クラウド小委員会で今何が話されているのか
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クラウド小委員会で今何が話されているのか

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クラウドサービスと著作権 ...

クラウドサービスと著作権
―今後のコンテンツの流通促進およびクリエイターへの対価還元に向けて―
http://platform.sfc.keio.ac.jp/event/2014/0912_232.html

MIAU香月発表資料
「クラウド小委員会で今何が話されているのか
クラウドストレージと私的複製、そしてクリエイターへの利益還元の関係」

2014/9/29 @慶應義塾大学 Gsec Lab.

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クラウド小委員会で今何が話されているのか クラウド小委員会で今何が話されているのか Presentation Transcript

  • 2014/9/29@慶應義塾大学 Gsec Lab. クラウド小委員会で今何が話されているのか クラウドストレージと私的複製、そしてクリエイターへの利益還元の関係 一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU) 事務局長 香月啓佑
  • MIAUについて 一般社団法人インターネットユーザー協会 Movements for the Internet Active Users 2007年から活動を開始。現在7年目に突入。 日本における唯一のDigital Rightsに関するユーザー団体(多分) 表現の分野はICC、うぐいすリボン、AFEEなどが生まれてきているが… 代表理事:津田大介(ジャーナリスト)、小寺信良(コラムニスト) 理事:庄司昌彦(国際大学GLOCOM主任研究員)
  • MIAUがめざすもの 利用者がより創造的に活動でき、 そして技術自身が発展できるような環境 既存のシステムを守るための制度が、 技術の発展を制限しない環境
  • みゃうたん @miautan #DigitalRights #AccessToKnowledge #Copyright #TPP #ACTA #Privacy #RightToBeForgotten #OpenData #OpenGov #FreeSpeech #OpenJournalism #Anonymity #Education #NetworkNeutrality #InternetGovernance #MultiStakeholder #NETMundial
  • 文化庁 文化審議会 著作権分科会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会 (通称クラウド小委) クラウドサービス等と著作権、 そしてクリエーターへの適切な対価還元等について議論
  • 知的財産推進計画2014(内閣官房) 第3. デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備 1. デジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備 クラウドサービスや情報活用のサービスなどの新たな産業の創出や拡大を促進する ため、著作権の権利制限規定の見直しや円滑なライセンシング体制の構築などの 制度の在り方について、文化審議会の議論を加速化させ、今年度の出来る限り早期 に結論を得て、必要な措置を講ずる。(短期)(文部科学省) クリエーターへ適切に対価が還元され、コンテンツの再生産につながるよう、引き続 き上記の検討と併せて、私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度に代わる新 たな仕組みの導入について検討を進め、結論を得て、必要な措置を講ずる。 (短期・中期)(文部科学省、経済産業省)
  • 規制改革実施計画(内閣府) 3 創業・IT 等分野 ①起業・新規ビジネスの創出・拡大 14. クラウドメディアサービスの実現のための規制の見直し 著作権の適切な保護と著作物の公正な利用の調和を図りつつ、新しい産業の創出・拡大 に資する観点から、クラウドにおける私的複製を支援するサービスや、情報活用のサービ ス等についてサービス提供を可能とするような権利制限規定の在り方や円滑なライセン シング体制の構築について文化審議会著作権分科会において検討を行い、関係者間の 合意が得られることを前提に結論を得る。 実施時期:平成26年度上期 所管官庁:文化庁
  • 知的財産戦略調査会 コンテンツ小委員会 7の提言(自民党) 法制及びライセンス体制の整備 (1) クラウドサービス等によるビジネス展開の促進 目標:(省略) 現状:個人向けストーレッジサービス等のクラウドサービスやメディア変換サービス等において実質的に 権利者に損害を与えないサービス提供に伴ってやむなく行われる著作物の複製・公衆送信等が、著作権 法上許容されるかどうか等については、複数の法解釈が成り立ちうるため、国内クラウド業者が事業展開 に当たり慎重になっている。 施策:クラウドサービスの著作権法上の扱いについては、現在、文化庁において、関係者から意見を聴きつ つ文化審議会著作権分科会で議論が行われているところであるが、今後の新たなサービスに対応するこ とが出来るよう柔軟性のある規定の制定を含めた審議を加速化し、遅くとも今年度前半には結論が得ら れるようにする。
  • 知的財産戦略調査会 コンテンツ小委員会 7の提言(自民党) 法制及びライセンス体制の整備 (2) ネットワークにおける利用の拡大と権利処理の円滑化 目標:(省略) 現状:許諾窓口の分散や権利者不明等の理由により権利処理に時間がかかることが、デジタル配信やコ ンテンツの海外展開に際し障害となっていると指摘されている。また、非営利的な利用についても著作権 法における権利制限規定が限定的であることが、ネットワークにおけるコンテンツの活用を阻害する要因 となっている。 施策: ①(省略) ②教育や情報処理など公正な利用に対して硬直的な規定でなく柔軟な権利制限規定を導入することな ど、許諾の要らない利用範囲の見直しを行う。
  • クラウド小委 委員構成 ■学者 土肥一史(日本大学教授)※主査 大渕哲也(東京大学教授) 奥邨弘司(慶應義塾大学教授) 岸博幸(慶應義塾大学教授) ■法律実務家 末吉亙(弁護士、東京大学客員教授)※主査代理 長谷川浩二(東京地裁判事[知的財産権担当]) 龍村全(弁護士) 松田政行(弁護士) ■権利者団体(音楽) 浅石道夫(JASRAC) 畑陽一郎(日本レコード協会) 椎名和夫(芸団協) ■権利者団体(映像) 華頂尚隆(日本映画製作者連盟) 笹尾光(民放連) 松本悟(日本動画協会) ■事業者 今子さゆり(Yahoo! Japan) 榊原美紀(JEITA / Panasonic) 丸橋透(nifty) 杉本誠司(ニワンゴ a.k.a. ニコニコ動画) ■消費者団体 河村真紀子(主婦連) 津田大介(MIAU) 苦節6年、ようやくMIAUから審議会の委員が!
  • クラウド小委 これまでのスケジュール クラウドWT 第1回(2013/12/16)  議題の整理、意見発表(JEITA、JASRAC、Culture First) 、海外判例紹介(奥邨委員) クラウドWT 第2回(2014/2/17)  意見発表(Y!J、nifty、JEITA)、CRIC実態調査速報報告(私的録音編) クラウド小委 第1回(2014/7/23)  意見発表(JASRAC、RIAJ、芸団協)、CRIC実態調査報告(私的録音編) クラウド小委 第2回(2014/8/7)  意見発表(映連、動画協会、ニワンゴ)、意見提出(民放連)、CRIC実態調査報告(私的録画編) クラウド小委 第3回(2014/8/28)  CRIC実態調査分析(JASRAC、RIAJ、芸団協)、意見発表(MIAU、主婦連) クラウド小委 第4回(2014/9/18)  意見発表(JEITA)、方針を決定しようとしたけど…… クラウド小委 第5回(2014/9/30) ←明日! 2014年度上半期ここまで 知財計画2014  今年のできるだけ早期に結論 規制改革計画  今年上期 自民党コンテンツ小委  遅くとも今年度前半に結論
  • 出典:平成25年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム(第2回)配布資料1
  • とりあえず共有については あとの議論ということに 出典:平成25年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム(第2回)配布資料1
  • 出典:平成25年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関するワーキングチーム(第2回)配布資料1
  • 法的な論点(事務局案) 1. 利用行為主体は誰か?  →まねきTV・ロクラクの亡霊? 2. 「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」 (法第30条第1項)該当性  →共有は「機能」か? あるいは「行為」か? 3. 公衆用設置自動複製機器(法第30条第1項第1号)該当性  →これはクラウドだけの問題ではない! 4. 「公衆」該当性 5. 権利者への適切な対価の還元
  • 公衆用設置自動複製機器に関する根深い問題 ユーザー自らがサーバーなどの「複製手段」を自前で調達して行う(不 可能ではない)場合は「私的複製」の範疇と解される可能性があるが、こ の場合は、まさに30条において規定されている「公衆の使用に供すること を目的として設置された自動複製機器」に該当 (椎名委員提出資料より) ユーザーが自分でサーバを調達せよということか?
  • クラウドロッカーと著作権の関係を考える上での前提 その1 データのほぼ全てをクラウドに置くようになる時代の到来 ブロードバンドの発展はつづく インターネットはより高速に。 特にモバイルインターネット回線の速度が向上し、トラフィックも増える。 データ圧縮技術の向上 H.265/HEVCエンコーダの登場で、画質はそのままに、データ量は半分に。 すでにデータはほとんどクラウド上に置くという設計思想の端末も普及をはじめている TOSHIBA CB30-A3120 Chromebook ChromeOS搭載 メモリ:2GB ストレージ:116GB (16GB Solid State Drive + 100GB Google Drive ) 2
  • クラウドロッカーと著作権の関係を考える上での前提 その2 これまでのコンピューティング クラウドコンピューティング データ アプリケーション インターネット 必要な資源を必要なぶんだけ利用する データ アプリケーション 端末内の資源ですべてをこなす 3
  • クラウドロッカーと著作権の関係を考える上での前提 その2 技術的に見ればクラウドロッカーもWebメールもほぼ同じもの SaaS (Software as a Service)  ソフトウェアをサービスとして提供するもの ソフトウェア 例:Dropbox、Gmail プラットフォーム 例:Heroku、Google App Engine インフラストラクチャ 例:サーバ PaaS (Platform as a Service)  ソフトウェアを動かすプラットフォームを  サービスとして提供するもの IaaS (Infrastructure as a Service)  サーバやCPU、ネットワークなどのインフラを  サービスとして提供するもの 「クラウド上のサーバにデータを保存し、ネットワーク上で操作する」 という視点からは、クラウドロッカーもWebメールもSaaSに分類され、 サービスを実現する技術はほぼ同じであり、区別は難しい 4
  • クラウドロッカーと著作権に関する制度設計を行う上では 今後のIT技術の発展のロードマップを把握する必要がある 制度が技術発展を阻害しないような視点を持つべき 制度が将来思わぬ分野に影響を与えないように検討すべき 5
  • クラウドロッカーへのデータの保存は許諾の必要な複製にあたるか 同期 クラウドロッカーはいわばワイヤレスHDD/SSD  技術の進歩によってネットワーク上にデータを保存するようになった  クラウドロッカーの利用はパーソナルなもので  HDD/SSDへの私的複製と同様の態様 違法なファイル共有は検挙しやすい  共有リンクにはユーザーが紐づいており、発信者情報を追いかけられる 利用者のファイル名・タグ情報は個人情報  事業者が利用者の許諾なく調査することは目的外利用にあたる  個人識別性低減データの取り扱いについては法改正作業中 クラウドロッカーへのデータ保存は私的複製である 6
  • ファイルへの多数のアクセスは規制される このアカウントのパブリックリンクにはたくさんのトラフィックが発生しており 一時的に利用不可能となっています 7
  • クラウド事業者に対して対価還元義務を与えた場合、どうなるか 事業者は利用規約で音楽ファイルや映像ファイルの取り扱いを禁止するようになる あるいは音楽ファイルや映像ファイルの取り扱いを行うために別契約を求めるようになる 期待通りの対価還元を得られない ユーザーは制限のない海外のサービスを使う 事業者の撤退・参入障壁 クラウドサービスを用いた音楽・映像へのイノベーションがストップ 対価還元義務は国内産業の空洞化の原因となり、成長戦略としては不適合 8
  • その他技術的な観点 I ユーザー自身がフリーソフトウェアを用いて クラウドサービスを構築する場合 レンタルクラウドサーバ オフィス自宅 9
  • その他技術的な観点 II 事業の立ち上げ時に他社のクラウドサーバを借りる場合 実際のデータのやりとり 契約契約 サービス提供サーバ提供 ユーザーA社のサービスB社のクラウド 10
  • 意見 • クラウドサービスの今後のロードマップを十分把握した上で 未来を見据えた制度設計・検討をすべき。 著作権に関する議論にも技術WTが必要な時期では? • クラウドロッカーの利用は私的複製の範囲内であり クラウドサービスを通じた権利者への対価還元は不必要。 • クラウドコンピューティングの本領は そのストレージ機能だけではなく、大規模サーバを用いた処理にある。 その点でフォーマット変換などを合法化する方針で議論を。 MYUTA的なサービスが本当に非合法のままでよいのか? • ユーザーや事業者にリスクをとることを求めるなら 日本においても米国型フェアユースを導入し、戦えるようにしてほしい 11
  • クレジット この文書内のピクトグラムは下記を利用しました。 Document by Prerak Patel from The Noun Project http://thenounproject.com/term/document/4561/ User by Martha Ormiston from The Noun Project http://thenounproject.com/term/user/12397/ Laptop by Venkatesh Aiyulu from The Noun Project http://thenounproject.com/term/laptop/19554/ Cloud by Yaroslav Samoilov from The Noun Project http://thenounproject.com/term/cloud/39295/ Cloud Server by Grant Fisher from The Noun Project http://thenounproject.com/term/cloud-server/34215/ App by Garrett Knoll from The Noun Project http://thenounproject.com/term/app/51706/ 上記のピクトグラムは クリエイティブ・コモンズ 表示 3.0 アメリカ合衆国 ライセンスの下に提供されています。 http://creativecommons.org/licenses/by/3.0/us/deed.ja Chromebook画像引用元 http://www.toshiba.com/us/computers/laptops/chromebook Dropbox 509 Error画面引用元 http://ui-patterns.com/collections/error-pages/entry/9047 Owncloudロゴ引用元 https://owncube.com/reseller-en.php 12
  • 今後の展開と懸念点 1. 「利用行為主体は誰か」はいつ決まるのか?  →音楽権利者は認めたがらないだろう 2. クラウドとクリエーターへの利益還元は同時に議論すべき?  →どうすれば権利者団体は納得する? 3. タイムリミットをどう考える?  →明日になんらかの結論が出るとは思えないが・・・  →議員立法でむりやり乗り切ることは禍根を残す 4. ビジネスモデルでの担保という解決策はあるか?  →利益還元はビジネスモデルの構築が一番 5. 国際的なハーモナイゼーションをどうするか?