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『努力する人間になってはいけない』芦田宏直氏が語る努力と結果が比例しないワケとは

by Matthias Rhomberg
 あなたがイメージする優秀な人材はどんな人ですか? 「諦めず努力をし続ける人」なんてイメージを持たれる人もいるかと思います。しかし、自分や周りを振り返ったとき、努力をしてる人全員が優秀とは限らないですよね。

 はたして、どういう人が優秀な人材なのでしょうか。世間のイメージの中にある「努力する人間」に対し鋭く批判をしている哲学者、芦田宏直氏の著書『努力する人間になってはいけない』を用いて「優秀な人材とはなにか?」を明らかにしてみましょう。

仕事の出来ない人はどのような人材? 人材の4つのパターン

 著者は人材について、ドイツの軍人ゼークトの組織論を用いて以下のように分類しました。

一つ目は、怠け者だけれども目標を達成する人
二つ目は、がんばり屋で目標を達成する人
三つ目は、がんばり屋で目標を達成できない人
四つ目は、怠け者で目標を達成できない人

出典:芦田宏直(2013)『努力する人間になってはいけない』

 組織において、どの人材が一番仕事が出来ない人材なのか。それは、三番目の人なのだそうです。いくら真面目でも、目標を達成しなければ評価されないからです。三番目の人材は、がんばっているプロセスを重視します。プロセスというのは目標達成を継続的にするために必要なのであって、達成できていなければプロセスは関係ないのです。

 では、がんばって努力しているのに目標を達成する事ができない原因はどこにあるのでしょうか。著者はこう述べています。

自分の仕事の仕方を変えないからです。仕事の仕方を変えて目標を達成しようとはせずに、時間をさらにかけて達成しようとする。(中略)努力は時間ですから(努力=時間)、努力すればするほど、疲弊する。(中略)それもこれも自分の仕事の仕方を疑わないでいるからです。

出典:芦田宏直(2013)『努力する人間になってはいけない』
 こつこつ努力する(時間をいくらでもかける)状態では、目標はいつまで経っても達成することはできません。著者は、このような「仕事の仕方を変えない」努力をエゴイズムだと述べています。時間をかけて努力をし続ける人よりも、工夫して仕事の仕方を臨機応変に変えていく人材が優秀というのは納得できるでしょう。

優秀な人材は単純な仕事も工夫をしている

 「こんな仕事をしたい!」誰でも理想を持っていると思います。しかし、中には地味で単純な仕事も多くあります。著者はコピー機の印刷を例に、優秀な人材を三つに分類できると述べています。

「コピー初級」は、機械の操作をただ単に知っているだけ。(中略)

「コピー中級」は、たとえば、一〇枚のコピーをするとき、最初の一枚目を刷って、紙の傾き、文字や写真の濃度を確かめてそれから残りの九枚を取れる人。(中略)

「コピー上級」は、ちょっとした上司の依頼の紙にも(時間をかけずに)目を通し、(中略)内容についての関心を持ちながら印刷できる人。

出典:芦田宏直(2013)『努力する人間になってはいけない』


 こういった単純作業だからこそ人によって方法が異なり、そこで差ができるのだそうです。業務をやらされているだけでなく、コピーひとつとっても仕事をすることに対する意識は大きく変えられますね。

仕事の「信用」を生むためには?

 上司や同僚から「信用」得るためにはどうしたらいいのでしょうか。先のコピー機の例と関連して、著者は次のように述べています。

その仕事を頼んだ人が期待したように仕事をするだけではなかなか得られるものではありません。そんな仕事の仕方があったのか、と頼んだ人が少し驚くような仕事をすることこそが〈信用〉というものに繋がっていきます。

出典:芦田宏直(2013)『努力する人間になってはいけない』
 信用を得るためには、期待以上の働きをする必要があります。期待通りにただ業務をこなすだけでは評価はされず、結果として単純な業務しか得られません。特に、新人であれば仕事に単純も複雑も関係なく、単純な仕事であってもさりげなく工夫を織りまぜて相手の期待を超えるような結果を出しましょう。


 優秀な人材と、そうでない人材の違いは「努力」の違いではありませんでした。いくら努力しても結果が付いてこないと感じている人は、仕事に時間だけを費やすのではなく「考え」「工夫」をすることで目標を達成できるかもしれません。

 今回は、本書の中から仕事に関係する「努力」についてのテーマを取り上げましたが、他にも「勉強」「就職」「家族」「ツイッター」などテーマが多岐にわたっており、芦田宏直氏の哲学的視点から述べられています。気になった方は、ぜひ手にとってみては?

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『本は死なない』Kindle開発者が語る電子書籍の未来

by J. Tegnerud
 電子書籍元年とも呼ばれた2010年から4年が経ち、徐々に普及してきた電子書籍。安く買えて、クラウド上に保存できるので本棚いらずなのが魅力ですよね。その一方で、いまだに紙の本を好む人が多いのも事実。

 本の電子化が進む時代に、紙の本はこれからどのような変化をしていくのでしょうか。現在の電子書籍業界の中で圧倒的なシェアを持つAmazon社 Kindleの開発者が書いた『本は死なない』という本で、本の未来について考えてみましょう。

紙の本はベストセラー作品だけになる?

 電子書籍がさらに浸透することで、紙の本は完全に無くなるのかという疑問が浮かびあがります。しかし、著者によると紙の本は今後も残るそうです。ただし、現在のように紙の本が流通のメインで、一部の本だけ電子書籍化するという形ではなく、電子書籍でベストセラー化した作品だけが紙の本になると著者は予想しています。

 つまり、紙の本は一部の熱心なファンのためといった意味合いで存在するという形態に変化するということです。そして、時代の主流は電子書籍に移り変わっていきます。

主流は電子書籍に

 電子書籍の未来について考えるために、印刷技術が普及しはじめた16世紀の出版事情に目を向けて見ましょう。当時の本は手書きの写本が一般的でしたが、すぐに印刷技術が登場しました。しかし、当時の富裕層は「写本の方が人間味がある」という理由で、あえて写本を読んでいたそうです。しかし、時代と共に「人間味」以外利点の無い写本は廃れていき、印刷された本が主流になりました。

 「電子書籍の時代が来る」という話は、たびたびニュースで耳にしますが、利用している人はまだまだ少ないのが現状。それはまだ、電子書籍よりも紙の本のほうが利点が多いからです。しかし、電子書籍の機能の向上や電子書籍に特化したSNSの普及に伴い、電子書籍が紙の本の利点を超えたとき急速に電子書籍が普及しはじめることでしょう。

電子書籍の時代、出版の一元化が起こる

 電子書籍が主流の時代になったとき、既存の出版業はどのような変化を遂げるのでしょうか。著者はこう述べています。

出版、著作、販売の3つが分化し、いまのような形態になった。ところが電子書籍が登場してから、再びこの3つが一元化されようとしている。

出典:ジェイソン・マーコスキー(2014)『本は死なない』
 このように、いままで出版業というのは分業で行われていました。しかし、電子書籍であれば、著者自身が編集などの出版業を担いAmazonなどのプラットフォームで販売することが出来るようになります。そして、本を広めるのは今までのように出版社の仕事でなくなり、販売店の役目になるのだそうです。


 紙の本と電子書籍の未来を予想している書籍『本は死なない』。本書には今回ご紹介した内容にとどまらず、電子書籍の歴史や「本」という概念がどう変わりゆくのかが著者によって詳細に予想されているので、気になった方はぜひ手にとってみては?

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仕事で壁にぶつかった時の必読書、『働く君に贈る25の言葉』が示してくれる道とは

出典:picjumbo.com
 「仕事が上手くいかなくて辛い」働き始めたばかりの新人や若手ビジネスマンの中には、このような悩みを抱える人もいるのではないでしょうか? そんな人にご紹介したい1冊の本があります。それは『働く君に贈る25の言葉』

 本書のコンセプトは、元東レ社長である著者が長年のビジネスマン生活で培ってきた幸せに働くためのメソッドを、新社会人になった甥っ子の「遼君」(仮名)へ宛てた手紙の中で教えていく…というもの。今回はその一部について見ていきましょう。

君は人生の主人公だ。何ものにもその座を譲ってはならない。

 著者は若い世代のビジネスマンに向けて、人生設計をできるだけ具体的にイメージするべきだ、とアドバイスしています。何歳ぐらいまでに今の仕事をマスターするのか、その次にはどんな仕事にチャレンジしたいのか、結婚はいつか、子どもは何人か、家は買うのか…などなど。20代で考えた人生設計がそのまま思い通りになることはありませんが、この作業には意味があります。なぜなら、「自分は何をして生きていきたいのか」「この人生で何がしたいのか」を自らに問いかけることにつながるからです。

 仕事、趣味、友達、家族…。色々ある中で、あなたが大切にしたいものは何ですか? それが見つかったならば、今度はそれを中心とした人生を送るためにどうすればいいのかを考えましょう。ここで大切にしてほしいのは、仕事の位置付け。何の考えもなしに仕事をしていては、あなたの生活はいつしか仕事に支配されることに。こうならないためにも、若いうちから自分にとって大切なものを見極め、そのために仕事をコントロールする意思を固めましょう。その意思さえしっかりしていれば、仕事を効率化するノウハウはいくらでもありますよ。

私は、「ワーク・ライフ・バランス」の推進者です。しかし、実はこの言葉があまり好きではありません。「ワーク」と「ライフ」を「バランスさせる」という発想では足りないからです。
必要なのは、マネジメントの発想です。自分が望む人生を送るために、生活と仕事をどのようにコントロールしていくのかが問われているのです。
だから、私は「ワーク・ライフ・マネジメント」という言葉のほうが適切だと思っています。

出典:佐々木 常夫 (2010) 『働く君に贈る25の言葉』

プアなイノベーションより、優れたイミテーションを

 あなたは仕事が上手くいかないワケを、「能力がない」などという理由で片付けてしまってはいませんか? 著者が言うには、それは間違い。「能力」ではなく、「仕事のやり方」の問題だそうです。では「仕事のやり方」を、どこから学べばいいのでしょうか?

 答えは簡単。他人の優れたところを真似すればいいのです。あなたの周りにも、デキるビジネスマンは大勢いるはず。上司や同僚に限らず、経営のトップ層や他部署の人、お客様、取引先の社員…このような人達の中には必ず、皆から親しまれ、尊敬される人が何人かいるものです。そういう人を見つけ、行動に注目しましょう。

 注目する、といってもただぼんやりと眺めるだけではダメです。例えば、「デキる先輩」が取引先へのアポを確認するメールを、あなたにもCCメールで送ってくれたとします。この時、用件を確認するのは当たり前ですが、どんな書き方をしているか、アポの何日前のメールなのか、署名はどのようになっているかなどを細部にわたってチェックするのです。

 デキる人は、1つひとつの行動に、気配りや工夫を盛り込んでいるもの。それを発見したら、すぐに自分も行動に移してみることです。しかし、そのまま同じことをやればいいわけではありません。色々と実践し、試行錯誤を繰り返しながら自分なりに応用してみましょう。それがやがて、あなたオリジナルの「仕事のやり方」を生み出すことにつながります。はじめから自分のオリジナルを求めることはよくありません。優れたイミテーション(=模倣)を積み重ねた先に、優れたイノベーションが待っていますよ。

凡を極めて、非凡に至る―。
これこそ、君が成長する秘訣です。

出典:佐々木 常夫 (2010) 『働く君に贈る25の言葉』



 仕事を始めたばかりの若いうちは、様々な壁にぶつかると思います。この本の著者も、多くの困難を乗り越えた結果、社長という座にまで上り詰めることができました。その著者の言葉は、仕事に悩みを抱えた多くの若者の心に響くはず。あなたも「遼君」になったつもりで、著者の言葉を受け止めてみては?

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