インタビュー:2%目標実現には更なる緩和必要=若田部早大教授
[東京 26日 ロイター] - 大胆な金融緩和を提唱するリフレ派の論客として知られる早稲田大学の若田部昌澄教授はロイターとのインタビューで、今年4月の消費増税による景気悪化でアベノミクスは「振り出し近くに戻ってしまった」と指摘した。日銀が目指す2%の物価目標を実現するため、更なる追加緩和が必要になるとの見通しを示すとともに、エネルギーなどの影響を除いた消費者物価指数で2%を目指すのも一案と語った。
若田部教授は、アベノミクスの「3本の矢」の成果について「少なくとも80点」と評価する一方、振り出しに戻ってしまったアベノミクスを再起動させるためには、1)追加緩和と2)経済対策、3)TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などの成長戦略が重要と述べた。
日銀が10月31日に実施した追加緩和については、4月の増税による落ち込みを回復させるためであり、2%の物価目標を実現させるには更なる追加緩和が必要と指摘。また、今夏以降、原油市況の下落が消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)を押し下げていることを踏まえ、日銀がめざす物価目標として、食料・エネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)の採用も検討するよう提案した。
若田部教授の主な発言は以下の通り
─アベノミクスをどう評価するか?
「消費増税を除く最初の3本の矢は成功しており、少なくとも80点はつけられる。第1の矢である金融政策は90点、第2の矢が60点ぐらいだ。しかし、消費増税で経済が落ち込んでしまった。増税後の経済指標などが悪いのは事実で、アベノミクスは振り出し近くに戻ってしまった」
「安倍晋三首相がアベノミクスを再起動したいと言っているが、賛成する。再起動には追加緩和や経済対策が必要。経済対策は低所得者層を中心とした重点的な財政支出が重要。第3の矢として、TPPなどを進めるのも必要だ」
「デフレの時にTPPを進めるとデフレになるという懸念もあるが、関税引き下げは個別価格の話なので、インフレ、デフレとは直接関係はない。金融政策とセットであれば、インフレ目標が物価水準を決める」 続く...