なんか色々とハメられまくって特性が見えてきたので、ちょっと書いておきたいと思います。
■そもそもこのソフトってなによ
PT3とかのチューナーでTV録画環境を作るためのソフトです。
Windows環境で作るとruntimeとかでハマるから、最近はこういうLinux環境で組むのが楽ちんかなと勝手に思ってます。
そういやコミケ(C86)でChinachuとfoltiaのサークルが隣同士で並んでたのでなんだかいたたまれなくなりました。準備会はもうちょい考慮してもいいと思います。
Chinachuは普通の録画環境なのに対してfoltia ANIME LOCKERはその名の通りアニメに特化してるので、この2つを比べるのはあまり意味がない気もするのですが、Chinachuだって名前を見ての通りそんな感じだしデフォルトのID/passもアレなので、一応は根っこが同じということで両方について使ってみて思ったことを書いてみたいと思います。
・Chinachu
・foltia ANIME LOCKER (もうすぐ4.0へメジャーバージョンアップ)
■Chinachuの利点
かなり最新どころというかホットな技術基盤を使ってとにかく軽量。DBも使ってなくて全部JSONというのも面白いところです。
機能も必要最小限に抑えられてます。ノリとしてはWebUIで操作するTVRock。
WebUIもフラットなイマドキ風で好感度はとても高いです。
とにかく録画に特化してシンプル。シンプルイズベスト。「こういうのでいいんだよ」。
録画予約はEPGを使用。野球延長とか勝手に追従できるのはEPGのいいところです。予約番組のワードを登録してEPGから引っかける方式。
仕様やREST APIも公開されてるので、幸せになれる人も多いかと思います。
twitter APIのkeyを突っ込めば録画完了時にtwitterに書き込めるようです(まだ試してない
あとTOKYO MXのSDチャネルとかワンセグ抜きを「確実に」やってくれるのは好感度が非常に高いです。
■foltia ANIME LOCKERの利点
Chinachuと真逆で色々とリッチです。内部的にはPostgreSQL+PHP+Perlですかね。
Live配信はおろかネットラジオ録音に自動MP4エンコ、新バージョンでは自動CM編集とか。あと地味に便利なのは録画後のサムネイル自動生成ですね(ニュース速報テロップやL字の確認が簡単)。
CentOS込みで提供されるので、インストールすればサクッと使えます。USBやCIFSでHDDを繋いで変に凝ったことをしなければLinuxの知識は必要ないのでは?基本はLinux的にいじらずツルシで使うもので、普通にsambaも設定されているので「見たり退避させたりはWindows機とかのクライアントでお願いね」というスタンスで全てがパッケージングされてます。
予約は基本的にEPGじゃなくてしょぼかる。「新番組アニメリスト」という機能があるので、番組改編期はこのリストをクリックして片っ端に登録するだけ。EPG運用経験者なら分かると思いますが、毎度の番組改編期にAV watchのアニメリストを見ながら何十本分もワードを登録するつらい作業も必要もなく、とにかく涙が出そうなくらい楽です。そしてなによりミスも防げます。
しょぼかるは有志による人力登録なので、登録ミスとか野球延長とかにものすごい不安がありましたが、いざ運用してみるとその手のトラブルはほとんどないです。あとアニメじゃないのにアニメファンが見そうな番組(孤独のグルメとか)も何も言わずにリストに入ってるのは嬉しいですかね。もしかしてEPG運用よりよっぽど信頼性高いんじゃ…ただしょぼかると一蓮托生というのはあります。
あと地味なメリットとしては「商用」ってところ。デメリットに見えそうですが、なにかあればWebUIからすごく気軽に(ここ重要)サポートに質問や要望が投げられますし、回答もすごく早いです(実はヒマなんだろうかw
■Chinachuの弱点
設定はJSONを手書きする必要があるので、少なくとも初心者向きじゃないです。
予約ワードの登録にけっこう癖があります。ただ中の人にある程度は伝わってるので将来修正されると思います。気になる人は最新情報を必ずチェックするなり自分で検証してください。
放送波を「地上波+BS」と指定してタイトルを入力しただけの設定だと一部番組で予約を取りこぼします。おかげで今期はヤマノススメとかその他全滅しました。なので予約ワードを突っ込むときはタイトルだけを入力し、放送波のチェックは入れないこと。検索の誤爆で余計な番組を録画されるのを回避しようとすると逆に泣きを見る可能性が高いです。誤爆上等という気持ちでいきましょう。
あと全くバグではないですがタイトルは全角と半角を区別するようです。これもかなりの今期アニメの録画を失敗する原因となったようです。登録するとき全角と半角の両方でワードを突っ込むしかない。これはこちらの責任ですかね…。
この辺の「予約ワード登録とその検索の挙動がユーザの想定と剥離してると泣くハメになる」というのはChinachuに限らずEPGベースの録画システムの弱点といえるでしょう。でもTVRockはその辺が結構優秀だったんだけどなあ…。
ここはとにかく番組改編後は2週間ほど細かく挙動をチェックするしかないですね。非常に面倒です。
あとオープンソースが故の敷居の高さってのもあります。使用と結果は自己責任ですし、問い合わせやその他やりとりの敷居が高いです。twitterでつぶやくと中の人がエゴサして助けてくれるのですが、中の人のスキルが圧倒的に高いので、ユーザののスキルによっては結構疲れる可能性が高いです(もちろん中の人は当然それ以上に疲れてるはずなので大変だとは思いますが)。
でも使ってたらバグ報告だけでもいいからコミュニティへの何かしらの貢献を目指すのはこの界隈での一つの使命です。
そういやChinachuのWebにはubuntu推奨って小さく書いてあるけど、ubuntuだと最近kernel panicで頻繁に落ちてubuntu嫌いに拍車がかかりました(M/B+CPU、メモリ、電源交換したけど解決しなかった)。CentOSに変えたら安定して動いてるっぽいので、宗教上の理由がなければCentOSがいいと思います。
■foltia ANIME LOCKERの弱点
3.0はBaytrail-Dではインストールできません。USBドライバがらみのようです。だから4.0が出るまでのツナギと思ってChinachu使い始めたのよね…4.0はCentOS6.5ベースだから多分動くでしょう。
難点なのは高機能が故に重いです。ただTS抜き録画するだけならそんなにCPUは必要ないんでCore2Duoクラス(==Baytrail-Dクラス)で余裕です。
foltia LIVEはffmpegでエンコしながら流してるので、Core i7でないと厳しいでしょう。ちなみにffmpegを使わずにSpinelのように生TSストリーミングする方法は非公式ですが、元から入ってるrecpt1でVLCを使えば可能です。
あと録画終了後にサムネイル生成やらでffmpegが走り、CPUをフルに使ってくれます。もっともこれはよく考えられててniceが15に設定されているので、別の番組の録画が走ってても影響を喰らうことはありません。ただリソース監視してると、niceなプロセスがCPUの8割を喰ってるとか、録画サーバなのに何故かHDDのreadのIOPSがアホみたいに高いという、愉快な状況を見ることができます。4.0の自動CM編集を使うともっと面白いかも。
録画予約が基本はしょぼかるでありアニメ録画に特化しているため、アニメ以外の番組のためにEPGに予約を突っ込むのが使いにくいです。深夜アニメなんか見ない一般人は買ってはいけないパッケージです(普通は買わないと思うが)。
あとEPG予約ワードを突っ込んだまま放置して数が増えるとPostgreSQLの検索がすごく重くなるので、番組改編期は真面目にEPG予約ワードの削除を行いましょう(よく覚えてないけどクエリ見たらアッー!という感じだった気がする)。
■どっちがいいの?
人それぞれです。
「超軽量でスタイリッシュで設計やコンセプトもしっかりしているChinachu」
「リッチで重量級で有償だけど(アニメ録画だけは)色々便利なfoltia」
という解釈でいいと思います。
Chinachuはある程度はLinuxに触れられないと厳しいです。逆にfoltiaはLinuxに慣れてなくても「市販のBDレコーダと同じノリで使いたい」という要望は満たせると思います。あとは金を出して番組改編期に楽をしたいか、金は無いけど凡ミスが許容できるかどうかですね。
もちろんアニメなんぞ見ない一般人はChinachuしか選択肢がありません。
それぞれのメリットがそれなりに大きいから、どちらがいいかってのは断言できないんですよね。金があれば2台準備するか仮想化でPCIパススルーを駆使して両方運用させてみるのも面白いでしょう。あれ、そういえば1枚なにかTS抜きカード余ってたような…(泥沼の始まり