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新潟県南魚沼市の親子グマ放獣報道に関して

南魚沼市が昨年12月に捕獲した親子グマを、今春、南魚沼市の山に放獣することは、南魚沼市の了承を得て、当協会と南魚沼市がずっと共に進めてきたことです。

 

しかるに、6月17日、新潟県のテレビニュースで、当会が5月上旬、新潟県南魚沼市の奥山に親子グマ3頭を放獣した件について、誤解を生むような報道がなされました。

 

放獣に至った経緯を、以下の通りみなさまにきちんとご報告しておきます。

 

昨年、12月9日、南魚沼市の診療所の縁の下で冬ごもりに入ろうとしていた親子グマが捕獲され、殺処分されそうになっているところへ、当会本部職員が駆け付けました。

この年、新潟県では生息推定数の58%にものぼる大量のクマが捕殺されており、クマと共存するためには、非捕殺対応に変えていただかねばならないと当会が判断したからです。

 

この親子グマに関しては、母グマが痩せすぎていたため、冬ごもり中に死亡する恐れがありました。そこで、当会でいったんこの親子グマを保護し、来春、山に放獣したいと申し出たところ、南魚沼市も了承されました(これについては、南魚沼市からも同じ旨の報道発表がなされています)

 

たくさんの方のご協力のもと、親子グマは安全な飼育環境の中、健康な状態で無事に冬を越すことができました。冬の間、当会は、放獣計画を提出するなど南魚沼市と放獣計画について協議をしてきました。

 

奥山の雪解けがはじまる4月に入り、放獣の準備のため当会職員が現地調査を行い、山にクマの春の食糧が十分にそろっていることを確認し、より詳細な放獣計画を提出しました。

 

南魚沼市の担当者からは、林道の除雪は南魚沼市でやりますから、放獣は熊森さんでお願いしますと言われていたため、準備万端整え、市からの放獣実施日の連絡を待っておりました。

 

南魚沼市は、放獣へ向けて調整しているようでしたが、具体的な放獣の日程が決まらないようで、時が経過していきました。

 

当会は、地域にとって最も安全にクマを放獣できるのは、バッコヤナギの花やブナの芽など山にクマたちの春の食料が豊富に出そろい、緊急事態宣言下で登山や山菜採りに入る人が少ない今しかないことを何度も市にお伝えし、あの手この手で放獣実施日の指定を催促し続けましたが、まだ日が決まりませんというお返事が続きました。

 

狭い檻の中での3頭の暮らしがもはや限界であることや、5月に入り、ほぼ密閉状態の保冷車の中が30度を超える状態となり、クマたちがいつ熱中症になってもおかしくない状況になってきたという報告を現場から受けたため、これ以上、放獣を遅らせることができないと判断、やむを得ず、当会の方で急遽、奥山に親子グマを放獣、その後、すぐに南魚沼市に報告をさせていただきました。人にとってもクマにとっても、最も安全に放獣できるタイムリミットでした。

 

公表が遅くなったのは、南魚沼市に公表の仕方について協議を求めていたのにもかかわらず、1か月近く待っても、とうとう市からのお返事がなかったからです。

 

親子グマは人慣れしないように保護しておりましたので、放獣の直前段階でも、人に対し強い警戒感を持っていました。このような場合、飼育グマを山に放しても、人間の所には帰ってこないことが、過去のいくつもの実験例から確かめられています。人間の所に戻ってくるのではないかというのは人間の思い込みにすぎません。

 

この親子グマも予想通り、人間の所には戻って来ませんでした。

市に提出した放獣計画にのっとって当会職員が、放獣後1週間、現地をパトロールし続けましたが、親子グマはもはや影も形もありませんでした。

今頃は、奥山の広い山野を駆け巡っていることでしょう。

 

不自由な狭い檻の中になど、二度と戻りたくないのだろうと思います。

 

このせまい檻の中で5か月間も耐えた親子グマ

 

 

 

 

 

 

 

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