朝日新聞社の渡辺雅隆社長は5日、記者会見を開いて「信頼回復と再生のための行動計画」を公表した。行動計画の理念は、①公正な姿勢で事実に向き合う②多様な言論を尊重する③課題の解決策をともに探る、の3点。社外からの記事への指摘や意見を総合的にとりまとめ、報道に生かす「パブリックエディター制度」の導入などを盛り込んだ。

 朝日新聞社は、東京電力福島第一原発事故にからむ「吉田調書」に関する記事を取り消したほか、慰安婦報道の検証特集で謝罪しなかったこと、それに関連して池上彰さんのコラム「新聞ななめ読み」の掲載を見送ったことで批判を受け、当時の木村伊量社長らが辞任した。こうした一連の問題を受け、社内組織である「信頼回復と再生のための委員会」が、4人の社外委員を加えて再生策を検討してきた。

 渡辺社長は、信頼回復に向けた今後の具体的な取り組みとして、「パブリックエディター制度」の導入のほか、多様な意見を載せる「フォーラム面」の設置▽訂正記事を集めるコーナーの新設▽調査報道をさまざまな形で充実▽読者と対話する「車座集会」を全国各地で開催▽経営に社外の意見を反映する仕組み作り▽改革推進に向けた研修実施や指標の設定、を挙げた。