サウジアラビア国王 きょう 46年ぶりの来日

サウジアラビア国王 きょう 46年ぶりの来日
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世界屈指の産油国、サウジアラビアのサルマン国王が12日から日本を訪問します。サウジアラビアの国王が来日するのは46年ぶりで、滞在中、安倍総理大臣との首脳会談などを通じて、国を挙げて取り組む石油生産に依存しない経済改革への協力を求めることにしています。
日本が輸入する原油のうち、最も多いおよそ3分の1を供給するサウジアラビアは、原油価格の低迷で3年連続で赤字財政に陥っていて、国の将来への危機感から、石油生産に依存しない「脱石油」を柱とする経済改革を進めようとしています。

サルマン国王は、12日から4日間の日程で日本を訪れ、安倍総理大臣との首脳会談などを通じて、経済改革の実現に向けた日本企業による投資や技術協力などを求めることにしています。

これに対し、日本側は、原油の安定的な供給とともに、経済改革の一環とされる国営石油会社の株式公開をめぐり、東京証券取引所も上場先に選ぶよう求めるなど、関係の強化を話し合いたいとしています。

サウジアラビアの国王が来日するのは1971年以来46年ぶりで、サルマン国王は、閣僚や王族など1000人を超える大規模な随行団を伴う見通しです。

サルマン国王は、4日間の滞在中、天皇陛下とも会見することなっているほか、訪日に合わせ、両国の企業などが参加するビジネスフォーラムなども開かれる予定です。

サルマン国王とは

サウジアラビアのサルマン国王は81歳。19歳の時に首都リヤド州の知事に就任して50年以上にわたって知事を務めたあと、2012年、皇太子に任命され、おととし、兄のアブドラ前国王の死去に伴って国王に即位しました。

その3か月後には、当時29歳だった息子のムハンマド国防相を王位継承順位第2位の副皇太子に任命し、若い世代の王位継承の道を開きました。

王位に就いたあとの2年間、原油価格の大幅な下落への対応やペルシャ湾の対岸のイランとの国交断絶など、国を揺るがす出来事が相次ぎ、国防相を兼務するムハンマド副皇太子に石油依存からの脱却を目指す野心的な経済改革や隣国イエメンでの空爆作戦などを一手に任せています。

サウジアラビアの国王はメッカとメディナの「2大聖地の守護者」を名乗り、およそ16億人の世界中のイスラム教徒から一目を置かれる存在です。

一方で、サルマン国王は、おととし、およそ1000人の随行員を伴ってフランスの保養地に滞在するなど、豪勢な外遊で話題を集めました。

日本には、リヤド州知事だった1998年に続き、3年前にも皇太子として訪れていますが、サウジアラビアの国王としては、1971年のファイサル国王以来の46年ぶりの来日となります。

国王の日本訪問の目的は

サウジアラビアは、原油価格の低迷で、ここ数年、財政難が深刻化しており、石油に依存した経済から脱却しなければ、国の将来が立ち行かなくなると危機感を強めています。

このため、今回のサルマン国王の日本訪問は、「脱石油」を柱にした経済改革への協力を求めることが目的です。

サウジアラビアのシンクタンク、ガルフ・リサーチ・センターのジョン・サファキアナキさんは「サウジアラビアは、ビジネス面や国益を考え、今やアメリカ以上にアジアを重視している。資源が限られているのに人材育成と技術をうまく組み合わせて成長してきた日本に学びたいと考えている」と話し、特に人口の60%を超える30歳以下の若者たちの職業訓練などへの協力や製造業の進出に期待していると指摘しました。

一方、サウジアラビアの実業家フセイン・ショボクシさんは、経済改革への協力をめぐり、サルマン国王は、日本のあとに訪れる中国にも大きな期待を寄せていると指摘します。

ショボクシさんは「中国は、この地域がお金になると考えているだけでなく、戦略的な国益を重視して入り込んでおり、すでに紅海沿いの経済都市構想で港湾などを含めた計画から完成まで丸ごと手がけるプロジェクトを進めていて、長期間の投資を約束している。サウジ側としては、中国との競争意識から日本も同じように関心を持ってもらいたいと考えている」と話し、サウジアラビアとしては、石油の供給元としての立場を最大限利用して、日本と中国を両てんびんにかけていると分析しました。