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himaginaryの日記

2014-05-14

エコノミスト誌のエディプスコンプレックス?

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11日エントリでリンクしたGlomブログのErik Gerdingが、今度はEconomist誌の5大金融危機に関する論説噛みついている。その論説記事は、投資家リスクから保護した改革モラルハザードを招いて次の危機の原因となった、というトーンで書かれているのだが、同記事には以下の4つの重大な見落としがあるという:

  1. 多くの金融危機は国の救済やセーフティネットがさほど無い状況で起きた
  2. 19世紀の英国の危機――1825年恐慌、1837年恐慌、1847年危機、1857年危機、1866年のオーバーレンド・ガーニー危機――においては、会社法の自由化や企業株主有限責任の拡大が先行していた
  3. 1866年のオーバーレンド・ガーニー危機後に英国平穏な期間が50年続いた理由
  4. 1929年の大暴落について語る際に、FRBへの批判に言及していない
    • FRBが最後の貸し手として機能しなかったこと、重大な節目で破壊的な金融政策を追求したことへの批判に触れていない。
    • そうした批判者が推奨する金融政策は国家による介入であり、セーフティネットを通じてモラルハザードを招くものであるが、エコノミスト誌の主張に反し、そうした介入は必要。その不可避性を踏まえた上で、金融機関の規制方法を考えるべき。
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