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<JR九州不通>損傷見落とし被害連鎖…利用者から怒りの声

毎日新聞 11/11(金) 22:15配信

 福岡、佐賀、長崎をつなぐ鉄道の動脈が10時間にわたって止まり、利用者の怒りの声が渦巻いた。架線の切断や列車のパンタグラフ損傷が見つかりJR鹿児島、長崎線の一部が不通となった11日のトラブル。JR九州によると、架線の1カ所の損傷が見落とされていたことで、被害が連鎖し大規模な運行障害につながった。

 「ご迷惑をおかけしました」。11日午後4時過ぎ、JR九州本社(福岡市博多区)で記者会見を開いた同社の福永嘉之(ひろゆき)取締役らは報道陣を前に深々と頭を下げた。

 11日午前5時42分ごろ、福岡県筑紫野市の鹿児島線天拝山(てんぱいざん)-原田(はるだ)間を通過中の普通列車の上部から突然、火花が上がった。原田駅で車両を確認するとパンタグラフが曲がっており、同区間の架線の「デッドセクション」と呼ばれる部分の損傷が判明した。

 ところが、後で調べたところ11日午前0時50分ごろに通過していた車両もパンタグラフを損傷していた。他にも2列車が通過してパンタグラフが壊れ、うちの1列車が長崎線の架線を損傷する結果となった。デッドセクションの点検は年に数回のみ。JR九州によると、今回のように損傷した前例はなかったという。福永取締役は「現時点で損傷の原因は分からない」と困惑していた。

 工学院大学の曽根悟特任教授(電気鉄道工学)によるとデッドセクションは架線の中で構造的に弱い部分。「日中に損傷が起きれば、電車の運転士が異常を発見しやすいが、今回は夜間で異常に気づかないまま何本も電車が通過してしまったのだろう」と話す。

 JR博多駅では利用者から苦情が相次いだ。福岡市東区の団体役員、大井信明さん(75)は「朝の通勤も普段の5倍ほどかかった。夕方は収まっているかと思ったが、こんなに支障が出ているとは」とあきれた様子だった。福岡市に出張に来ていた長崎市の女性会社員(43)は「少し点検すれば防げた事故ではないか。しっかりチェックしてほしい」と語気を強めた。【平川昌範、蓬田正志】

最終更新:11/11(金) 22:15

毎日新聞

現代奴隷の目撃写真
この2年あまり写真家のリサ・クリスティンは世界中を旅して、我慢できないほど過酷な現代の奴隷の現実を記録してきました。彼女はガーナの鉱夫やネパールでレンガを運び出す人々等、心に残る写真を紹介しながら、世界中で奴隷扱いされる2千7百万人に上る人々の窮状を訴えます。