丸善と京セラ丸善システムインテグレーション(KMSI)は9月、人文社会系出版社6社と協力し、学術・研究機関を対象に学術書の紙版と電子版をセットにして提供を開始する。参加する出版社は、慶應義塾大学出版会、勁草書房、東京大学出版会、みすず書房、有斐閣、吉川弘文館。
同サービスでは、丸善の電子書籍閲覧サービス「Maruzen eBook Library」と、KMSIの電子図書館プラットフォーム「BookLooper」を活用。BookLooperは、慶應義塾大学を幹事校に、計8校の大学図書館が参加した「大学図書館電子学術書共同利用実験」を通して作り上げていったサービス。電子書籍の貸し出し・返却といったサービスのほか、メモ・マーカー・しおりなどの学習をサポートする機能も備えている。Maruzen eBook Libraryは、貸し出しという形ではなく、Webサイトにアクセスしての利用となる。
電子版はMaruzen eBook Libraryでは1デバイス、BookLooperでは同時に3つのデバイスでアクセス可能。電子版の価格は、BookLooperが3つのデバイスで利用可能なことを考慮し、紙版の約3倍程度となっている。購入には以下の4つの組み合わせを用意しており、組み合わせによっては割引も適用している(購入は月、出版社ごと)。
購入パターン | 割引率 |
---|---|
冊子+電子セット全点 | 電子販売価格30%オフ |
冊子選書+電子全点 | 電子販売価格20%オフ |
冊子選書+電子選書 | 電子販売価格10%オフ |
電子のみ | 割引なし |
記者発表会では、東京大学出版会の事務理事を務める黒田拓也氏が代表して登壇。大学図書館の電子書籍(和書)にかける費用が年々増加傾向にあることを例に挙げ、同分野でのビジネス展開を本格的に目指すとした。
さらに、海外で日本の学術書の需要が高まっていることから、今後は海外の教育・研究機関へ向けてのサービス展開も視野に入れているという。
「これは本当にスタートライン」と言う黒田氏。活動を続けていくことで、大学教育のあり方、そして勉強の仕方が変わり、枠組みがさらに広がるだろうと展望を語った。
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