今月初めに新聞各紙で一斉に報道されましたが、匿名による告発を受けて東京大学の複数の研究室で不正疑惑が持ち上がり、現在予備調査がされています。

東大:医学論文に不正疑惑 4研究室対象、本部が予備調査 - 毎日新聞  2016/09/01 
http://mainichi.jp/articles/20160901/k00/00m/040/177000c

論文不正調査、22本に広がる 東大  :日本経済新聞 2016/09/05
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO06910140V00C16A9CR8000

東大論文、別の11本にも不正疑い、予備調査開始:朝日新聞デジタル2016/09/05
http://www.asahi.com/articles/ASJ956WZ6J95UBQU009.html

 本調査が開始されるかまだ不確定ですが、STAP騒動で有名な元東大特任教授の上昌広氏によると、完全アウトな不正だとのことです。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47797

 新聞各社の報道では、匿名による告発があり予備調査に入ったという大学本部の発表と自社に送られてきた告発文を基にした報道があるのみで、識者・専門家に取材してコメントを取っているメディアは見当たりません。また、NHKでは報道自体がまったくされていないようです。STAP騒動では上昌広氏はマスコミに引っ張りだこでしたが、今回の不正問題についてはマイナーなネットメディアに記事が載っているのみです。

 科学の最高権威東京大学で起きた論文不正問題については、しっかりとした本調査を期待したいところですが、この不正疑惑に関して今までのところネット上でもあまり目立った議論は見当たりません。
科学ジャーナリストや研究者達の反応が、同じように匿名告発から始まったSTAP細胞論文不正問題の狂騒とこれほど違うのは一体どういうことなのでしょうか。


 STAP騒動初期からマスコミと研究者社会の問題を取り上げている「DORAのブログ」に今回の不正告発に関する詳しい記事がありますが、そ
の中でDORA氏はこう書いています。

http://blogs.yahoo.co.jp/nx3262p0yz057j/folder/79935.html
 「小保方氏の論文不正に対しては、場外乱闘も何でもありで、あれほど喧しく騒ぎ立てたマスコミも、この件に関してはいたって静かである。しっかし、東大の不正、巨悪に関しては見て見ぬふりしている人間が、「小保方の不正は許せん!」などと正義を気取って拳を振り上げてもなあ。しらけるよな。」

 結局、不正は許さないと言って小保方さんを叩いた人達は、何の権力もない個人に対しては徹底的に叩き続けても、権威・権力のある相手に対しては何もモノ申すこともないのでしょう。