津波で教習生死亡 自動車学校に賠償命令1月13日 12時20分
東日本大震災の津波に巻き込まれて死亡した、宮城県山元町の自動車学校の教習生など26人の遺族が損害賠償を求めた裁判で、仙台地方裁判所は「学校には速やかに教習生などを避難させる義務があった」と指摘し、遺族側の訴えを認めて、学校に19億円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。
山元町の常磐山元自動車学校の教習生25人とアルバイトの女性1人は、地震からおよそ1時間後になって送迎バスで避難する途中などに津波に巻き込まれて死亡し、遺族が「学校が教習生を待機させ続けて避難が遅れた」として賠償を求めていました。
学校側は「大津波の到達を予測するのは不可能だった」として争いましたが、13日の判決で、仙台地方裁判所の高宮健二裁判長は「教官の一部は消防署の車が避難を呼びかけているのを聞いていたと考えられ、その時点で津波が襲来する可能性を予測できた」と指摘しました。
そのうえで「速やかに教習生などを避難所や送迎先に送り届ける義務があった」と述べて、すべての遺族の訴えを認め、学校に合わせて19億円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。
判決を受け、亡くなった教習生の父親で原告の寺島浩文さんは、「勝訴ということでまずは、ほっとしました。きょうまで遺族全員が一緒に頑張ってきたので、子どもたちも喜んでいると思う。子どもたちには頑張ってここまで来たよと報告できればいいと思う」と話しました。
震災の津波で犠牲になった人の遺族が幼稚園や企業などに賠償を求めた裁判では、宮城県内で1審の判決が4件出ていて、遺族側の訴えが認められたのは、おととし9月の石巻市の日和幼稚園に次いでこれが2件目です。