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羊の夜をビールで洗う

シングルファーザーなプログラマーの子育て&暮らしのブログ。

なにくそっ、って気持ちは大事だと思うのです(齊藤孝さんの本の話)。

読書

朝の6時台にやっているNHK教育(Eテレ)の番組で「にほんごであそぼ」という番組があります。

 

www.nhk.or.jp

 

タイトル通り、日本語の題材を通じて、ふだんなかなか気付かない日本語の美しさを再発見しよう、というテーマの番組で、ちょうど朝の出勤前にやっているので、毎日楽しんでみています(前に同じ時間にやっていたクックルンも好きだったけど!)。

 

で、この番組に総合指導という役割で参加されているのが、齊藤孝さんという教育学者さんです。既に「声に出して読みたい日本語」などの多数のベストセラーを出されていますし、テレビでもよく見かける方なので、ご存じの方も多いかと。

 

 

齊藤さんの本には、ご専門の国語学と身体論を結びつけて「心地よく、楽しく」国語や教養を学ぶための方法が書かれた本や、持ち前の分かりやすい文体で「質問力」や「段取り力」など、ビジネススキルを高めるための持論がまとめられたビジネス書などがあります。

 

 

また大人が健全に生きていくための対応力を身につけるには、古典を読むことが重要である、という教養主義を持論とされており、ニーチェ、福沢諭吉、ゲーテなど、難解な古典の内容をかみ砕いて、人生のヒントが得られやすいよう再構成された新書を出されたりもしています。

 

 

そんな齊藤さんの本を私も何冊か読んで、教養に関する話も面白く読んだのですが、齊藤さんの考え方で好きだなぁ、と思ったものが、「ネガティブな刺激や不愉快な体験をパワー(パッション)に変えてしまおう」という考え方です。この考え方は「働く気持ちに火をつける」という本に書かれていて、なぜか長い間心に残ったので、今もこの本だけが手元にあります。

 

(齊藤さんの本の中ではあまり売れなかったのか絶版のようです...)

 

齊藤さん自身、今ではテレビに出演されているときの陽気な印象しかないのですが、下積み時代には、見たくもない豪邸を見せつけられて「くっそ〜」と止みがたい嫉妬心が燃え上がった、という体験をされたそうです。

 

また、ネガティブ体験を前向きな情熱に変えた偉人の例としては、夏目漱石を挙げています。夏目漱石は作家として大成する以前は、あやふやな気持ちで教師の道を選び、英文学者としてロンドンに留学した際にも、西洋本意を信条とする現地の学者に引け目を感じて、心理的な引きこもり状態にあったそうです。

 

そんな孤独の中で、漱石ははじめて文学に対して本気で向き合い、「自分本位」という考え方に到達し、文学を自らの手で再構成することを決意。帰国後に「坊っちゃん」や「吾輩は猫である」などの連載を開始したのだとか。

 

齊藤さんはこのようなエピソードを挙げた上で、自分は「そんなこと無理だ」「できるわけがない」と軽く見られるとかえってやる気になる。自分の仕事の七割くらいは、このネガティブな感情を燃料にしてきた、と書かれています。

 

私自身はと言えば、決してメンタルが強い方ではなく、いつも100%前向きなわけではないし、ひどく落ち込むことも多いのですが、この一節を読んだときに、「ほーなるほど。持っておいて損はない考え方だな。」と思いました。

 

実際、長い人生を生きていると、不愉快な体験や、異常なプレッシャーに晒される状況、というのは、どんな人でも一度や二度は発生すると思います。ですが、そういうときに神経を研ぎ澄ませてやりくりしたり、頭を振り絞って考え抜いたりしたら、その後に飛躍が待っている、ということは、私にも私の周りでもそれなりに起きている気がします。

 

齊藤さんの本は、難しいことを分かりやすくかみ砕いて説明する、という点でもいろいろ参考になることが多かったのですが、メンタルヘボくても、とりあえず「なにくそっ」って思ってみることは大事だ、と教えられたという点でも、自分にとって結構役に立ったんじゃないかな〜、と思っています。

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