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信楽高原鉄道、運行再開へ大きく前進 課題は赤字解消
台風被害で寸断されていたレールが16日、1年1カ月ぶりにつながり、運行再開に向けて大きく前進した信楽高原鉄道。復活を心待ちにする住民がいる一方、赤字体質の経営をどう立て直していくか、長年の課題も突きつけられている。
甲賀市によると、この日レールの敷設を終えた杣川橋梁(そまがわきょうりょう)の架け替えを含めた復旧工事は約9割完了。11月29日の運行再開に向け、同鉄道では17日に点検車両を往復させ、軌道上の安全を確認する。さらに20日には、昨秋以降、貴生川駅に停止したままの車両1両を信楽駅に回送する。
鉄道は、路線バスなどと異なり確実な定時運行が見込めるため、通勤・通学の利用客を中心に、同鉄道の運行再開を待ち望む声は大きい。
一方で、同鉄道は平成2年度以降、経常利益の赤字が続き、累積赤字は3億円を超えるなど、慢性的な「赤字体質」路線。運行再開後に利用客を増やす方策が求められている。
昨年6月には、JR西日本や大手旅行会社などとともに経営改善に向けた委員会を発足させて検討を進めていたが、台風被害の対処を優先。復旧工事の着手に合わせて今年3月、委員会を再開し、JR草津線などと連携した鉄道利用促進事業や、地元とタイアップした観光キャンペーンなど、利用客増加の方策を検討している。
同鉄道社長の正木仙治郎副市長は「1年余りで運行再開でき、感謝したい。今後は黒字経営を目指し、地元の人たちや観光客に利用してもらえる努力と工夫をしたい」と話している。