よく「喉元過ぎれば熱さを忘れる」というが、昨日の僕はまさにそんな感じだった。
躁うつ病が順調に回復しつつあること、良くも悪くも暇すぎて抑うつ状態になっても寝ていればいいこともあり、僕は躁うつ病の本当の苦しみを忘れかけていた。
躁うつ病・うつ病の人が社会復帰をする難しさの1つに「体調が悪い日でも外に出ないければならず、それが個人の努力で直したり、予防したりしづらいこと」がある。風邪や交通事故みたいな明確な予防法がないし、しかも自分が体調を悪いことを周りの人は気づかないため、しんどい日でも耐え忍んで出てこないといけない。
では、耐え忍んでる時の(躁)うつ病患者がどんな感じなのか?今日はそれを僕の体験から感じ取っていただきたい。
うつの大敵は走り回る子どもとスタミナ切れするような環境
…そもそも、事の発端はこんな記事が流れてきたことだった。
10/1は「都民の日」 上野動物園や旧岩崎邸庭園など20の施設が入園無料
本当は、その日は体力作りのために歩くつもりであったが雨で足元が良くなかったので、急遽予定を変更して屋内の施設で僕が行ったことなさそうな場所に行くことに。
悩んだのが葛西臨海水族園と夢の島熱帯植物館だったが…なんと臨海水族園は10/10にも無料開放日があることが発覚。
結果として夢の島熱帯植物館だけに行くことにした。
体調が良くないのに無理をした理由は
・外観がムダにかっちょいいから(画像は公式サイトから)
・無料じゃないと川崎から新木場まで足を伸ばしてまで出かけない()
・ネタに困ってたから話の種が欲しかった
・元々は10キロを歩いたり走ったりする予定だったから遠出ぐらい楽勝と思ってた
…特に最後のが危なくて、うつの時に予定を優先すると抑えが効かなくほど悪くなることがあって、悪くなると…体調に振り回されてどうしようもなくなる。
最近はその「どうしようもない」ほどの体調不良が減って油断した僕は、あろうことか駅から1キロも歩く公園の端っこにある植物園に電車で1時間そこそこかけて出かけてしまったのだ。
高校生ぐらいの人は「そんなの毎日やってる」と思うかもしれないけど、精神的に滅入ってると高校の通学路程度のその道程が命取りになることもあるんだよ…。
…実際、吐き気がしたが、野暮用を済ませた後に東京駅へ。東京で京葉線に乗り換えた時も吐き気と頭の回転が悪くなってるが、どうにか新木場へ。
新木場に来てからも初めて来た自然公園にワクテカしてたこと・1本遅らせて座って新木場まで乗って来られたことで吐き気だけに。
歩いてても緑が気持ちのいい公園で、引きこもり特有の「同じ風景が目に焼き付いて退屈しきって活力が湧かない状態」の僕にはいい刺激だった。
施設に入ってからも展示物の模型のランブータンを見て、水曜どうでしょうファンの僕は「私のおしりがランブータン。」とか言いながら楽しく撮影してた。
模型だけでなく、実際にすごい施設でこんな写真が撮影できる。(少しだけ貼る。写真だけの記事はまた別途アップ)
最後の1枚はカカオ。身がついたやつを見られる貴重な体験。
他にも食虫植物が見られるコーナーなどもあり、かなり魅力。
…ただね、ものすごく疲れた。理由は施設のせいが半分と来ている人のせい半分。
この施設、南国の植物をドームで温度管理しながら育てる施設なので…ものすごく蒸し暑い!息が詰まりそうな蒸し暑さ!
しかもその暑くて植物だらけで狭い通り道を子どもが走り回る・喚き散らす。
お母さんらは写真や植物鑑賞に没頭してるから植物に興味のない子どもはほぼやりたい放題走る。
前にも祝日の商業施設であまりのやかましさと子どものうるささに抑うつをこじらせたことがある僕としては…疲れ果ててしまった。
一度疲れてしまうと、体力が戻らないのが抑うつ状態の嫌な所で、公園で30分近く休んだが、全然良くならない。
唯一僕を癒してくれたのが、僕が休んでたところに女子陸上部の集団が通りかかってお互いをマッサージしあうというキマシでゆるゆりな展開を間近で見られたところななのだが…こっちの体調が大事件でそれどころじゃないよ!
暑さと周囲のノイズに敏感になってふらふらだよ!
1時間も2時間も暑いところ、うるさいところにいたわけじゃないが、体調の悪い日に出かけて行ったら、あっという間にげっそりさ!
僕はコミケのシーズンになる度に「躁うつ病で人ごみがダメになったので、回復するまではコミケに行きません」と言い続けてる。行ったら、人ごみと暑さでダメになるし、今回のように「今日しかない」という日に決めると強引にでも予定を実行しようとして帰りには電車に乗っているだけでも苦痛になる。
「ああ、横になりたい。いや、寝たい。クーラーをがんがんにかけて寝ないと胸やけと吐き気と頭痛でどうにかなりそうだ!」
人ごみの中、京葉線東京駅の歩く歩道を人混みに流されつつ歩きながら、僕の体は僕に命令口調で悲痛さを訴えかける。…そんなことは分かってる!が、東京駅は横須賀線にしろ東海道にしろ、京葉線から歩くにはかなりの距離がある。
…気を紛らわすために、応急処置として山賊ダイアリーの最新刊を買って、電車の中で頭痛や吐き気を意識しないように仕向ける…が、山賊ダイアリーは薄かったので結局は電車の中で読み終わり、また乗り換えてる時にはひたすら頭痛に向き合うしか無くなってしまう。
最寄り駅に着く直前に目に涙をためて「早くつけ!」と祈る気持ちになったのは、体調が悪かった際に精神科で4時間待ちさせられた時以来だ。
久しぶりに抑うつの恐ろしさを思いだせさられた。
行動する意欲から削ぎ落とされるほどではなくなったが、やはり動けない時に無理やり動くと体力が戻らず、その日は何をしても集中できなくなる・できたとしても途切れてしまうため、ひたすら自分の体調の悪さを嘆くしかなくなる。
しかも、周りの人から見ればなんてことないことで病んだり、病む前の予兆がわからないから手助けすることも、フォローすることも難しい。本人だって気づくのが遅くて、突如として無理がたたることだってあるほどに気まぐれに来る。
これが仕事でなく趣味で、しかも人も突き合わせてないから自分勝手に出かけて、かえって一人で苦しむだけだったからいい。
でも、苦しい時に仕事から帰ることができなかったり、残業や慣れない仕事を頼まれたり、飲み会に付き合わされたりし、「効率よりもマメなコミュニケーション。職場の人間関係を保つために大事なんだ」とかドヤ顔で言う上司だったら?
僕個人の不安ではなく、現実に(躁)うつ病の患者の人は復帰する際に悩んでる。
薬や体力をつける・仕事の練度を上げることで幾分かはマシにできるが、それで体調不良そのものが治るわけじゃない。
理解のない人を責める気はないが、世の中にはこういう人がいて、その人にとっては切実で由々しき問題を抱えてるってことは読んだ人の心の隅っこに残ってくれたら、この記事を書いてよかったと僕は思えるのだ。
読んでよかったと思うのは、この巻でついにアイツが食べられる!という話だったところ。アイツの味が僕の予想とは違っていて面白かった!
ちなみに、干物妹のサンプルが書店においてあって、どっちにしようか悩んだのはここだけの話。
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