記事詳細
【関西の議論】
トイレは〝紙の山〟、生鮮食品に〝ベタベタ〟…黒門市場に押し寄せる中国人観光客ら マナー改善の道険し
なにわの台所として、江戸時代から大阪人の胃袋を満たしてきた大阪市中央区の商店街「黒門市場」に近年、中国本土や香港など東アジアからの観光客が押し寄せている。目当ては日本の新鮮な「食」。中でもホタテやサザエなどの魚介類が母国への土産として人気で、大量に買い求める観光客も少なくない。これまでの不況の影響で、歳末ぐらいしか日本人客が訪れなくなって久しい黒門市場にとっては、金を落としてくれるありがたい存在だ。ところが、用を足した後、トイレットペーパーを流さずにごみ箱に捨てたり、生鮮食品を手に取って何度も触ったりするなど、生活習慣の違いから生じるトラブルが多発。ますます日本人客の足を遠のかせる状況に業を煮やした店主たちは、観光客らのマナー改善に乗り出した。
いきなり店内で食べ出す
黒門市場に設置された観光客向けの無料休憩所。食事ができるようにテーブルや椅子(いす)が置かれ、トイレもある。トイレの個室をのぞいてみると、ごみ箱にはトイレットペーパーが山のようにたまっていた。
「用を足した(東アジアからの)観光客が紙を流さず、ごみ箱の中に捨てていく。便器を流さずにそのまま放置している人もいる。水洗トイレの使い方が分からないらしく、壊されてしまうこともある」
ため息交じりにそう話すのは、黒門市場で飲食店を経営する60代の男性だ。
男性の店にも、中国人ら外国人観光客が食事に来ることが多い。4人で来たにもかかわらず、2人分しか注文せずに出てきた料理を分け合ったり、テーブルに置かれたナプキンを大量に使われたりするので、困惑することも多い。
「まるでドキュメンタリー番組を撮影するかのように、入店から注文、食事をカメラで撮る人もいる。感じ悪いな、と思うこともあるが、商売のことを考えると仕方がない」と話す。