ボルカー・ルール対応でウォール街も売り、ジャンク債総崩れ
10月17日(ブルームバーグ):社債相場が過去1年余りで最も大きく揺れ動いている。ウォール街の銀行も大勢に従って売り方に回っていることが一因だ。
ジャンク債(高リスク・高利回り債)相場を例に挙げると、過去1カ月で2%下落した。ディーラーは従来、相場下落時に必死に売ろうとする顧客から自己資金で債券を買い取ってきたが、米金融取引業規制機構(FINRA)の債券価格報告システム、トレースによれば、ディーラーらは過去1カ月に約20億ドル相当を売却した。
銀行が債券保有を縮小しているのは、米金融規制改革法に盛り込まれた「ボルカー・ルール」に基づく自己勘定取引の規制や自己資本規制の強化に直面しているためだ。ペリディエム・グローバル・インベスターズ のクレジットトレーダー、ジョン・ブルーアー氏は、ディーラーのリスクテーク意欲の欠如が、今の総崩れの中で価格変動を増幅させる意図しない影響をもたらしたと分析した。
ブルーアー氏は電子メールで「リスクをこれ以上取る意欲や力がないだけだ。落下中のナイフをつかむことを誰もが恐れている」と指摘した。
高利回り債は9月に2.1%下落し、今月も1.1%値下がりしている。
プライマリーディーラーモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループのアナリストらはここ数週間、ジャンク債の購入を投資家に勧めたものの、ウォール街の金融機関は売っている。米連邦準備制度理事会(FRB)のデータ によると、プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)22社の高利回り債保有は10月8日までの2週間に17億ドル減少し、ネットベースで63億ドルとなった。
以前の相場下落時には、大手銀は買い手だった。FRBのデータによると、欧州ソブリン債危機が深刻化していた2011年11月には、プライマリーディーラーは社債保有を46億ドル増やした。同月にドル建て社債は1.9%下落したが、同年12月には2%高と持ち直していた。
だが、今の相場の動揺は世界経済が立ち直りの様相を示すか、中央銀行が再び救いの手を差し伸べてくれるという信頼感が醸成されるまでは恐らく続くだろう。ウォール街のディーラーが相場を下支えするのを当てにしてはいけない。そうした時代は過ぎ去ったようだ。
原題:Volckerized Wall Street Dumping Junk Bonds With Herd inSelloff(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Lisa Abramowicz labramowicz@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Shannon D. Harrington sharrington6@bloomberg.netCaroline Salas Gage, Chapin Wright
更新日時: 2014/10/17 09:53 JST