僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦
- 作者: 出雲充
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まずはじめに、ユーグレナを起業する上でターニングポイントとなった著者の大学卒業後の部分を見ていくことにします。
「銀行に就職した」のは自分の「弱さ」が理由だった。いきなり大学を卒業してベンチャーを起業する、という道もあったはずだが、自分にはそんな度胸はなかった。
東京大学を卒業後、昔の東京三菱銀行に就職しました。これまで自分が進んできたレールを降りる怖さがあったそうです。それに、この時点では、まだまだミドリムシの可能性を追っている段階でした。踏ん切りがつかないという葛藤が感じられます。
理性的にはいま辞めるのは間違いだ、と思った。もともと35歳で立つ、と決めたのはミドリムシ培養のハードルが思ったよりも高いことが大きな理由だった。少なくとも培養が成功してから、5年先、10年先に起業しても遅くない。
思い悩む日々が続いていました。夢をともにした後輩は大学でミドリムシの培養について研究をしていました。しかし、この時点では大量培養の目処が立っておらず、結論が出せずにいたのです。
思いつめていく中、第二の父親と慕う人に相談を持ちかけます。そして、背中を押され、ついに退職を決断します。
ここで退路を断つというリスクを取ったがゆえに、ユーグレナの起業、そして、株式上場まで達したのではないかなと思いました。もし、この段階で銀行を辞めずに働き続けていたら、また違った形となっていたかもしれません。そういう意味で、この銀行を辞めるという決断が1つのターニングポイントだったのではないでしょうか。
最後に、日本の起業について著者の考えを書かれている部分を紹介したいと思います。
創業してからこれまでの7年を振り返って思うのは、日本は極端すぎる、ということだ。アントレプレナー文化が育たないのも、このあまりにも極端すぎる日本の空気のぶれ方があるのではないか、と思う。
著者らはライブドアから出資を受けていたため、ライブドア事件の際には辛酸をなめました。そして、事業の展望が開けると、堰を切ったように人、あるいは、お金が押し寄せるということも経験しています。
こういったことを指し、日本全体の風潮とも言えるような目に余る極端さが起業文化の成熟を阻害していると主張しています。
分野を絞れば絶対に1番になれるのだ。「ミドリムシと世界を救う」という目標があったから、「世界で」1位を目指したが、ベンチャーすべてが世界で1番、日本で1番を目指す必要はない。
(中略)
自分が「この分野、この領域で勝負する」と決めたら、その中で必ず1番を目指すこと。これが僕が、ベンチャーの経営に関してアドバイスできる唯一のことだ。
飯田橋駅近辺でも多摩ニュータウンでもいいとし、分野もラーメン屋の経営でも、ネットサービスでもいいのです。ただ、自分で定めた地域やジャンルの中で1番を目指そう。シンプルで心強いアドバイスではないでしょうか。
以上、駆け足で特に気になったところに絞り紹介しました。
全体を通して、正直に書かれているという印象でした。その他にも、なぜミドリムシの大量培養を目指したか、学生時代のこと、ライブドア事件に巻き込まれた話など出雲充氏の半生が詳しく書かれています。
著者の姿勢に元気ももらえる本で、またもう一度読みたいと思う1冊でした。
- 作者: 上阪徹
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/08/30
- メディア: 単行本
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