2014年10月28日
レアル・マドリー対バルセロナ ~バルセロナが砕け散った理由~
結果は3-1でレアル・マドリーの勝利。歓喜に湧くサンチャゴ・ベルナベウ。リーガエスパニューラにおいて、無失点を継続してきたバルセロナが3失点。それぞれのゴールはPK、コーナーキック、カウンターと非常にレアル・マドリーらしいものだった。なぜこのような試合になってしまったのか。最初にスタメンから。
レアル・マドリーはベイルが怪我のため欠場。欠場が続いている間に、ハメス・ロドリゲスとイスコがスタメンに定着している。ベイルが帰ってきたあとにどうなるかは、また別のお話。注目はバルセロナのスタメン。
マテューはCBで起用され続けてきた。しかし、この試合では左SB。シャビはベンチに座っていることが多かった。しかし、ラキティッチよりもシャビ。今季の積み重ねよりも偉大な経験を重視。しかし、トップにはスアレス。ペドロよりも個人で試合を破壊しれくれそうなスアレスがクラシコでデビュー。DFラインは置いておくとして、これまでの流れからすると、ちょっと矛盾しているかのようなバルセロナの采配。やはりクラシコを意識しているのだろう。
■バルセロナの中央支配
最初に試合の流れを掴んだのはバルセロナ。レアル・マドリーは4-4-2でバルセロナのボール保持と対峙。ボールを保持するときのバルセロナは相手のMFとFWの間のエリアの支配から取り組む。エリアの支配とはこの位置でオープンな状況でボールを持つ、または前進の出発点にするという意味だ。そのネタは人員動員による数的優位にある。メッシのゼロトップもこの考えを根本においている。この試合ではブスケツを上げることで、特に苦労することなく、中央エリアの支配に成功した。また、積極的に近くの選手を捕まえに行くクロースの特徴を利用して、シャビでクロースをおびき出す場面が何度も見られた。バルセロナの先制点は、クロースの深追いから始まっている。
今季のバルセロナは、ネイマールとスアレスのポジションの選手を中央。空いたサイドのスペースにSBをポジショニングさせるグアルディオラ初期型を彷彿とさせる動きを見せていた。しかし、レアル・マドリーのカウンターに対応するためか、SBの攻撃参加はどこか控えめ。さらに、スアレスたちがサイドにポジショニングする場面が目立っていた。相手の対策をするという意味で、非常にらしくない采配ではある。
■レアル・マドリーの対応とマテュー起用の理由
14分になると、初めてクリスチャーノ・ロナウドがブスケツのマークをするようになる。しかし、思いつきの守備だった。よって、思いつきの守備を計算にいれることはできない。相手のSBが上がってこないこともあり、レアル・マドリーはSHを中央に絞らせて対応した。しかし、誰がボールに寄せるんだという問題は解決しなかった。また、空いたスペースにバルサのSBが飛び出してくるようになる。つまり、レアル・マドリーの手としては決してすべてを解決するものではなかった。ただし、マテューが効果的に攻撃に絡めなかったことは、レアル・マドリーにとって幸運だったろう。しかし、メッシが流れた右サイドからの攻撃にはかなり苦戦していた。カシージャスのセーブがなければ、追加点を許していただろう場面も出てきている。
バルセロナには背の高い選手が少ない。よって、セットプレーでの得点は確率的になかなか望めるものではない。CBを相手陣地におくった状態でカウンターを受けるのがセットプレーのリスクだ。よって、バルセロナはショートコーナーでそのままボール保持に持ち込む場面がグアルディオラ時代には多かった。しかし、この試合のバルセロナは蹴っ飛ばした。セルヒオ・ラモスのハンドのような場面を作れたという意味では、そこそこにコーナーキックの得点に迫る勢いみたいなものはあったといえるかもしれない。このときに相手のゴール前で頑張っていたのがマテューだ。攻撃のときはキーパーの近くで囮。守備のときはクリスチャーノ・ロナウドのマークとジョルディ・アルバにはできない仕事である。
■不安定なプレッシングとよみがえるトラウマ
ボールを保持することで、バルセロナは守備も行う。ボールを保持するためはボールを保持する仕組みとボールを奪い返す仕組みが必要になる。バルセロナのボールを奪い返す仕組みは強烈な高い位置からのプレッシングとボールホルダーをサポートする選手をファーストディフェンダーとするネガティブトランジッションにある。イブラヒモビッチがバルセロナに馴染めなかった理由のひとつに高い位置かのプレッシングを行う意欲があるかどうかがあった。エトーやペドロにはそれがある。では、ネイマールとメッシ、スアレスにそれがあるか。答えはあったりなかったりする。クリスチャーノ・ロナウドのブスケツへの守備と同じで、それらは気まぐれに行われるので、計算にいれるべきではない。
メッシたちが協力してプレッシングを行えば、レアル・マドリーはボールを前進させることに苦労する場面が見られた。しかし、徐々にレアル・マドリーはボールを前進させることに成功していく。バルセロナのプレッシングがそこそこに機能しているのに。その理由はクロースやモドリッチやイスコ。彼らが独力でどうにかしてしまう。ゲーゲンプレッシングの破壊はチームの仕組みよりも高い個人能力で行われた。その最初の一歩はウィルシャー。かつてのトラウマがよみがえるバルセロナ。MFとFWの距離が遠くなっていき、自陣に撤退し、4-3でレアル・マドリーの攻撃に対抗という場面が増えていく。
恐らく、ネイマールやスアレスがSHとしての守備をしないと計算していたのだろう。ネイマールは比較的に戻ってきていたけれども。レアル・マドリーはカルバハル、マルセロを積極的に攻撃参加させることで、このバルセロナの守備に対抗していく。クロスの雨あられをポジショニングで防いでいたピケだったが、前半の終了間際には痛恨のハンド。このPKをクリスチャーノ・ロナウドが決めて同点に追いつく。
■繰り返されるカウンターと見え隠れするシメオネスタイル
気まぐれな守備を計算できるようにするためには、はっきりとした役割が必要だ。よって、レアル・マドリーはクリスチャーノ・ロナウドとベンゼマの位置を下げることで、中央エリアの支配に乗り出す。特にブスケツがボールを持ったときにベンゼマが執拗に守備をしていた。バルセロナのネガティブトランジッションにおいて、ブスケツはキーパーソンだ。前半にも独力でレアル・マドリーのカウンターを防ぎ、攻撃面では高いサポート能力で攻撃の舵をとっている。
そんなブスケツの役割を封じる作戦が、攻守の場面でブスケツの周りに選手を配置することだ。レアル・マドリーは中央エリアの試合のためのシメオネスタイルではなく、バルセロナのネガティブトランジッションを狂わせるために、ブスケツ周りに基本的にベンゼマ、ときどきクリスチャーノ・ロナウドを配置した。かつてよく見られたバルセロナ対策である。バルセロナのネガティブトランジッションが機能しなくなれば、レアル・マドリーはスムーズにカウンターを繰り出せるようになる。そして、そんなカウンターから得たコーナーキックからペペが決めて、レアル・マドリーが逆転に成功する。
■ルイス・エンリケとアンチェロッティの交代策
得点が欲しいバルセロナはシャビ→ラキティッチ。ラキティッチがサイドから仕掛けることで、中央エリアの外からの仕掛けと密集を広げたい狙いだろう。しかし、ラキティッチのファーストプレーであるコーナーキックがレアル・マドリーのカウンターに繋がる。アンラッキーな形もあり、抜けだしたイスコから出されたパスの結末はベンゼマ。攻守の奮闘するベンゼマの追加点でバルセロナはさらに苦しい状況となる。バルセロナはペドロを投入することで、前線の活性化を狙うが、直後にイニエスタが負傷し、セルジ・ロベルトが登場。ジョルディ・アルバを入れて4トップも期待されたが、狂ったプランではレアル・マドリーを崩せなかった。
レアル・マドリーはイジャラメンディを入れて、モドリッチをサイドに出す。そして、ベンゼマを下げてケディラを中央に配置。恒例の守備固めでバルセロナに追加点を許さなかった。最後にはオーレの大合唱とともに、レアル・マドリーが攻撃を仕掛ける場面も見られた。こうしてグアルディオラ時代にうえつけられたトラウマをゆっくりと消すことに成功しつつあるレアル・マドリー。まだ首位はバルセロナだが、つく付けられた課題はプレッシングを仕掛けられない自分たちの理由と、ブスケツを狙われる相手の対策。この宿題を解決できるかどうかでルイス・エンリケの価値は決まる。
- 共通ジャンル:
- 欧州サッカー
- リーガ・エスパニョーラ
- posted by らいかーると
- 12:40
- リーガエスパニューラ1415
- コメント(0)
- トラックバック(0)
コメントする
コメントの投稿方法はこちら