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2014-08-02

[]野田事件における証拠の捏造疑惑

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関連エントリ

http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20140715/p1

http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20130723/p1

ハフポ日本版なんぞには言及したくないのですが、先日再審請求がおこなわれた野田事件における証拠の捏造疑惑についての記事がアップされています。

http://www.huffingtonpost.jp/tomoko-nagano/noda-jiken_b_5636851.html

この捏造疑惑については、1991年刊の『ほんとうは 僕 殺したんじゃねえもの』でも指摘されていました。浜田氏に従って布片についての供述の変遷をまとめると次のようになります。

・10月2日:切り取り自体を認めず。

・10月4日:川の中に捨てた

・10月5日:ズボンのポケットに入れた

・10月8日:ズボンに入れたが、のちにズボンを履き替えた。そのとき布片があったかどうかはわからない。

そして問題の10月9日の取調べを迎えます。

   ほんとにズボンに入れてあるのにな。ズボン――

   えらい向こうのお巡りさんに言ったのにな、ズボンに入ってるって入ってねえのかな。

宮崎 入ってねえからよ、どっかに兄ちゃんしまったんじゃないの?

   だって、あのー女の子の名前書いたの、ほんとに置いてないよ、どこにもよ。

宮崎 しまったんじゃない?

   しまわねえもの。

(321ページ)

「宮崎」は取調官の名前、発言者が明記されていないものは当時被疑者だった青山さんの発言です。冤罪であるという前提でこのやりとりを解釈すれば、取調官が客観的事実に符合しない供述を撤回させようとするのに対して、被疑者は他のストーリーを思いつかずに困惑している……となります。布片がズボンの中にはなかったから「お兄ちゃんがどっかへ隠したんじゃないかなあ」ということで質問しているのだ、ということを取調官が重ねて説明した後、確定判決が採用した筋書きが登場します。

   あのよー、黒いのでよ、このテープみたいなやつ、こんなちっちゃいの無いかい? このちっちゃいの、このなんだあれ、

宮崎 書いてみないと分んない。

   こういうの無いかい? 付いてねえかい。あの紐で、ふたつになっててよ、紐は何だい、あれ、ビニールでのっかってよ、――この中によ入ってんだもんな。今持ってくれば出すのにな。

中島 その中に入れてんの?(笑いながら)

   うん、ほんどだよ。

中島 どっちのポケットにあったの? ズボンの、

   この、こう、

宮崎 何かに入れてあるの? 定期入みたいな中に入れてあるの?

   うん、持ってくれば分るんだよ、どっちに入れてあるか。そのよ、何だ、鎖みたいなのあったろうよ、鎖じゃない、……あれ持ってくれば分るんだよ。

(322-323ページ、「中島」はもう一人の取調官、強調は原文では傍点)

これは午前中におこなわれたやりとりですが(昼食より前の時刻であることがテープで確認できる)、布片が定期入れから“発見”されるのは午後3時過ぎのことです。しかし取調官は証拠の定期入をチェックしに行っています。押収物保管係の警察官は一審法廷で宮崎警部補に押収物を貸し出したこと、その日時が9日の午前10時頃だったことを証言しています。そして取調官が戻ってきて、ハフポの記事でも引用されているやりとりがおこなわれます。

宮崎 これは、何と何入ってんだ? どんなもの入ってんだ?

   まいったな、……。

宮崎 そっちに何かあるって言ったら、あるって。どんなのがあるって言ったら、……紐が付いててよ。紐のところにね、ビニールの袋みたいなのがあるって。その中、全部あけて見せてくれって、開けて見たらよ、なにもなかったって、

   また冗談言ってるな。向こうのお巡りさんも。

宮崎 いや、冗談じゃないよ本当だよ。

   ……………………?(聴取不能)

宮崎 それじゃねえよ。持って来る。

   時間かかんの?

宮崎 だから、お兄ちゃんに見てもらうんだよ。

   時間かかんの?

宮崎 時間? 時間はなあ。一時間や二時間はかかる。

(328ページ)

このやりとりの問題点は2つあります。まず第一に、午後には定期入から“発見”されることになる布片がここでは「なにもなかった」とされていること。第二に、最初から定期入を取調室にもってくれば話は早いのに取調員は「なかった」と言うのみで、改めて「一時間や二時間」かけてとりに行く、と言っている点です。しかし前述の保管係の法廷証言では、押収品は昼休みに返却されたとしており、この供述に従うならば定期入れはいまだ取調官が持っていたことになります。「一時間や二時間」かかるはずがありません。仮に保管係の証言は記憶違いですでに返却していたのだとしても、取調室と保管所は同じ野田署内にあるのですから、やはり「一時間や二時間」かかるというのは不自然です。その後取調べは昼食休みに入り、午後3時過ぎには布片が“発見”されることになります。「一時間や二時間」は捏造の準備のために必要だったのではないか、と疑われる所以です。

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