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【シリア情勢】「米国排除」が鮮明に ロシア、イラン、トルコの協力関係強化

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【シリア情勢】
「米国排除」が鮮明に ロシア、イラン、トルコの協力関係強化

3日、シリア・アレッポの東部で、大きく被害を受けた街をパトロールする兵士(AP) 3日、シリア・アレッポの東部で、大きく被害を受けた街をパトロールする兵士(AP)

 【ワシントン=加納宏幸】シリア内戦をめぐる和平協議でロシア、イラン、トルコの3カ国が協力関係を強め、「米国排除」の構図が鮮明になってきた。オバマ米政権は、シリアのアサド政権やロシアによる北部アレッポ攻略で民間人に多くの被害が出ていることを「残虐行為」と非難し、反体制派への支援も続けてきた。アサド政権の存続を前提としたロシア主導の和平工作が進めば、中東での米国の地位低下は必至だ。

 3カ国は20日にモスクワで開かれた外相会談で、アサド政権と反体制派の和平協議を仲介し、停戦に向けて支援することで合意。米国務省のカービー報道官は21日の記者会見で「私たちはモスクワでの会談に出席していないが、連絡は取っている。米国がシリア問題で排除されているということはない」と述べた。

 米国はシリア、イラクでイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)を掃討するため、2014年から米軍主導の有志連合による空爆を実施するとともに、アサド政権、ISと戦う反体制派を支援した。また、国連の仲介によりスイス・ジュネーブで行われてきた米欧中心の和平協議を重視してきた。

 しかし、アレッポで反体制派が敗北し、有志連合に参加するトルコもロシア主導の和平協議に傾斜したことは、オバマ米大統領が進めてきた戦略が事実上破綻したことを示している。トルコはシリアのクルド人勢力への軍事作戦を認めさせるのと引き換えに、ロシアが支援するアサド政権によるアレッポ制圧を容認したとの見方がある。

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