高倉健さん死去「巨星」福岡の誇り 福岡市図書館で12月27日追悼上映 [福岡県]
福岡出身の巨星が「落ちた」-。俳優高倉健さんの訃報が伝わった18日、福岡都市圏のゆかりの地からも死を悼む声が相次いだ。
高倉さん主演で、北九州市などを舞台にした映画「あなたへ」のポスターなどが並ぶ東峰村の山村文化交流の郷(さと)「いぶき館」。休館日だったが、報道陣が次々と集まり、伊藤茂広館長(47)らが対応に追われた。
高倉さんの父親が、旧宝珠山村(現東峰村)にあった宝珠山炭鉱で勤務していたことから、1999年11月、「お忍び」で村を訪問した際の写真も展示。渋谷博昭村長は「もう一度村に来てほしかった。大スターが来てくれたら村も活気づいたのに」。休館日を知らずに駆けつけた北九州市八幡西区の江田政美さん(72)は「黙っていても存在感があった。健さんほどの俳優は出てこないのではないか。福岡の誇りだった」と惜しんだ。
「立ったり、座ったりしているだけで映画になる名優だった。新作が見られないのが寂しい」。福岡市早良区の市総合図書館の映像資料課学芸員八尋義幸さん(55)は声を落とした。
図書館にはフィルム収蔵庫があり、アジア映画の名作などを保管。高倉さんは2002年、出演映画43作品の16ミリフィルムを寄託した。03年6月には図書館を訪れ、収蔵庫などを見学。映像ホールのいすに座り「ここで映画を見たいし、もぎりもやってみたいな」と冗談めかして話したという。八尋さんは「預けられたフィルムをしっかり保存していきたい」と誓った。
図書館では12月27日、同市でロケをした主演作「網走番外地 悪への挑戦」(1967年)の追悼上映を行う。
福岡を舞台にした映画作りに取り組むNPO法人「博多映画道場」の柴田洋一代表理事(61)は「福岡から、世界に羽ばたいた最後の銀幕スター。お疲れさまでした」と話した。
=2014/11/19付 西日本新聞朝刊=