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自分の好きなことって、自分じゃわからないのかもしれない。

講演やセミナーは、とっても苦手だった

考えてみたら、ボクは講演とかセミナーとか、たくさんの人の前で話すのは好きです。
毎日やっていても、嫌じゃない。
そういう意味では「得意」なコトなのかもしれません。

でも、30代のボクが今のボクを見ると、信じられない思いをすると思う。
だって、ひと前で話すのが、ものすごく苦手だったから。
以前出版した本にも書いたことがありますが、できたらひと前で話したくなかった。
少人数相手のプレゼンも、すごく苦手だった。
アガるんですよ、ひと前だと。
大嫌いだったし、不得意だった。
プレゼン中は声がうわずって、過呼吸みたになって、呼吸困難になりそうだったし、わきの下には嫌な汗をかくし、ひざや身体がガタガタ震えるし、たいへんだった。
そのうち、プレゼンする役割は部下に任せることにした。
それくらい、苦手だったんです。

昨年釧路での講演会の様子

昨年釧路での講演会の様子

でもどうして好きになったのか?
ちょっとそれを考えてみた。
きっかけがあったはずです。

講演を最初にしたのは、2001年。
ボクはフリーランスで仕事をしていました。
最初の本を出版するころ。

北海道の釧路の全日空ホテルでした。
JTB旅連が主催する道東の観光ホテルの女将さんの会だった。
その時は15名くらいの参加だったと思う。
めっちゃ緊張したのを今でも覚えている。
ともかく、チラシの作り方や、キャッチコピーの考え方なんか、その時いろいろと体験した販促物の反応のいい作り方を、一所懸命話した。
1時間くらいだったと思う。

スクール形式の講演という形じゃなく、会議みたいな感じで、四角にテーブルが組まれていて、ボクも座ったままだった。
その内容がとてもよかったって、言われた。
その時にたまたま御夫婦で同席していた、鶴雅グループの総帥、大西社長がすぐにコンサル依頼をしてくれた。
それから今まで鶴雅の仕事をしているわけですけど。
それが自信になったんだと思う。
「あ、ボクの話って価値があるんだ」って。

その年、ボクの本が出版されて、講演依頼がぽつぽつとやってきた。
そのたびに、スライド(その当時はPCではなくオーバーヘッドプロジェクターを使うケースが多かった)を用意したり、話し方を練習したり、準備をした。
少しずつだけど、慣れてきたのです。
慣れてくると、話すのも苦じゃなくなり、そのうち、ひと前で話すことが好きになっていった。
そうすると、演出や話す内容にも凝りだして、面白くなっていく。
今では年間120回くらいの講演やセミナーをやるまでになった。

話し方が上手ですね、と言われることもたびたびあります。
やっぱり演劇をやっていたからですか?
と聞かれることもある。
でも、ボクは演劇をやっていましたが、主に裏方だったから。
シナリオと演出が役割で、役者じゃなかったんです。
今だったら、役者もできるかもなって思う。

講演やセミナーの仕事は大好きになった。
そして、得意になった。
毎日やっても飽きないし、一日8時間だってぶっ続けでできる。

苦手だったものも、経験と工夫で好きになる

ボクは講演なんて一生するつもりはなかった。
だって、一番苦手なことだったから。

周りのシチュエーションがそうなったから、しかたなく講演の仕事を受けていた。
でも、それが自分が思っているより好評だった。
ボクの話しでもよろこんでくれる、役立つって言ってくれる、面白かったって言ってくれる。
そういう成功体験を少しずつ積み上げて、得意になっていった。
そういう意味では、自分じゃなく、他人から気づかされたってことです。

「そうか~、意外とボクの話しを好きだって言ってくれる人が多いんだ」

それで、さらに好きになってもらおうと、さらに伝わるようにしようと、工夫したり練習したり、ブラッシュアップをしていったわけです。

ボクは普通の人が講演できるようになる、そういう塾をやっています。
講演家を育てる塾です。
半年間、特訓する塾です。
ボクでも話せるようになったんだから、誰でも見事な講演をすることができる。
そういう信念で、経営者やビジネスパーソンを講演できるようにしています。
今まで100名以上の人がそれに参加して、講演できるようになっている。
シナリオを考えて、ひと前で話す訓練を反復練習すると、ほとんどの人が講演できるようになります。
そこの塾を出て、現在講演の仕事をしている人は、たくさんいます。
そういう人もよく言っています。

「まさか、自分がひと前で話すなんてこと、考えたことありません」って。

ボクはよく「好きなことを仕事に取り入れるといい」という発信をしています。
好きなことって、もしかすると、今自分が思っている好きなこととはちがうところにあるのかもしれません。

講演なんてできないって人も、講演が得意になるかもしれない。
文章を書くことが苦手っていう人も、やってみたら、とっても好きになるかもしれない。
絵を描くなんてできないって思っている人も、素晴らしく味のある絵を描けるようになるかもしれない。
歌が下手だって思っている人でも、素晴らしいジャズシンガーになるかもしれない。
そういうことです。

だから、依頼されたら、やってみたり、自分が得意じゃないと思っていることでも、やってみると、得意になったり好きになったりするかもしれない。
それって、可能性がたくさんあるってことです。
ともかくたくさんのことをやってみて、上手にできたもの、好きになりそうなものに気づいて、それをブラッシュアップすることで、大好きになる。
そんな経緯をたどるんじゃないかな。

さっき、眠れない夜明け前に思っていたのは、概ねそんなことだ。

 

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藤村 正宏
1958年、北海道釧路生まれ。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。集客施設や企業のコンサルティングを行っている。コストをあまりかけない、誰でもカンタンにできる手法で、圧倒的な成果をあげている。 執筆活動、講演活動もする。現在フリーパレット集客施設研究所主宰。

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