に支配地域への移住を呼びかけている。計画を把握した公安当局は自粛を求めたが、夫妻は「シリア内戦による難民や遺児を助けたい」と説明し、出国した。公安当局は夫妻がイスラム国支配地域に入った可能性があるとみている。
警察庁は20日、今回の事態を受け、警備局長をトップとする112人態勢の対策本部を設置し、ヨルダンに長期出張中の職員を国際テロリズム緊急展開班(TRT−2)要員としてアンマンで情報収集などの活動をさせることを決めたが、国内の外交・治安当局にできることはそれ以上ないのも事実だ。
警察幹部は「(私戦予備容疑で渡航前に旅券を差し押さえた)昨年10月の北海道大生のような罪名があれば手を打てるが、それでもいつかは返さなければならない。外務省のホームページなどで危険性を認識してもらうしかない」と話す。【岸達也、長谷川豊】