記事詳細
【衝撃事件の核心】
盲導犬オスカー 捜査動かず2カ月 「皮膚病」説も浮上する中でも警察「傷害の可能性1%でもある限り」
埼玉県で7月下旬、全盲の男性が連れていた盲導犬オスカーが何者かに傷つけられた事件が起きてから、2カ月余りが過ぎた。「無抵抗の動物に対する卑劣な犯行」に世間の注目が集まったが、犯人に関する有力な手がかりは現在も浮上していない。獣医や警察の関係者からは「本当は刺されたのではなく、犬の皮膚の病気による出血だったのではないか」という見方も出ているが、埼玉県警は捜査を続けている。(さいたま総局 菅野真沙美)
「それ、血じゃないの」
オスカー(雄8歳)は7月28日、さいたま市に住むマッサージ師の飼い主男性(61)が出勤するのに合わせ、いつもと同じように家を出た。JR浦和駅で電車に乗り、東川口駅で下車。駅近くのコンビニエンスストアに立ち寄り、職場に到着した。
「それ、血じゃないの」
オスカーを見た職場の同僚が驚いて声を上げた。外出中に毛が飛び散らないようにとオスカーが身につけていた犬用のシャツに、血がにじんでいた。すぐに動物病院に連れて行き、そこで受けた診断は、「刺されたのだとしたら、鋭いフォークのようなものを使ったと考えられる」というものだった。
治療を受けた後、男性はオスカーが何者かに刺された可能性があるとして、埼玉県警武南署に被害届を提出した。しかし、その日は有力な手がかりを得ることはできなかった。