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慰安婦合意から1年 反対世論にも履行進む

【ソウル聯合ニュース】「今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」――。

 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が昨年12月28日、ソウル市内で開かれた岸田文雄外相との会談後、共同記者会見で旧日本軍の慰安婦問題をめぐる交渉の妥結を発表してから間もなく1年となる。

昨年12月28日、共同記者会見を行う尹長官(右)と岸田外相=(聯合ニュース)
昨年12月28日、共同記者会見を行う尹長官(右)と岸田外相=(聯合ニュース)

 合意を通じ、日本政府は「慰安婦問題は当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」として、「責任を痛感している」と表明した。また、岸田外相が安倍晋三首相の「おわびと反省の気持ち」を伝えた。慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復し、心の傷の癒やしのための事業を行う財団を設立し、日本政府の予算で10億円を拠出することにした。

 その上で、両氏はそろって同問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを宣言した。

 1990年代の「アジア女性基金」や韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権(2008〜13年)時代に合意寸前に決裂したいわゆる「佐々江案」(日本首相の謝罪の手紙や日本政府予算を使った補償などを盛り込んだ解決案)の失敗を経て交渉のテーブルについた両国の政府は20カ月の間、10回以上局長級協議を開くとともに、李丙ギ(イ・ビョンギ)大統領秘書室長(当時)と谷内正太郎国家安全保障局長が10回近く秘密接触を行うなどし、ようやく合意に至った。

 中国をけん制するための韓米日の3カ国連携に必要な韓国と日本の関係改善を求める米国の要求、韓国内外で提起されていた中国傾斜論、日本との関係悪化への懸念などが合意の背景にあったという見方が多い。

 慰安婦問題を日本との首脳会談とリンクさせてきた朴槿恵(パク・クネ)大統領は昨年11月2日の安倍首相との初めての首脳会談から約1カ月後、慰安婦合意にゴーサインを出した。発表は両国の外相が行ったが、両首脳の政治的な決断による合意だった。

 両国政府は速やかに合意の履行に入った。

 韓国政府は今年7月、慰安婦被害者の支援を行う「和解・癒やし財団」を発足させた。合意当時に生存していた被害者46人中、半数以上が日本政府の拠出金で支援を受けたか、受ける意向を表明している。日本が履行する措置は事実上終わり、韓国の被害者支援事業も折り返し点を過ぎた。

 だが、被害者の理解を得る手続きが不十分だったこともあり、合意は韓国内で歓迎されなかった。

 日本政府が責任を認め、政府の予算で被害者支援に乗り出したことは成果だったが、「法的責任」を認定するよう求める被害者の期待には及ばなかった。安倍首相が10月3日、おわびの手紙を被害者に送る可能性について「毛頭考えていない」と述べると、謝罪の真意を疑う声が高まった。

 間もなく1年を迎える合意は両国の国民に認められず、「政府間の合意」として残っている。さらに、韓国の野党は合意の無効を主張しており、「最終的かつ不可逆的」な合意として残るかどうかは未知数だ。

 韓国外交部東北アジア局長などを務めた趙世暎(チョ・セヨン)東西大教授は合意の本質的な問題は「コミュニケーション不足」にあるとして、「政府が設立した慰安婦支援財団に対抗し、民間が『正義記憶財団』をつくったこと自体が被害者と支援団体に対する説得努力が足りなかったことを示している」と指摘する。また「合意を予定通り履行することは重要だが、次期政権が発足した後、合意に対する反対と不満が大きくなり破棄せざるを得ない事態になることを防ぐためにも、政府は一歩立ち止まって国民に理解を求め、説得するため謙虚に努力しなければならない」と提言した。

 ソウル大の朴チョル熙(パク・チョルヒ)国際大学院長は「合意を批判することはできるが、再交渉は日本という相手があるだけに現実的ではない」として、「すでに『和解・癒やし財団』の支援を受けた被害者がおり、生存者が減っている現実的な限界も認識すべきだ」と述べた。

kimchiboxs@yna.co.kr