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 国民的CM、ソフトバンクモバイルの「白戸一家」シリーズで知られる広告クリエーティブの旗手、澤本嘉光さんが、学生時代からずっと敬愛し続けている人が、糸井重里さんです。「糸井さんには、ぜひお話をうかがいたいんです(熱意)」。ということでお願いしたら、ご快諾をいただきました。

「でも、僕なんかが、糸井さんとお話させていただいていいんでしょうか」「いや、このコンテンツは、そういう場ですから」「糸井さん、おイヤかも……だったら断っていただいても……」「何、弱気になってるんですかっ(喝)」

 と、いつものように謙虚過ぎるホストが、クリエーティブの大先輩に迫ります。

澤本:僕は今、本当に、今までで一番緊張しています。

糸井重里(いとい・しげさと)
1948年群馬県前橋市生まれ。法政大学文学部中退。広告制作プロダクション勤務を経て、79年に「東京糸井重里事務所」を設立。矢沢永吉の自伝『成り上がり』をプロデュースする。80年代に西武百貨店「不思議、大好き」「おいしい生活。」などのコピーライティングで、時代の旗手に。作詞やゲームソフトでも話題作を次々と手掛ける。98年、インターネット上に「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設。「ほぼ日手帳」シリーズを初め、Tシャツや腹まき、書籍などのヒット商品を輩出する。以後、「ほぼ日」を中心に、社会的起業やリアル店舗のプロデュースなど、活動を拡大中。(写真:大槻純一、以下同)

糸井:やめてくださいよ。というか、今日は僕、何も知らないまま、澤本さんをお迎えしているんですけど(笑)。

要約しますと、「日経ビジネスオンライン」に澤本さんがホストを務める対談シリーズがありまして、これまでに細田守さん(映画監督)、星野源さん(俳優・ミュージシャン)、馬場康夫さん(ホイチョイプロダクションズ主宰)、佐渡島庸平さん(出版プロデューサー)、小山薫堂さん(放送作家、脚本家)といった、澤本さんあこがれの方々をお迎えして、味わい深い対談を繰り広げております。

澤本:前回は糸井さんともお親しい細野晴臣さんでした。

糸井:そんなすてきな方たちが。

澤本:中でも、最も遠い星だったのが糸井さんで、お願いするにも最後まで気持ちが引けて、今も本気で緊張しています。

糸井:エクレア食べますか(笑)。

澤本:相当緊張していますから、後でいただきます。

糸井:取ってあげましょうか。

澤本:ああ、糸井さんみずから……すみません。

触って逃げてました

澤本さんは、どうして糸井さんにそうまでしてお会いしたかったんですか。

澤本:一番しゃべりたかったけれど、一番しゃべれなかった人だったんです。

糸井:困るね(笑)。

澤本嘉光(さわもと・よしみつ)
CMプランナー/電通コミュニケーション・デザイン・センター(CDC)エグゼクティブ・クリエーティブディレクター。
1966年、長崎県生まれ。東京大学文学部卒業後、電通に入社。クリエーティブ局に配属。東京ガス「ガス・パッ・チョ!」シリーズなどを担当。JAAAクリエイター・オブ・ザ・イヤーの3回受賞ほか、カンヌ国際広告祭賞など内外の受賞多数。2007年に始まったソフトバンクモバイル「白戸家シリーズ」はいまや国民的CMに成長。08年に映画「犬と私の10の約束」(松竹)の原作、脚本、小説を執筆。12年に小説『おとうさんは同級生』(幻冬舎)を上梓。2014年1月には脚本を手がけた映画「ジャッジ!」が公開。

これまで、ご面識はあったんですか。

糸井:直接はないですよね。

澤本:壇上に上がっているところを、僕が下から見上げるとか、昔、TCC(東京コピーライターズクラブ)のパーティーに糸井さんがいらっしゃっていて、その時に触って逃げるとか。そういうことはありました。

糸井さんの意識の中に、澤本さんの存在はありましたか。

糸井:僕は広告業界、もともと詳しくないんですよ。現役のコピーライター時代も、誰が何をしているとか、どういう業績があるとか、そういうのはあまり興味がなかったんです。

澤本:覚えているとキリがないですよね。

糸井:なので、なるべく見ないようにしていたんですけど、それでも澤本さんって、よくお名前をお見かけするな、と思っていましたよ。その時代、その時代で、頑張る人が登場するということですよね。

澤本さんのCM代表作の「白戸一家シリーズ」(ソフトバンクモバイル)は、糸井さんの奥さまの樋口可南子さんがお母さん役ですが。


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