教育旅行で気仙沼訪問 震災前を上回る
気仙沼市を教育旅行で訪れた児童や生徒はことし4〜9月で66校4479人と、東日本大震災前の2010年度実績(53校4118人)を上回ったことが分かった。防災・減災や復興過程などの震災学習を目的とした学校が増えており、本年度は最終的に5000人を超えそうだ。
気仙沼観光コンベンション協会など市内に四つある観光協会の受け入れ数を合計した。震災直後の11年度は激減したものの、12年度が22校1341人、13年度が52校3745人で、3年連続で増加した=図=。
学校は、北海道をはじめ関東、東海、関西、九州など幅広く、南海トラフ巨大地震の被害が予想される地域からの訪問が目立つ。旅行内容も以前は離島・大島での自然体験がほとんどだったが、自然体験に震災学習、被災地ボランティアを組み合わせた旅行が年々増えている。
ことし8月には静岡県富士市の中高生ら160人が5泊6日で気仙沼市を訪れた。震災遺構の気仙沼向洋高旧校舎を視察した後、大島で自然体験を満喫した。引率者は「子どもにとって大切な防災と自然を両方学べるのが魅力的。ずっと沖縄だった旅行先をことし切り替えた」と語る。
日帰りの「通過型」が半数を占め、地元にとって思うように経済効果が上がらないのが課題だ。震災前は旅行客の大半が大島の民宿などに宿泊していたが、宿泊施設の再開が遅れ市内の収容力が限られていることに加え、万一の場合に備えて沿岸部の宿泊が避けられる傾向にあることも一因と見られる。
気仙沼観光コンベンション協会はリピーターや宿泊客を増やそうと、滞在中の一行に職員を同行させ丁寧に対応するなど、受け入れ態勢づくりや誘致活動に力を入れる。
気仙沼大島観光協会の白幡昇一会長は「被災地に子どもを送り出してくれることに感謝し、安全で達成感のある体験メニューを充実させたい。着実な活動で宿泊客を増やしていく」と話した。
2014年10月17日金曜日