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できごと
【若手記者が行く】救助隊員を横目に、台風で大荒れの海に飛び込むサーファーたちの“無謀”
今夏、和歌山県内では昨夏を大きく上回る25件もの水難事故が発生した。なかには台風接近で海が大荒れの中でサーフィンをして、命を落としたケースもあった。現場を取材すると、数時間前に行方不明者が出たにもかかわらず、大荒れの海でサーフィンを楽しむ姿を大勢見かけた。その一方で、消防や海上保安部などは水難事故による死者を一人でもなくそうと厳しい訓練を積み、事故発生の一報があれば自らの命を張って救助活動に取り組んでいる。マリンレジャーのモラルが問われている。
(和歌山支局 兵頭茜)
悪天候のなかでサーフィンに興じる若者たち
強い台風11号が西日本を縦断した8月10日、和歌山県では全域で大雨洪水警報などが発表され、朝から激しい雨と風に見舞われた。そんななか、和歌山と大阪の府県境近くにある加太海水浴場(和歌山市)でサーフィンをしていた人が流されたとの一報が入り、現場へと向かった。
加太海水浴場は、万葉集で「潟見の浦」と詠まれた歴史的景勝地としても知られる。遠浅の海で普段は波も穏やか。海水浴シーズンにもなると家族連れらでにぎわう。
しかし、この日ばかりは様子が違った。茶色く濁った波が押し寄せ、岸でしぶきとなって散っていた。
救助に駆けつけた和歌山市消防本部によると、大阪市から来てサーフィンをしていた男性は、沖合30メートル付近で高波にさらわれて行方不明になったという。しかし、「危険なため捜索を一時中断」したため、現場周辺には消防車両は見当たらなかった。
そんななか、信じられない光景を目にした。
救助活動ができないことに気をもむ救助隊員を横目に、海にはサーフィンを楽しむ若者たちが集まっていた。わずか数時間前に行方不明者が出たのを知ってか知らずか、次々と海に入っていく。海岸沿いの道路に目を向けると、和歌山や大阪ナンバーなどの車がズラリと並んでいた。
結局、行方不明となった男性は12日、沖合約1キロで遺体となって発見された。
死者は減ったが、水難事故は増加
和歌山県警地域指導課によると、今年7~8月に県内で発生した水難事故は25件。昨年の14件を大きく上回った。海での事故が8割を占め、事故にあった約8割が大阪など県外から訪れた人だったという。また、水難事故による死亡者は4人。昨年の7人から大幅に減少した。
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