高知県の北東部。ちょっと前までにある 物部村 という地名だった場所がある。現在は 香美市 。
「物部」という名前だけで何かありそうな感じ。
地形的にも、険しい山々に囲まれていて、村の外と孤立している感じがある。
この場所に中世から延々の伝承し続ける民間信仰がある。
それは、「 いざなぎ流 」「 いざなぎ流神道 」という名前で伝わる。
こんなオカルト臭がする話、ボク大好き。
これだけでご飯が進む。
でも実際は、ボクに余分なメシを食わせるような、オカルトチックなものではない。
歴史の流れの中で自然に出来、色々な要因でたまたま生き残ってきた、貴重なこの地域の文化だ。
中世の頃は、今ほど物や人の行き来が自由にできないので、もっと地域地域で生活が自立していた。
生活慣習や文化も、その地で独自のものを持っていた。
神道と仏教などの影響を受けながらも、その地の生活習慣や文化を基にした信仰が各地にあったはずで、その一つがこのいざなぎ流だと思われる。
それらほとんどすべては、政治やその他の権力、思想、科学技術などのフィルターを通る中で、変化したり消えて行ってしまった。
でも、なぜかこの地だけにははっきりとした形で残っている。
このレア感。ボク大好き。
もうご飯が止まらない。
特徴
超ご当地宗教
この宗教、 高知県物部村だった範囲にしかない 。
過去にも、特にこの村以外に広がった記録がない。
このご当地感に、ご飯が進む。
宗教体系が超オリジナル
大抵の宗教は、それを統括する組織があるが、この宗教にはない。
この宗教は、異常な多さの知識やルール的なものがあって、これをマスターした「 太夫(たゆう) 」と呼ばれる人達が、自分が師匠から伝承した方法で、それぞれ活動する。
太夫の仕事は、神様を祭ること、病気を治すための祈祷、占い、自然災害などを防ぐための祈祷がある。
神社的なものは無い。
太夫は、普段は一般の人と同じように活動し、儀式などに呼ばれると、その場所に出張して仕事を行う。
この、普段は一般の人と同じように活動しているという、裏の顔感。
ご飯が進む。
この太夫にはどうやってなるか。
それは、なりたいと思う人がそれぞれ太夫に弟子入りし、師匠から知識の伝承を受ける。
この伝承は、10年以上をかけて行う。
それだけ膨大な量の知識がある。
そして、同じいざなぎ流といっても、流派があり、ある太夫に弟子入りすると、他の太夫への弟子入りはできないらしい。
この太夫という存在は、高知の他のエリアにもいるらしいが、体系だった形で活動しているのは、いざなぎ流しかない。
神様いっぱい
知識が膨大と書いた。
これは神様がいっぱいいることに寄るところが大きい。
とにかく多い。200柱以上いる。
この村の人口が3000人強なので、5%以上が神様だ。
ノーゴット、ノーフューチャーなトーキョーと比べると、ヘヴン過ぎる場所だ。
この宗教の儀式に、一番のビッグイベント言える「 日月祭 」というものがある。
この儀式では、村の神様を片っ端から祭る。
いざなぎ流には、神社的なものが無いと書いたが、仏像のような拝む象徴とするものも無い。
必要となった時に、「 御弊 」という神様の像を紙で作る。
御弊は、神様ごとに別々の形となっており、これを作るのも太夫の仕事。太夫は作り方を覚えないといけない。
こんな感じなので、準備などにものすごい時間がかかり、結果、1週間くらいかかってしまうという壮大な儀式になる。
神様をリストラできればどれだけ楽か。
そう考えるとご飯が進まない。
物語がいっぱい
いざなぎ流には、神様の由来やその神様によって起こったことを神話のような形で語る「 祭文(さいもん) 」というものを独自で持っていて、これが膨大で壮大なものとなっている。
この中の「いざなぎの祭文」「山の神の祭文」「大土公(だいどっくう)の祭文」「地神(ぢじん)の祭文」「荒神(こうじん)の祭文」「恵比寿の祭文」「水神の祭文」「呪詛の祭文」「天神の祭文」というものが基本的祭文としてあり、太夫はこれを覚えなければならない。
この祭文によると、いざなぎ流は、 天中姫宮(てんちゅうひめみや) と呼ばれる天才少女がインドの いざなぎ大王 に弟子入りし、祈祷などを習って持ち帰ったことから始まるとされている。
この日本の地方独自の宗教でありながら、突然インドが出て来る感じ。
たくあん、メザシからのタンドリーチキンだ。
これはご飯が進む。
他の情報
調べれば調べるほど興味がそそられるこの宗教。
このサイトからNHKで放送したいざなぎ流の番組アーカイブが見られたりする。
YouTubeだとこの辺り。
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