西アフリカ エボラ出血熱再流行に備える日本の研究者

西アフリカ エボラ出血熱再流行に備える日本の研究者
k10010971711_201705060713_201705060719.mp4
西アフリカで過去最悪の規模で広がったエボラ出血熱の流行では、1万1000人以上が犠牲となりました。現地では、新たな流行に備え、日本の研究者たちが協力し、感染予防に向けた取り組みが続いています。
西アフリカのリベリア、シエラレオネ、そしてギニアの3か国では、2014年からおよそ2年にわたってエボラ出血熱が過去最悪の規模で流行し、1万1000人以上が犠牲となりました。

ウイルスの研究で世界的に知られる、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授の研究チームは、地元の研究者とも連携して、3年前の流行時にシエラレオネに拠点を作り、流行が終息した今も現地で研究を続けています。

エボラウイルスは感染したときの致死率が高い病原体として知られていますが、河岡教授たちが注目しているのは、感染しても、回復することができた患者や、発症さえしなかった人たちの存在です。こうした人たちの血液を調べることで、新たな治療薬の開発などにつなげられると考えているのです。

河岡教授たちは、ことし3月には、被害が特に大きかった中部の都市、マケニに入って、地元の人たちに研究の意義を繰り返し説明し、多くの住民から血液の提供を受けることができました。エボラ出血熱で娘を亡くし、看護しているときにみずからも感染して、その後、回復したマビンティ・シェセイさんも、呼びかけに応じた1人で、「多くの患者の命を救ってもらうため、協力することにしました」と、河岡教授たちの研究に期待を寄せていました。

さらに、河岡教授たちは、新たな感染拡大を防ぐために、地元の人たちの意識を高める取り組みも進めています。日本から参加した専門家と協力して、街なかに大型スクリーンを設置し、集まった大勢の住民に、エボラ出血熱の流行を抑えるために注意すべき点を伝える啓発ビデオを紹介しました。

河岡教授は「流行は必ず起きるので、いかに被害を最小限にとどめるかが重要です」と強調し、シエラレオネの人たちが自分たちの力でこの病気に向き合っていけるよう、医療関係者などの育成にも取り組んでいきたいとしています。