齢を取れば取るほど時間が経つのが早く感じるもので、2014年も残り1か月になってしまった。まだ”2014年”という響きでさえ馴染めていない気がするのに、もう2015年になるのかと思うと少し焦燥感にかられてしまう。
ところで今年も例年と同じように本を100冊近く読んだ。今年は運良く、読んでよかったと思う本に多く出会えた気がする。今回はその中から「涙が出るほど感動した本」、「衝撃を受けた本」、「インスピレーションが刺激された本」を10冊厳選してランキング形式で紹介する。ジャンルは文庫本から漫画、絵本まで様々なのでご注意。
2014年に読んで衝撃を受けた本 TOP10
1.はせがわくんきらいや
1976年に出版され、2003年に復刊した名作絵本。以前このブログで取り上げたことも⇒『はせがわくん きらいや は大人にも読んでほしい名作』。
ヒ素入りミルクを飲み体を壊してしまった"はせがわくん"に「きらいや」と言いながらも放っておけない主人公。この絵本を読んで、障害者に同情だけして、深くは関わらないように距離を取ってしまう自分自身の行動を省みずにはいられなかった。まさか5分足らずで読める絵本に泣かされるとは…。ぼくの母の知り合いはこの本に衝撃を受けて、絵本の編集者になることを決意したらしい。
2.母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(漫画)
もとはウェブ漫画として無料で連載されていた作品だったが、反響の大きさから1冊の本となり出版された。ぼくはウェブ漫画で全て読んでいたが、発売当日に本屋に行き即買してしまった。
内容は、最愛の母が癌を告知されてからの闘病生活、葬儀、そして母がいない世界で作者が少しずつ前を向いていくまでの数年間を描き綴ったもの。という内容だけ書くと重そうだが、ユルい絵のタッチと人間味のある主人公(作者)の素直な語り口から、構えなくても軽い気持ちでも読み始められる。そして読みだすとページをめくる手が止まらなくなる。
「亡くなった途端、母は僕の中でアイドルにでもなったのか、遺影も指輪もまるでライブ会場でしか手に入らない公式グッズのように魅力的に見えたのです」など主人公の心情表現には共感できる部分が多かった。
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3. ゼロ秒思考
ぼくはこの手のノウハウ本をあまり読まないのだが、友人に薦められて読んだら予想以上に実用的で身になっている。この本で提示している思考のトレーニング法はざっくりと書くと、「1分」で考えたこと・思いついたことを「箇条書き」でとにかく大量に書きなぐっていくこと。1分という制約があることで漫然と考えてしまうことを防げるし、考えを楽に整理できる。
本を読んで以来この方法をほぼ毎日、何かを考えるときに実行しているが考えが随分とまとまりやすくなったと思う。人間、放っておけばどうしても考えることをやめてしまうもの。1日数回でも頭をフル回転させ、考えを整理することが後々大きな差になってくるのだと思う。
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4.ハウグーグルワークス
「Googleがどうやって才能のある人たちを集め、世界を驚かせるプロダクトを産みだしてきたか」が前CEOのエリック・シュミットにより具体的なエピソードとともも紹介されている。隅々まで合理的で最善を追求する姿勢、ユーザーファーストを貫き通す姿勢からはGoogleが急成長してきた理由が伺える。この本を読んで感じたことは、多少尖っていても才能のある人たちを集めてある程度自由にやらせることがいかに企業を強くするかということ。それが何より難しいのだろうけど。
5. 2100年の科学ライフ
著名なアメリカの理論物理学教授によって、未来の世界像が具体的に淡々と綴られている。この手の未来予測本は多いが、こんなものが出来たら良いなというような思いつきレベルで明確な根拠がないことも多い。この本は物理学教授が、各分野の一流科学者300人以上にインタビューをした上で執筆したものであるため、論理性もあり納得できる部分もとても多かった。ロボットから経済についてまで様々な分野に触れられているが、とくに遺伝・医学関係の内容が多かった印象。
未来を詳細に想像することは今何をやるべきか考える時のヒントになるし、単純にワクワクするのでとてもおすすめ。
6.世界で一番美しい猫の図鑑
7.コミュニケーションをデザインするための本
電通の売れっ子クリエイティブ・ディレクターの岸勇希さんにより書かれた名著。岸さんがこれまで手がけてきた斬新な広告戦略はどのような意図で作られてきたかが写真とともに詳しく解説されている。ターゲットの消費者の心を揺さぶる戦略を練る思考力、理解が得られなさそうなアイデアを実現してしまうディレクション力において、岸さんは日本の広告業界でトップクラスだと思う。広告に携わる方だけでなく、クリエイター、マーケターの方々にもぜひお薦めしたい一冊。
8. 成り上がり
1978年にベストセラーとなった矢沢永吉の自伝「成りあがり」。今年に入って今更ながら読んだのだが、一瞬で矢沢ファンになってしまった。親戚をたらい回しにされた経験や、仲間に裏切られた経験をすべて「成功したい」というモチベーションに変えてしまう姿にはシビれる。振りきれたナルシストっぷりも爽快で心地が良い。「自分は特别だから」と豪語していることもあり、「誰もがこうあるべきだ」というような価値観の押し付けをしてこないスタンスも良いところ。この本が発売されてからもう30年以上が経つが、未だに自分の考え方をほとんどぶらしていないことは本当にスゴイと思う。
9.統計学が最強の学問である
10.日本の論点
ここまで紹介してきたが、2014年はあと1か月あるので最終的なランキングは少し変わってくるかもしれない。年末に向けイベントも増え、少し忙しくなりそうだが積読本を今年のうちになるべく消化していきたいところ。