やはりソニーはテレビにAndroidを採用していくようですね

山本 一郎 | 個人投資家

山本一郎です。コーヒー飲んでも眠いですが、一生懸命頑張って生きております。

ところで、ソニーがアナリスト・報道関係者対象の事業説明会「SONY IR Day 2014」を開催し、そこで改めて同社のテレビには今後Androidを積極的に搭載していく旨が打ち出されておりました。

ソニーが'15年投入するTVの大半でAndroidを採用。“ヒットモデル作戦”も(AV Watch 14/11/25)

2015年度から、Androidベースのテレビを投入する計画についても改めて言及。「2015年にソニーが投入するラインナップの大半にAndroidを搭載する。主力機種はほとんどがAndroidになる。スマートフォンやタブレットと、BRAVIAとの連携が劇的に進歩し、新たなテレビの楽しみ方が提案できる」などとした。

出典:AV Watch

なるほど、テレビにAndroidを載せるという方針は変わらないのですね。この件については、今年の夏にそうした意向が表明されていましたから既定路線という意味ではそれほど驚くこともありませんが、「主力機種はほとんどがAndroidになる」というところにソニーも思い切ったなという感があります。

夏にソニーがテレビへAndroid採用を発表した時点でも拙ブログに書いたことではありますが、AndroidというOSそのものが抱える各種問題点が、そのままテレビという本来であれば枯れた技術によって安定して動作するはずの家電製品に全く新たな問題を引き起こす可能性が出てきます。

ソニーがテレビをAndroid化するようですが大丈夫なのでしょうか(14/7/2)

やはり一番気になるところは、Androidを利用する際に大前提となるGoogleアカウントでのログインにまつわる諸々でしょうか。旧来のテレビのつもりで使っていたら、Googleアカウントに紐付けされた個人情報等がユーザーの意図しない形で色々と外部へ発信されていたという事態が起きる可能性もあるわけでして、これはスマホ利用時と全く同じ注意がテレビ利用時にも必要になってくると考えるべきでしょう。

当然ながら、Googleもソニーも中の人達は馬鹿ではありませんから、そうした諸々も十分に配慮した上で数々のフールプルーフ的な仕組みを導入することを期待したいところです。特にGoogleの中の人達は頭が良すぎてリテラシーの低いユーザーのやらかしそうなことを想像しないままに、めちゃんこ高度な機能だけを提供してくれそうです。そうすると彼らにとって想定外すぎるような事故も色々と起きてしまうのではないかと杞憂してしまうわけですよ。その辺りの機微な部分をソニーは仲介役としてちゃんとエンドユーザーに寄り添う形でフォローしてくれることを望みたいところですが、はたしてどうなんでしょうか。バランス感覚が求められる状態ですけれども、ソニーならいろんな意味できっと何かやってくれると期待してしまいます。

あとは、Androidの場合、セキュリティ面における脆弱性対策をはじめ、機能面での不具合などへの対応などが、OSアップデートという形で随時Googleから提供されるわけですが、各メーカーのスマホを見ていても、そうしたOSアップデートへすぐに対応できておらず、場合によっては未対応のままサポート終了ということも決して少なくない現実があります。

Androidのサポートもいつかは終了するの? - いまさら聞けないAndroidのなぜ(マイナビニュース 14/4/14)

端末に搭載されているAndroid OSのサポートはいつか終了します。もっとも、進化のペースが速く買い換え需要が高い分野の製品ですし、ハードウェアとしての端末の寿命もデスクトップPCに比べ短いですから、10年といった長期のサポートを期待することは難しいでしょう。

出典:マイナビニュース

上記記事ではAndroidのサポート期間を具体的な数字では示していませんが、これまでの主要スマホ製品の事例から考えると、長くても2~3年といったところではないでしょうか。もし、このスマホのライフサイクルと同じ形がテレビにも適用されるとしたら、折角新しいテレビを購入しても3年後には安心して利用できなくなる可能性があるということになります。従来のテレビに較べるとかなり寿命が短くなるため、あまり高額なモデルは敬遠されるようになるかもしれません。がっつり高額テレビ購入したら二年かそこらでアップデートができなくなって粗大ごみ一直線とかいう話になるとふざけるなってことになりますからな。

ちなみに、現在最新のバージョンであるAndroid 5.0はメモリ周りに深刻な不具合があるようです。

Android 5.0にてメモリリークによる深刻な不具合が多数報告される(携帯総合研究所 14/11/26)

Androidの使用時間に比例してシステムが利用するRAMの容量がどんどん膨れ上がるーいわゆるメモリリークが発生し、アプリが頻繁に強制終了したり、OSの反応が悪くなるとのこと。

(中略)

この不具合の対処方法としては都度、端末を再起動してメモリを開放するしかありませんが、当然、再起動後もメモリリークは発生するので気休め程度にしかなりませんね・・・。根本的に解決するにはGoogleがバグを修正し、修正版のアップデートを待つしかありません。

出典:携帯総合研究所

長時間ドラマなどを視聴していたら動作が不安定になってその都度再起動しなければならないAndroidテレビというのは悪夢でしかありません。しかも、そのOSの修正版がいつ提供されるのか、そもそも提供されること自体あるのかどうかも不明ということではちょっとまずいですね。ユーザーからはクレームの嵐になりそうです。ソニーは大丈夫なのでしょうか。

ソニー担当者も「100%の解はない」とお考えのようにも思えますが、そこはコーヒー飲んで頑張っていただきたいところであります。

山本 一郎

個人投資家

投資業務とコンテンツ開発が仕事のメイン、独立17年め。イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社代表取締役。仕事と家庭を両立させながら、40歳になんなんとする人生の節目を感じつつ一歩ずつ坂道を登って生きたいと思います。

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