サンゴ密漁:日本の赤サンゴ16万円でどうだ…中国・福建
毎日新聞 2014年11月08日 21時45分(最終更新 11月09日 08時11分)
東京都の小笠原、伊豆両諸島の周辺海域で横行する中国漁船によるサンゴ密漁は、船団の規模が200隻を超え、地元の漁業に深刻な影響を与えている。なぜ今、船団は押し寄せてきたのか?
密漁船の拠点の一つとされる中国・福建省寧徳(ねいとく)市の漁港を歩くと、一獲千金を狙って日本近海を目指す漁民と、取り締まりを逃れて巧妙にサンゴを売りさばく業者らの姿が浮かんだ。
◇密漁船の拠点で不法横行
「日本で取った赤サンゴだ。8500元(約16万円)でどうだ」。目の前に広大な東シナ海が広がる寧徳市霞浦(かほ)県三沙鎮(さんさちん)の漁港。中年の密売人の男は、カバンの底から小さなビニール袋に入った赤サンゴの宝飾品を大事そうに取り出した。
男はある店先にいた。「赤サンゴを売っているところを知らないか」と声をかけると、最初は「知らない。この辺には売っているところはない」と目をそらしたが、私服の公安関係者ではないと分かると安心したように交渉を始めた。深紅の高級品と比べると色が薄く、値段も安いが、紛れもなく赤サンゴだ。上海などからも業者が買い付けにくるという。
この密売人や地元漁民によると、昨年の終わりごろ、地元の船主が日本近海で取った大量の赤サンゴを2億1000万元(約39億円)で売り抜けたとの話が広がり、この港から沖縄県や小笠原諸島周辺にまで密漁に出る船が急増した。霞浦近辺の漁港には約1000隻の漁船があり、現在は約3分の2の600隻近くが出漁。一部が日本に赤サンゴを取りに行ったまま1〜2カ月戻っていないという。密売人は「日本への密漁は燃料費もかかるので多額の投資が必要。密漁団はみんなで1人数十万元(数百万円)を出し合うが、成功すれば見返りは大きい」と話した。
習近平指導部は「法治」の徹底を掲げており、海洋資源の保護でも「法治」をどれだけ実践できるのかが問われている。赤サンゴの密漁問題で中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は6日、「中国は違法な赤サンゴの採取には反対だ」と述べ、日本側と協力して取り締まる方針を示した。霞浦の三輪タクシー運転手は「密漁をしていた中国漁船の船長が日本で逮捕されたという話は漁師を通じて地元住民はみんな知っている。当局の取り締まりが強化され、今から密漁に出る人は少ないだろう」と話す。