ヤマト運輸 人手不足で宅配サービスを抜本見直しへ

ヤマト運輸 人手不足で宅配サービスを抜本見直しへ
ネット通販の拡大などによって宅配便の量が急増し、人手不足が深刻化しているとして宅配最大手のヤマト運輸は、正午から午後2時は時間帯指定の配達をやめるなど、宅配サービスを抜本的に見直す方針を固め、来年度中の実施を目指すことになりました。
ヤマト運輸は、ネット通販の拡大などで宅配便が急増したことに伴い、ドライバーなどの不足が深刻になっており、労働組合はことしの春闘で、今の人員の体制では対応が難しいとして、宅配便の引き受けを抑えることなどを会社側に要求しています。

このためヤマト運輸は、今の宅配サービスを抜本的に見直す方針を固めました。
具体的には、朝から夜まで6つの時間帯で荷物を受け付けている時間帯指定のサービスについて、利用が比較的少ない正午から午後2時までの配達をやめ、ドライバーなどが昼の休憩時間を取得しやすくします。
また、集配業務の終了時間をこれまでよりも早くするために、現在は午後9時までの夜間の配達時間帯の変更を検討する方針で、来年度中の実施を目指すことになりました。

このほか労働組合が求めている、宅配便の引き受けの抑制については、大口の取引先と引き受け量や料金の値上げなどについて交渉を始めることにしています。

宅配業界は、注文のあった日に直ちに荷物を届けたり、時間帯を指定して配達したりするなどのサービスを拡大してきましたが、宅配便の急増にどのように対応するかは共通の課題となっており、最大手のヤマト運輸のサービス見直しは、ほかの会社にも影響を与えそうです。

拡大するネット通販市場

経済産業省のまとめによりますと、国内のネット通販市場は、2015年に13兆7700億円余りとなり、5年前の2010年と比べておよそ1.7倍に増加しています。

また、個人が購入した商品のうち、ネット通販を通じた取り引きは、2010年は全体の2.8%でしたが、年々増加し、2015年には4.7%を占めています。

消費者が購入した商品のうち、ネット通販で買ったものの割合は「家電やパソコン」などは28%、「書籍や映像・音楽ソフト」は21%、「家具や雑貨」などは16%を占めています。

配達数は37億個突破

国内の宅配便の配達数は、ネット通販の普及にともなって増加し、2015年度には37億個を突破しました。

国土交通省のまとめによりますと、国内の宅配便の配達数は1990年度は11億個余りでしたが、ネット通販が普及し始めた2000年度には25億個を突破。

さらに、注文したその日のうちに商品を配達するサービスの充実などでネット通販の市場は拡大を続け、2007年度には30億個を突破。2015年度には37億4500万個に達しました。

再配達で人手不足に拍車

宅配便の再配達が増えていることも、ドライバーなどの人手不足に拍車をかけています。

国土交通省によりますと、国内の宅配便のうち、届け先が不在で、再配達される荷物の割合は全体のおよそ2割にのぼっています。

国土交通省は、再配達のために年間およそ9万人に相当するドライバーが働いていると試算していて、再配達の増加が人手不足に拍車をかけていると分析しています。

このため国土交通省は、宅配便を受け取る人が不在かどうかに関係なく、荷物を預けることができる「宅配ボックス」を駅やコンビニエンスストアなどに設置する業者に対して、費用を補助する支援を始めるなど対応を急いでいます。