情報デモクラシー2014:歩き方で通行人認証 JR大阪駅で秋にも実験計画
2014年08月02日
市民の反発を受けて延期されたJR大阪駅(大阪市北区)の駅ビル「大阪ステーションシティ」での通行人の顔認証実験について、独立行政法人「情報通信研究機構」(東京都小金井市)は、歩き方や服装などを基にした認証も実施する計画を、有識者による第三者委員会に提示した。認められれば、今秋以降から来年度にかけて数回実施される見込みだ。
機構の計画では、顔や歩き方(歩容)、服装、髪形など外見的特徴に基づき、カメラに映った人物を識別してIDを付け、駅ビル内でどう移動するかを追跡する。人の流れをつかみ、災害時の避難計画を立てる際に有効なデータになるかどうか検証するという。
映像はそれぞれの特徴を数値化した時点で消去し、個人の特定もしない。歩容などのデータと顔データも結びつけない。被験者を募って事前に小規模な実験をする▽実験中は看板やポスターで通行人に告知する−−ことも、第三者委に提示している。
機構は昨年11月の計画公表以降、顔認証についてのみ説明してきた。新たな認証手法が加わったことについては、「当初からさまざまな技術を想定しており、顔はその一例だった」(能見正・ネットワーク研究本部統括)と説明する。
歩容と外見的特徴による認証は大阪大産業科学研究所との共同研究で、4月に契約が結ばれた。
所長の八木康史教授は歩容認証研究の第一人者で、警察の依頼で防犯カメラ映像の歩容鑑定なども手がけてきた。不特定多数の人々が行き交う環境での実験は初めてといい、「人数の多さや人の動く方向など複雑な要素が多く、やりがいがある」と八木教授は話す。阪大側は顔認証には関与しない。また、不鮮明な画像を解析の対象とするため、「肖像権の問題は生じない」(八木教授)という。
ただ、機構は「第三者委で議論している最中で、計画通りに実施するかどうかは未定」(能見氏)と強調する。
機構は今年4月に実験を始める予定だったが、市民の反発を受けて延期した。研究者や弁護士による第三者委を設置し、プライバシー保護の方法などの検討を依頼している。第三者委の会合は計4回の予定で、7月までに3回開かれているが、能見氏は「予定通りに終わるかどうかも含め分からない」と話している。
一方、政府は個人情報に当てはまらない個人の行動に関する情報(パーソナルデータ)の扱いをルール化するため、個人情報保護法を来年改正する方針だ。機構は、この議論の行方も考慮するという。【日下部聡】
◇情報通信研究機構が設置した第三者委員会「映像センサー使用大規模実証実験検討委員会」のメンバー
<委員長>
菊池浩明・明治大教授
<委員>
石井夏生利・筑波大准教授