ガッキー・ストーリー・キャラクターが秀逸~『逃げ恥』ブレークの三要因~

TBS『逃げ恥』HPより

唯一の上昇株

秋のGP帯民放14ドラマの初回を、視聴率・タイムシフト視聴率・F1数・満足度・(次回)見たい率でランキングすると、テレビ朝日『ドクターX』、日本テレビ『地味にスゴイ!』、TBS『逃げるは恥だが役に立つ』の3本が上位を占めた(詳細は「“極端”“過剰”あふれるドラマ界から“新たな月9”へ」)。

ところが3話までの視聴率でみると、上昇を続ける最優秀ドラマは『逃げ恥』だ。

『ドクターX』の視聴率は20.4%⇒19.7%⇒24.3%と途中やや下がった。『地味スゴ!』の率も12.9%⇒11.2%⇒12.8%と、大きく下がってはいないものの右肩上がりではない。3話目がプロ野球日本シリーズ「広島vs日本ハム」の裏という悪条件を跳ねのけた、『逃げ恥』の10.2%⇒12.1%⇒12.5%は快挙と言えよう。

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しかも上がり続けているのは視聴率だけではない。

データニュース社「テレビウォッチャー」は関東1000人のテレビ視聴状況を毎日追跡しているが、これによると満足度も3.94⇒4.00⇒4.06(5段階評価)と上がり続けている。この1年で3話まで視聴率も満足度も右肩上がりだったのは『逃げ恥』だけ。如何にユニークなドラマかが分かる。

特に高満足度を牽引しているのはF1とF2。前者は4.08⇒4.28⇒4.38、後者も4.13⇒4.20⇒4.20と、両層とも極端に高い評価をしている。夫=雇用主・妻=従業員という斬新な関係と、それでも徐々に互いを意識しだす妄想女子とウブ男という設定が、大いに受けているようだ。

「テレビウォッチャー」モニターの感想も好意的なものが多い。

「期待通り面白かった」24歳女

「ストーリー的にも、見ているだけでほのぼの胸キュンしてしまいます」28歳女

「いいね、シュール」31歳女

「契約結婚なのに、すごく人間味あふれる内容が面白い」34歳女

「よく見るようなベタなドラマでなく、新しい感じの脚本で面白かった」37歳女

原作は、月刊 「Kiss」 (講談社) 連載中の海野つなみの同名漫画。2015年に第39回講談社漫画賞 (少女部門) を受賞している人気作品。そして脚本は、『空飛ぶ広報室』『掟上今日子の備忘録』『重版出来!』など数々のヒットドラマや映画を手掛けた野木亜紀子。優れたストーリーが、多くの人の心をとらえたようだ。

若い男の心をゲット!

右肩上がりなのは、視聴率と満足度だけではない。実は若い男の視聴者も増やしている。

「テレビウォッチャー」によると、『逃げ恥』の接触者数は、1000人中で78人⇒97人⇒83人と推移している。『ドクターX』『相棒』に次ぎ、『地味スゴ!』と並ぶ数である。ただし『逃げ恥』だけの特徴もある。M1(20~34歳男)の数が、1人⇒5人⇒8人と増え続けている点である。

「ガッキーが適役で、可愛さを十分に生かせているドラマ」29歳男(1話目から視聴)

「ガッキーが良い」30歳男(2話目から視聴)

「新垣結衣がかわいすぎる。最後の、サザエさんのパロディが面白かった」33歳男(3話目から視聴)

ヒロイン新垣結衣の求心力が、M1視聴者の急増というドラマでは珍しい現象を引き起こしている。しかもガッキーの神通力はM1だけに留まらない。

「完全にガッキー目当て。でもそこそこ面白かった」46歳男

「新垣結衣がかわいい。契約結婚したい」42歳男

「ストーリーも面白いけどガッキーがめちゃくちゃ可愛かった」22歳女

「ガッキーがとにかくかわいい」46歳女

「新垣結衣主演でなければ見なかったドラマだ」67歳男

「ガッキーが可愛いのでつい見てしまう」69歳女

ガッキーは広い世代を虜にし、かくて途中から見始める人も続出。これが右肩上がりの最大の要因となっている。

キャラクターも重要!

『逃げ恥』右肩上がりの3つ目の要因は、登場人物のキャラクターだ。まず主人公2人。

新垣結衣演ずる森山みくりは、まじめで頑張り屋。就職活動で内定がとれずに大学院に進んだが、やはり全滅。仕方なく派遣社員になるも、すぐに派遣切りにあってしまう。「就職難」「派遣切り」という現代の課題にまともに直面している。仕方なく家事手伝いという就職をするが、そこから「仕事としての結婚」という突拍子もない提案をしてしまう。

その提案を受け入れたのは、IT会社につとめる地味なサラリーマンの津崎平匡(星野源)。35年間、彼女がいない「プロの独身」と自負している。性格は超まじめで、曲がったことが大嫌い、そして潔癖症。契約結婚ゆえに二人の距離を厳格に保とうとするが、自分の中の気持ちの変化に悶々としてしまう一面もある。「事実婚」「高齢童貞」と対峙する、社会実験の檻に入れられたモルモットのような存在だ。

こんな2人のキャラクターに対する視聴者の評価も上々だ。

「みくりと津崎のキャラクターが面白い」62歳女

「ガッキーが可愛くてしっかりものでステキ」28歳女

「クールな星野源さんのあたふたする姿は面白いし、ガッキーのドライぶりもいい」61歳女

「2人のキャラクターが面白くて楽しい」29歳男

主人公2人だけでなく、脇を固める登場人物のキャラクターも面白い。

2人の結婚を真っ先に不審に思った津崎の同僚のゲイ・沼田頼綱(古田新太)。料理上手で性格は穏やかだが、観察眼は鋭い。

津崎の会社の後輩でスーパーハイスペックイケメン・風見涼太(大谷亮平)。「結婚」 に対しては、役に立つ相手であればしてもいいと高飛車だが、2人に出会って気持ちに変化が生まれる。

みくりの伯母でバリバリのキャリアウーマン・土屋百合(石田ゆり子)。生涯独身で男性経験はない。「結婚はそのうち」と思っていたが出会いがなく今に至る。仕事は楽しいし今の自分に満足はしているが、寂しさを隠し切れない。

「古田新太のキャラクター設定が秀逸で、笑える」61歳女

「石田ゆり子さん、かわいい。出番をもっと増やして欲しい」42歳男

「百合とのシーンが自分も入り込める感じで好き。突拍子もない発言をするところが面白い」37歳女

「とにかくキャストが、みんな魅力的でずっとニヤニヤしながら見てしまう。最高!」42歳女

「ガッキー」「ストーリー」「キャラクター」と三拍子そろった『逃げ恥』は、「新垣結衣『逃げるは恥だが役に立つ』大ブレークの予感!」「やっぱり大ブレークの予感!~新垣結衣『逃げ恥』~」などの記事が早くから出ているように、かつての『家政婦のミタ』『半沢直樹』とは異なる新たな大ブレークのパターンを作り出すかもしれない。

「今期一番楽しみにしているドラマ」28歳女

「久しぶりにはまったドラマで次回が早く見たい」29歳男

「最近にはないサッパリドラマで見ていて気持ちがいい」33歳女

「ありえないストーリーだが、なぜか入り込める不思議な魅力がある」39歳女

草食系男女のさわやかドラマ。どこまで多くの人の支持を集めるのか、今後が楽しみだ。