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【日本の議論】
見直される「魂の殺人=強姦罪」の法定刑…「性交同意年齢」引き上げ論議も、慎重意見も根強く
「物を取った罪の方が女性の人生を狂わせるかもしれない罪より重いということにずっと憤りを感じてきた」。9月3日に法務省のトップに任命された松島みどり法相。強姦に関連する法定刑の方が強盗に関するそれよりも軽く定められている現行刑法について「これだけは(改正の)道筋をつけたい」と就任直後から強い意欲を示してきた。法相指示から1カ月もたたずに有識者会議の設置が決まり、早ければ10月にも初会合が開かれる。法定刑と性交同意年齢の引き上げ、非親告罪化など、法曹界や被害者団体の議論を呼ぶ論点が山積している。
なぜ強姦の方が強盗より罪が軽いのか
松島みどり法相は9月30日の会見で、性犯罪の厳罰化を検討する有識者会議「性犯罪の罰則に関する検討会」の設置を発表した。早稲田大学の山口厚教授(刑法)を座長に学識経験者や実務家ら12人からなり、うち8人を女性が占める。
「法相の強いイニシアチブを評価する」と話すのは、千葉大学の後藤弘子教授(刑事法)。内閣府の男女共同参画基本計画の策定に携わった経験を持つ「女性に対する暴力」の専門家だが、「強姦は“魂の殺人”とも言われる。新たな法整備や法定刑の引き上げなどは、これまで何度も提起されてきた問題だ」というほど、すでに各論点に関する議論は煮詰まっている。