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【MLB】驚きの守備隊形がメジャーで出現 極端なシフトは野球の本質を変えてしまうのか

Full-Count 9月5日(金)9時29分配信

まるでサッカーの「壁」のような守備隊形に観客も驚愕

 先日8月29日、サンディエゴにあるペトコパークで行われたパドレスvsドジャースの1戦で、見ている誰もが驚くような光景が目の前に現れた。

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 同点で迎えた延長12回裏1死満塁の場面。守備に就いたドジャースは、なんと一、二塁間に4人の野手を一列に並べたのだ。打席に立ったのは、左打者のセス・スミス。何としてでも失点を防ぎたいドジャースは「スミスは打球を強く引っ張る傾向が強い」というデータに賭け、併殺、もしくは本塁でのフォースアウトを狙った。

 一塁ベースに1番近い場所に位置したのが、この日センターを守っていたアンドレ・イーシア、そこから二塁ベースに向かって一塁手エイドリアン・ゴンザレス、二塁手ディー・ゴードン、遊撃守ミゲル・ロハスと等間隔に並んだ。

 サッカーでFKの時に選手が一列に並んで「壁」を作るが、まさにそれ。ドジャースは野手で壁を作って、スミスの打球を外野に抜けさせない方策をとった。

 もちろん、壁の高さを超える打球を打たれたり、三塁手しかいないガラ空きの左翼方向への打球を打たれたらお手上げだ。だが、マウンド上のコレイアに低め速球を打たされたスミスは、ホームプレート近くでバウンドする球足の速い打球を一、二塁間へ飛ばした。

 待ってましたとばかりに捕球したゴードンが、本塁で待つキャッチャーのAJエリスに送球し、三塁走者は本塁でフォースアウト。エリスは併殺を狙って一塁に送球したが、ここはセーフとなり、結局はドジャースは続くグランダルに安打を許してサヨナラ負けを喫してしまうのだが、試合の勝敗以上に極端な守備隊形のシフトが注目を浴びることになった。

極端な守備シフトには選手から「あまり好きではない」との声も

 地元メディアの報道によれば、今回の珍しいシフトを発案したのは、ベンチコーチを務めるティム・ウォーラック氏。スミスの直前に打席に立ったエイブラハム・アルモンテの場面で二、三塁に走者を背負っていたため、中堅を守っていたイーシアを一塁手の位置に守らせて、内野手を5人とするバックホーム態勢を敷いた。

 アルモンテが四球で出塁して満塁となったため、“秘策”がお目見えすることになったのだが、「スミスが打ったゴロ系の打球は、必ずといっていいほど右方向だ。この策はハマると思った」と自信は揺るがなかった。

 最近は、守備隊形のシフトを敷く球団が年々増えている。より細かなデータ分析が行われるようになり、各打者の打球方向の傾向が顕著になったことで、これまでは打球を引っ張るパワー系打者にのみ適用されていたシフトが、どんな打者にでも適用されつつある。

 もちろん、これには賛否両論があり、結果を見ても、シフトにより助けられた試合もあれば、シフトが原因で負けた試合もある。実際に戦っている選手たちの声を聞いてみると「あまり好きではない」という声が多いようだ。それというのも、野球の本質が変わってしまう気がする、という理由からだ。

 確かに、シフトによって打球を阻まれてしまうのであれば、そうならないような打球を打つ工夫をしなければならないだろうし、セフティバントでシフトの逆を突く内野安打を重ねる選手が増えたら、多少なりとも野球の性質は変わることになるだろう。

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最終更新:9月5日(金)9時29分

Full-Count

 

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