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田中角栄、小泉純一郎、宮澤喜一…政治家たちは酒と共に何を語ってきたのか – 田原総一朗×春香・クリスティーン対談

高千穂酒造の本格麦焼酎、「黒麹高千穂 白ラベル」「黒麹高千穂 黒ラベル」「高千穂 零」…。なかでも「高千穂 零」は、美味しさと飲みやすさを高い次元で実現した一品だという。

歴代の宰相の中には、酒を愛し、酒席で重要な決断を下した人物も少なくない。政治家たちは酒席の場で何を語ってきたのか。長年にわたり政治家とひざを突き合わせて取材を重ねてきたジャーナリスト田原総一朗氏に、政治好きで知られるタレントの春香・クリスティーンさんが聞いた。 【BLOGOS編集部PR企画】

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「朝まで生テレビ」は収録中でも飲酒OK?

田原総一朗氏(以下、田原):春香さんは、お酒はお飲みになる?

春香・クリスティーンさん(以下、春香):私はチビチビ・・・。田原さんは飲まれますか?

田原:僕はまったく飲まない。面白半分に飲んでいた頃もあったけど、好きになれなかったね。

春香:じゃあ政治家の方との食事会などでは、どうされてたんですか?

田原:向こうは飲んでても、僕は飲まない。昔は、「朝まで生テレビ」の本番中でも飲んでいる人がいたけどね。今も禁止ってわけじゃないんだけど、飲む人はそんなにいないかな。

春香:田原さんが取材した中で、お酒が好きだった政治家といえば、どんな方がいますか?

田原:宮澤喜一さんはお酒好きでしたね。僕は宮澤さんと十数年勉強会を続けていましたが、その時もお酒を飲んでましたね。でも宮澤さんは、あんまり酒癖が良くなかった。

春香:飲むとどうなるんですか?

田原:宮澤さんが、志賀直哉の「暗夜行路」と言い出したら、もう危ないので、「帰りましょう」といつもなっていたね。僕も「もう帰りなさい」と言っていた。あと、竹下登さんもよく飲んでましたね。

春香:やっぱり、普段お話されないようなことをお酒の場では話してくれたりするんですか?

田原:そうだね。お酒を飲むと、口が軽くなって、いわば本音を語るわけですよ。

春香:お酒の席で聞いた印象的なエピソードはありますか?

田原:色んなことがありますよ。例えば宮澤さんは、酒席でこんなことを言っていましたよ。

「日本人は、自分の体に合った洋服を作るのが下手だ。だけど、押し付けられた洋服に体を合わせるのはうまい」と。これは、憲法の話なんですね。日本が自分で作った明治憲法はあまり良くなかったけど、アメリカが作った、押し付けられた憲法に体を合わせるのはうまいなと。

春香:お酒を飲んだときに、そんな話をされてたんですね。

田原:宮澤さんは、高度経済成長の立役者となった池田勇人の弟子のような存在でしたが、お酒の席では池田さんに、「総理大臣になったらゴルフは辞めなさい」なんてことを言ってましたね。割に、言いたいことをズバズバ言う人でした。

小泉純一郎の名台詞「自民党をぶっ壊す」が生まれた場所は?

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春香:小泉純一郎さんはどうでしたか?

田原:ある時、中川秀直さん(※元自民党幹事長・現在は政界を引退)が「田原さん、飯を食おう」と誘ってくれたので、赤坂にある小料理屋の二階で飯を食ったんですよ。

そしたら、中川さんが「今、小泉純一郎は総裁選に出ようかどうか迷っている。これまで二回総裁選に出て惨敗した。今度負けたら政治生命終わりだ。田原さんどう思う?」と聞くわけです。

当時自民党は、田中角栄さんが作った経世会という派閥が強く、田中派の協力を得た人しか総理大臣になれなかった。橋本龍太郎さんも小淵恵三さん、森喜朗さんも田中派の全面協力を得て総理になった。

そこで僕は冗談半分で、「もしも小泉さんが田中派経世会と全面的に喧嘩する、『田中派経世会をぶっ壊す』みたいなことを言ったら僕は応援してもいいな」と言ったんです。冗談ですよ。当時は、とにかく田中派の時代で、自民党は「田中派じゃなければ政治家じゃない」というような状態でした。本当に喧嘩したら、それこそ政界にいられなくなるかもしれない。「それでも喧嘩したら支持するか」と中川さんが言うので、冗談半分で、「支持してもいいよ」と言ったんです。

すると、中川秀直さんが「ちょっと待ってて」といって部屋を出ていって、小泉純一郎さんを連れて戻ってきた。

春香:本人が出てきたんですね。

田原:それで本人に、もう一度同じ話をしたんです。「もし、田中派経世会と本気でケンカする。まともにケンカする。ぶっ壊すというなら、僕は支持する。だけど、本気でケンカしたら、アンタ政界にいられなくなるかもしれないよ」と。

そしたら、小泉さんが「殺されてもやる」と言ったんだ。「じゃあ支持するよ」と。そう言わざるを得なかったね。僕は、そこから後が、小泉さんが「言葉の天才」たるゆえんだと思った。選挙になったら、「田中派経世会をぶっ壊す」と言っても、一般的に分からない。だから、選挙では、「自民党をぶっ壊す」と言ったんです。

春香:有名な「自民党をぶっ壊す」というフレーズが生まれたのは、中川さんと小泉さんと田原さんとの食事会だったんですね。

田原:今思えば、その会だよね。その時はもちろん小泉さんも飲んでました。お酒が入ると本音をしゃべって面白いですよね。

田中角栄が自宅で飲みながら語ったこと

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春香:今は「田中角栄ブーム」ですけど、角栄さんとの思い出はありますか?

田原:田中角栄さんは、立花隆さんが「文藝春秋」に書いた記事がきっかけとなって失脚したんだけど、それから6年目に彼が初めて、マスコミのインタビューに応じることになったんです。そのインタビュアーをやったのが僕だった。

13時からやるというので、僕は13時前に目白の田中邸に行った。ところが、30分経っても、40分経っても田中さんは出てこない。僕はイライラして、秘書の早坂茂三さんに「何やってんだ一体!?」と聞いたんです。そしたら、早坂さんは、「実は昨日、田原総一朗に関する資料を一貫集めて来いといわれた」と答えたんですよ。

一貫っていうのは、3.75kg。インタビューするのは僕ですよ。彼は答えるだけ。ところがその彼が、僕についての資料を「一貫集めて来い」と指示して、それを朝から読んでいる。僕は、この時に「田中角栄って面白い人物だな」とつくづく思いましたね。

春香:結局現れたんですか?

田原:インタビューは約束の時間を40分ぐらい過ぎてから始まりましたよ。

春香:勉強家というかなんというか…。すごいですね。

田原:田中角栄さんは、「角福戦争」で佐藤栄作さんの後を福田赳夫さんと2人で争ったけど、こう言ってましたよ。

「福田赳夫は、東大を出て、大蔵省の局長までいった。だから、福田赳夫を囲む会というのが、大学、官僚、財界…で合計37もあって、そのすべてから福田赳夫に対する政治資金が出ている。それに対して、自分が関わっている会は二つしかない。一つは新潟県人会。もう一つは、西山小学校の同窓会だ」と。

田中角栄という政治家は、何かと「金権政治、金権政治」と言われるけれども、「福田赳夫さんは井戸が37もあるから十分、金が入ってくる。でも俺は井戸が二つしかないから、自分で掘らなきゃいけない」という話をしていました。

これは、目白の田中邸で田中さんが飲みながら話しているのを聞きました。

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春香:そういう場では、なかなか表で聞けない話が出てくるんですね。でもそれは、何回も会ってからの話ですよね?

田原:そうでしょうね。いかに関係が深くなるか。お互いを信用するかって話ですから。

春香:そうやって距離を縮める1つの手段としてお酒があるわけですね。

田原:お酒が入ることで、しゃべりやすくはなるだろうね。政治家は大体、酒飲むと思うよ。

春香:お酒に強い方が総理大臣になれたり…なんてことはあるんですか?

田原:それはわからないけど、政治家は飲んで乱れちゃダメだよね。

宮澤さんは、こんなことを言ってましたよ。「自分が料理屋でメシを食う。自分が仕切るようになるまでは、出席者の誰もが多分お金がどこから出ているか分からなかったんじゃないか」と。そういう時代が長かったと思うね。

僕は、宮澤さんとの勉強会含め色んな会をやってるけど、全部割り勘でしたよ。だから言いたいことが言えるわけだ。

春香:面白いですね。お昼に真正面からインタビューを申し込んでも、なかなか聞き出せない話がお酒の席では聞けるのですから。

プロフィール

田原総一朗(たはら そういちろう):早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。テレビ朝日系で87年より『朝まで生テレビ』、89年より2010年3月まで『サンデープロジェクト』に出演。テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞。『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』(講談社)、『誰もが書かなかった日本の戦争』(ポプラ社)など、多数の著書がある。

春香・クリスティーン(はるか くりすてぃーん): 1992 年スイス生まれ。2008年に単身来日し、タレント活動を開始。週に数回、永田町で国会論戦を見学することもあるほどの政治好きとして知られる。

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