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 日本からインドへの原発輸出に道を開く原子力協定に両国首脳が11日、署名したことについて、インドのメディアは「画期的」「歴史的」などと好意的に報じている。だが、同国の反核団体や原発予定地の関係者からは、批判や失望の声が相次いでいる。

 インドの反核運動の連合組織「核軍縮平和連合」は11日、「協定は、米国やフランスが建設する原発に不可欠な日本製原子炉の供給に道を開き、時代錯誤の原発建設拡大によって、インドの弱者を追い詰めるものだ」と批判する声明を出した。

 フランスによる原発建設が始まった西部マハラシュトラ州のジャイタプールで、漁民や農民の反対運動を指導するバイシャリ・パティルさんは「日本は広島、長崎、福島の経験があり、国内では多くの原発が止まったままではないか。あくまで首相たちの合意であって、日本人の民意ではないと思う」と話した。

 南部タミルナド州クダンクラムでは、ロシアの支援で大規模原発の開発が進む。反対運動を率いるウダイクマール氏は「戦時の原爆被害と原発事故をともに経験した世界で唯一の国の政府が、協定署名を決断するとは思わなかった」と失望感を示した。(ニューデリー=武石英史郎)

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