従業員に「経営者目線を持て」という謎の要求 | あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
経営者目線を持っても従業員は経営者ほどの給与が貰えないのでバカバカしいとのことであるが、この人は世の中の仕組みを全然理解できてないなあ、と思った。
従業員の給与が経営者より少ないのは、経営者に比べてリスクや責任を負っていないからだ。
リスクや責任の大きさとリターンの大きさは表裏一体であり、ほとんどの物事はハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンが当てはまる。経営者と従業員の関係もおおよそこれに当てはまる。
ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンは世の中の基本も基本、大原則だ。
会社の業績が悪化したり、何かスキャンダルが起きて株価が暴落しても責任追及を受けるのは従業員ではない。
会社が潰れて大きな借金が残ったとしても、それを従業員が被ることもない。
従業員は経営者に比べてローリスクな分だけ、リターンも少ないのは当然だ。
ローリスクの立場で、どれだけ利益を上げたとしても、リターンは少ない。
ハイリターンを得たければ、ハイリスクをとる立場になるしかない。
それでも多くの人はリスクを取りたがらない。労働者としての価値も希少性が高いほど上がっていくのだからハイリスクをとる立場の人間の給与が高いのは当然だ。
この人は過去に会社を作ったと言っているが、借金をしてリスクをとったこともなければ、給与を支払うことで自分以外の誰かの生活を守るという責任を負ったこともないのだろう。
そうしたしがらみや責任やリスクがあるからこそ、経営者の給与は従業員の給与より高いのだ。
会社は経営者のものではなく株主のものだ。
もし仮に、経営者が従業員に対して「経営者目線を持て」と促すことで会社の業績が良くなることにつながるのであれば、経営者の責任としてそれは行わなければならない。
そうしないことで「株主」に責任追及を受けるのは経営者であり、そうしたリスクを負っているのも経営者だ。だから給与も高い。従業員もそれが気に入らないなら、リスクをとる立場になればいい。なりたくないなら安い給料に甘んじるしかない。
そんな風にして世の中は回っている。
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