日本ハム栗山英樹監督(55)が、初の日本一を勝ち取った。敵地2連敗スタートの後、早めの継投策を繰り出すなど積極的に動き、4連勝に導いた。就任1年目の12年日本シリーズで巨人に2勝4敗で敗れた雪辱を果たし、広島の夜空に8度舞った。また、日本一に投打で貢献した大谷へ向けた直筆の手紙を寄せた。

<栗山監督が大谷に向けた手紙>

 前略 

 大谷翔平様

 チームを勝たせろ!と入団以来ずっと

 言って来ました。

 2016年 日本一、一つの約束を果たしました。

 翔平にとってどんな一年だったのでしょうか

 さらなる成長のため、進むべき道が

 はっきり見え始めたシーズンになったなら

 本当に嬉しい限りです。

 いつも厳しいことしか言いませんが

 今日は一つだけ伝えます。

 翔平の道がどこにあるのか、翔平のファースト

 へ向かう姿、走塁にあると思っています。

 投手であっても常に全力で絶対に

 セーフになってやろうとする姿。

 シリーズでも初戦でベースを踏む際

 足首を軽く捻り心配しましたが、最後

 まであの全てをかけてファーストを駆け抜け

 る姿を貫きました。

 常に全力を出し尽くす魂。

 そんな姿にしか野球の神様は微笑み

 ません。野球の神様に愛されなければ

 天下は取れないのです。

 二刀流もその最も必要な魂があるから

 こそ成り立っていると思っています。

 これからが本当の大勝負です。

 成績が残り始めても、今の思いで野球に

 向きあっていけるかどうか、身体や技術は

 もちろん大切ですが、最も大切な魂を

 さらに強くしながら前に進めるかどうか

 です。

 まだまだありがとうとは言いません。翔平に始

 めて会った時に聞いた夢。それを実現した時

 みんなが“ありがとう”と口にするはずです。

 その時を待っていたいと思います。

     翔平

      “まだまだ”

 誰も歩んだことのない道は無限に広がっ

 ています。野球を愛してくれる人のため

 仲間のため、次代を担う子供達のため

 そして自分のため全力で走ってくれること

 信じています。

              早々

               栗山英樹(原文まま)

 シーズンが終わるとはいえ、チームの指揮官が選手個人に対して手紙を書く。むちゃなお願いだ。だが日本ハム栗山監督は応えてくれた。便箋5枚。ていねいにしたためていただいた。紙面に載るものだから、すべての本音は書けないだろう。それでも、行間から4年間ともに歩んだ大谷への愛情が伝わってくる。

 監督は選手を家族と言う。「野球の神様に愛されてほしい」。その思いは、大谷だけに限ったことではないだろう。この手紙を通じて、すべての“家族”へ、メッセージを送っているはず。そう考えると、筆を執っていただいたことにも納得がいった。【日本ハム担当・本間翼】