既報の通り、ロジクールからBluetoothマルチデバイスキーボードことK480が発表されました。発売日は9月12日ですが、これに先立ち、84キー日本語レイアウト版モデルの記者発表会と体験会が開催されました。
本機の場合、キーレイアウトを除いた基本仕様に関しては英語版と共通のため、ここでは実機でのインプレッションに絞って紹介します。
機器切り替えダイアルとスタンドの完成度に驚き
まずは、本機が備える2つの特徴である、ペアリングした3台の機器を切り替えるダイアルと、スマートフォンやタブレットを設置する(立てかける)ための大型の溝に関して。
本機の肝とも呼べるこれらの機能ですが、実際に触れる前は、実はLogitech/ロジクールがたまに
そのようなスタンスで触れたため、わりとネガティブな状態からの体験となりましたが、実際に触ってみてその疑念はいい意味で覆されました。ダイアルも溝もシンプルですが、それゆえにしっかりと動作し、操作性もかなり優秀です。
まずは動画をご覧ください。これはNexus 7 2013に対してペアリング済みの状態で、本機のダイアルを回して接続 切断 再接続と操作した状態ですが、切り替えのタイムラグはかなり少ないことがわかります。切断は0.5秒以内でほぼリアルタイム、再接続もおよそ1.5秒以内と「ダイアルを回して一呼吸すれば、だいたいは入力が可能になっている」タイミングです。
この動画では説明のために1機種だけですが、今回はiPad miniとNexus 7 2013、そしてシャープのスマートフォン203SHという3台で試してみたところ、体感できる範囲ではどのモデルでも同じタイミングで切断や再接続が可能でした。iPad miniに関しては再接続がさらに速く、1秒程度しか待たされないほどです。
もちろんBluetooth接続である以上、本体側の処理能力にも左右されると思いますが、これだけ速い切り替え速度であれば俄然興味が出てきた、と思う方は多いのではないでしょうか。
次にスタンド機能、つまり溝に関してですが、こちらは角度の上手さと、シンプルな構造がポイント。というのも、この溝には固定機構的な仕組みがまったくないため。立て掛けた機器は、溝の角度でバランスが保たれ、さらに本機の820gという本体重量で支えます。ちなみにこの重量は、機器を立て掛けた際のバランスを取るため、内部に重りを入れているとのこと。
ただしそれゆえに、大きさ制限内であれば、ほとんどのスマートフォンやタブレットがスムーズに出し入れできるのは、確実なメリットでしょう。多少ラフに入れても、すっと入れてサッと立てかけられます。
さらに本体ギリギリと呼べるほどの横幅があるため、立て掛けられる機器の幅は最大で258mm、厚さは10.5mmまで対応します。タイトル画像や公式動画ではさらりとスマートフォンとiPadを並べて立てていますが、会場で実際に配置してみても、意外と隙間があります。
ちなみに会場には、溝側の公称幅より大きいNexus 10(幅263.9mm)がありましたが、これもわずかな隙間を残して入りました。
ただ気になったのは、厚さに関して。会場では10.5mmという数値はスマートフォンをケース付きで入れることを前提としているというコメントが出ましたが、タブレットに関してはケースを付けた状態では入らないものが多いことになります。
ちなみにスマートフォンやタブレットの重量制限に関してロジクール側に問い合わせたところ、公式には発表していないとのこと。ただし目安としては「現在一般的なスマートフォンとiPadを並べて使い、画面をタップしても安定するように設計している」とのことでした。
ペアリング設定の工夫が光る
さらに感心したのが、ペアリング時の設定。本機の隠れたポイントが、一部キーの機能が異なる2種類のOS群(1つ目はWindowsやAndroid、2つ目はMac OS XやiOS)の両方に対応する点です。これをわかりやすく設定できるように、本機はこの2種類ごとに「PC」「i」と書かれたペアリングボタンを用意します(写真は操作ガイドシールが貼られた状態です)。もちろんこれはキーボード側に記憶されるため、意識するのはペアリング時のみ。さらにダイアルを回して機器を切り替える際には、逐一どちらのモードかをLED表示してくれます。
キートップの印刷も、2つのモードで大きく機能が分かれる特殊キーや記号キーは、PC側とiOS側の両方を併記。さらにAndroid機で一部の記号キーの動作が表記と異なる場合、それを補正するソフトウェアもダウンロード可能です。
また感心したのが、WindowsでのPrintScreenキーがiOS機でもスクリーンショット用のキーとして動作する点。AndroidはもとからPrintScreenキーでスクリーンショットが撮れますが、iOSの場合、キーボード側が共用と謳っていても、実際にはこうした細かな差異までは吸収してくれない製品もあるからです。
実際にゲームなどでとっさにスクリーンショットを取りたいとき、本機が接続されていればキー一発でOKというのは想像以上に便利です。
さて、基本的なキータッチに関しては、個人の好みが分かれるところですが、この価格帯の製品としては決して悪くない印象。
主要なキーのタッチとしては、キーの押下圧は公称値である60gとは思えないほど軽く、柔らかめ。なおかつ反発は強めなので、軽めのキーボードに慣れているユーザーにとっては快適に使えるのでは、と思いました。
総じてK480は、コンセプトが面白いだけでなく、売りとなる機能の実用性もかなり高く、さらに価格も手頃という、Logitech/ロジクールのBluetoothキーボードの中でもかなり面白い品に仕上がった一品。ポップな外観からはいい意味で想像できないほどの隠れた実力者といったところです。
「複数台の本体を切り替えて使うBluetoothキーボード」というコンセプトに共感を持たれた方には、ぜひ一度触ってほしい製品です。