海外トレンド
日本のエンジニアも今すぐスマートウォッチアプリを開発すべき3つの理由
- Dec 7, 2014
スマートウォッチの先駆けとなった「Pebble」に始まり、Googleが提供するOS「Android Wear」が搭載された「Samsung Gear」が発表されるなどスマートウォッチは日に日にその波及の勢いを増している。また最近では、世界初の円形ディスプレイを搭載した「moto360」が米国で発売を開始し、Appleが「Apple Watch」を発表した。この波は米国国内に留まらず、日本でもソニーなど大手のメーカーがクラウドファンディングを利用して開発を始めるなど、スマートウォッチはますます世界の注目を集めている。
また米国NEXTMERKET社の調査によると、2015年には約3000万台のスマートウォッチが出荷され、2020年には約4億台が出荷されると試算している。このデータからもわかるように、スマートウォッチはまさにこれから盛り上がりを見せていくであろう、非常にホットなデバイスカテゴリーであると言える。
スマートウォッチアプリ開発の可能性
当社btraxではウェアラブルの未来に注目しており、サンフランシスコオフィスにて早速「moto360」を入手し、UXの検証、スマートウォッチアプリ市場の調査、自社アプリの企画・開発を開始した。その過程において、スマートウォッチのアプリ開発には様々な可能性があるとわかった。今回は、スマートウォッチアプリを開発することで得られる3つのメリットをご紹介したい。
1.イノベーションの余地が残されている
スマートウォッチはまだまだ発展途上のデバイスである。使ってみるとすぐに分かるが、インタラクションにおいて様々な問題がある。例えば、スマートウォッチのタッチパネルを操作する場合、両手が完全に塞がってしまう。また、文字入力についても、ディスプレイが小さすぎるためキーボードとの相性は非常に悪い。よって、一般的なスマートウォッチは声による入力を行う。しかし、これについても時計に話しかけるという動作はまだまだ一般的なものではないため、非常に不自然なアクションになってしまい、街中で使用するにはハードルが高い。このようにスマートウォッチは新しい端末ゆえにまだ最適な情報インプット、アウトプットの方法が確立されていない。
しかし、裏を返せばスマートウォッチにはまだまだイノベーションの余地が残されているということである。今開発を始めることによって、いち早くスマートウォッチのスタンダードを生み出すし、注目を集めることも十分に可能なのだ。
関連記事 : スマートウォッチ向けUXデザイン入門1 ~ウェアラブルに必要なエクスペリエンス~
2.ダウンロード数を伸ばしやすい
マーケットにおいて競合が少ない
前述のとおりスマートウォッチは発展途上のデバイスであるが、アプリケーション市場についてもまだまだ未成熟である。本腰を入れて開発を進めている企業やデベロッパーは非常に少なく、種類もあまり充実していない。つまり、アプリマーケット上の競合はスマートフォンアプリマーケットに比べて圧倒的に少ない。このような状況では、非常にシンプルで一般的なアプリケーションでも先行者としての地位を築くことが出来るだろう。
まだデバイスが普及していない現段階では、最もダウンロード数の多いアプリでも10万ダウンロード程度である。しかし、今後数年間で爆発的にデバイスが普及することが予想されているため、先行者としての地位を築いておけばそれに合わせてダウンロード数を伸ばせるだろう。
・録音アプリの例(Wear Audio Recorder)
非常にシンプルなアプリケーションだが、競合が全くいないため、Google playのスマートウォッチアプリマーケットで数多くのダウンロード数を得ている。
・懐中電灯アプリ(Flashlight For Android Wear)
こちらもスマートフォンアプリ市場では類似アプリが数多く存在するが、スマートウォッチアプリ市場では競合はほとんどおらず、数多くのダウンロード数を獲得している。
キラーアプリケーションが生まれやすい
アプリケーションの市場がまだまだ未成熟なため、「スマートウォッチを手に入れたらまずはこのアプリ!」というような、キラーアプリケーションがまだまだ少ない。また、デバイス自体にもスマートフォンで当たり前だった機能が搭載されていないため、キラーアプリケーションを比較的生み出しやすい状況にある。前述のとおり競合も少ないため、非常にシンプルなアプリケーションでもキラーアプリケーションのなりうる可能性は非常に大きく、素早く開発を始めることによって多くのダウンロード数獲得することが可能である。
・ブラウザアプリ(Wear Internet Browser)
スマートフォンではデフォルトで搭載されているが、スマートウォッチにブラウザは搭載されていない。そこに目をつけたこのアプリは素早くマーケットに出したことで、異例の約10万ダウンロードを獲得している。
スマートウォッチアプリは黎明期に差し掛かっている
現在のスマートウォッチアプリ市場は、スマートフォンアプリ市場初期の状況に似ている部分が多い。当時は、非常にシンプルなアプリが爆発的なダウンロード数を獲得する事例が後を絶たなかった。アプリで一発を夢見るエンジニアや、大きく知名度を向上させたい企業にとっては、今のスマートウォッチアプリ市場の状況はまたとないチャンスなのかもしれない。
関連記事 : スマートウォッチ向けアプリトレンド展望 〜btrax社内エンジニアが注目する4つのカテゴリ〜
3.実は開発コストが低い
実は、スマートウォッチアプリの開発におけるハードルは意外と低い。多くのスマートウォッチはOSにAndroidを採用しているため、Androidスマートフォンの開発経験がある方ならば、すぐに実装にとりかかることが出来る。また、Androidスマートウォッチに関して言えば、開発用のエミュレータがすでに用意されているため、実機がなくても実は開発ができてしまう。
開発しやすさのもう一つの理由としてディスプレイのサイズが非常に小さいということがあげられる。よって、そこに詰め込めるUIの要素は限られるため、開発の工数は必然的に下がる。
また、メーカーが変われどスマートウォッチのディスプレイはバリエーションが非常に少ない。現在のところ、デベロッパーは正方形もしくは円形のディスプレイに対応する画面を実装するだけで良く、長くモバイル・アプリデベロッパーを悩ませてきた機種ディスプレイ依存に対応する時間が非常に少なくて済む。よって、デベロッパーはスマホアプリに比べて比較的短時間でスマートウォッチアプリを開発することが可能である。
まとめ
スマートウォッチはこれから数年間で爆発的に普及すると考えられる。この波の大きさをいち早く認識し、素早く動き始めることによって、スマートウォッチアプリのパイオニアになれる可能性は十分にあるのではないだろうか。
btraxでは現在スマートウォッチアプリを開発中
最新のテクノロジーとユーザーエクスペリエンスを日々研究、開発しているbtrax社では、Google GlassやAndroid Watch等に搭載される、Android Wearのアプリを開発を開始。年内のリリースを予定している。その経験を元に得られた情報や、知見をこちらのブログに定期的にポストする予定。今後も、デバイスごとのUXに於ける長所、短所、それぞれの開発方法の特徴や、UIデザインのポイントなど、スマートウォッチについての情報を定期的に発信していく。また、クライアントとの共同開発プロジェクトへの参加企業も現在募集中。ご興味のある方は、tokyo@btrax.comまで。
参考記事 : Smartwatch Market Forecast to Grow From 15 Million in 2014 to 373 Million by 2020
photo by 準建築人手札網站 Forgemind ArchiMedia, Sean MacEntee