全国35火山:登山届の義務化、半数が検討…本紙調査

毎日新聞 2014年10月28日 07時30分(最終更新 10月28日 10時37分)

御嶽山山頂にある山荘「二の池本館」。屋根に岩が突き刺さった=御嶽山上空で2014年10月27日、本社ヘリから梅村直承撮影
御嶽山山頂にある山荘「二の池本館」。屋根に岩が突き刺さった=御嶽山上空で2014年10月27日、本社ヘリから梅村直承撮影

 27日で発生から1カ月がたった御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火を受け、毎日新聞が全国35の活火山で設置されている火山防災協議会に今後の対策を尋ねたところ、半数が登山届提出の義務化を検討する方針であることが分かった。避難シェルターについても、未設置の24火山の協議会の半数近くが設置を検討する。ただ、こうした検討方針を示したところも含め多くの協議会は「国の動向を見ながら議論する」と回答。戦後最悪の火山災害に危機感を強めながらも、対策を模索する姿が浮かんだ。

 ◇災害対策を強化

 国が常時監視している47の活火山のうち34火山では、地元自治体や気象台、専門家らで火山防災協議会が組織され、ウェブサイトで火山情報を提供するなどしている。常時監視されていない八甲田山(青森県)にも協議会がある。毎日新聞は今月中〜下旬、各協議会の事務局を担う県、市町、国に今後の火山防災について尋ね、全35協議会から回答を得た。

 登山届提出の義務化は現在、一部の難所について自治体の条例で定められているだけで火山では例がないが、調査では17火山の協議会が義務化の可否を検討すると回答した。一方、検討の予定がないとした有珠山(北海道)や草津白根山(群馬・長野県境)の協議会は理由として「ロープウエーや国道を使って容易に山頂に行ける山なので」と提出の徹底の難しさを指摘。阿蘇山(熊本県)の協議会は「火口付近に事務所を置き、随時情報提供できるようにしている」と現在の対策を強調した。

 また、噴石から身を守るシェルターを既に設置しているのは浅間山(群馬・長野県境)など11火山で、同数の火山の協議会が今後設置を検討するとした。だが、多くの火山が国立公園に指定されていたり国有林があったりして、法律で設置には環境相の許可が必要になるなどさまざまな規制があり、実施へのハードルは高いという。

 このほか、山小屋などにヘルメットを常備しているのは安達太良(あだたら)山(福島県)など13火山で、7火山は今後、設置を検討する。

 こうした対策の実現について複数の協議会は、「自治体、観光業界、自然保護団体などで調整が必要で、国がガイドラインを示せばスムーズに進む」(安達太良山など3火山の協議会事務局の福島県)などと国の役割に期待する。

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