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インド洋で商船三井のコンテナ船"MOL COMFORT"が嵐で真っ二つ

2013年07月15日 | MOL COMFORT沈没

冒頭の事故は、一部の新聞でしか記事が出ていませんし、おまけに小さく扱われているので、知らない方も多いと思います。

しかし、2008年に就航した新しいコンテナ船が、荒天化のインド洋で船体が真っ二つに割れて沈没したというのは、積荷の損害も大きいし、それ以上に日本の造船技術に疑問符が付く重大事故です。

 

幸いなことに、乗組員(全員が外国人)は救助されて無事だということです。

コンテナの中には郵便物が積まれており、郵便局から補償のお知らせが出ています。

http://www.post.japanpost.jp/notification/productinformation/2013/0711_01_01.pdf

 

船名の“MOL COMFORT”または「エムオーエル コンフォート」で検索すると、国内外の多くのサイトから、沈没しかけている船の写真をヒットできます。また、商船三井(MOL)や三菱重工業のホームページには多くのプレスリリースが出ています。

商船三井 http://www.mol.co.jp/

三菱重工業 http://www.mhi.co.jp/

 

これらの情報をまとめると、このコンテナ船の名前は、 MOL COMFORT(エムオーエル コンフォート)”と言い、三菱重工業長崎造船所が建造し、20087月に就航、現在は商船三井が運航している船で、事故当時は4382個のコンテナを積み、日本から欧州に向かっていました。

 

荒天のインド洋を航海していた617日に、船体中央部に亀裂が生じ、その後船体中央部で2つの部分に破断しました。船体後部は漂流した10日後の627日に沈没、船体前部は別船に曳航されている途中に火事が発生し、711日にこちらも沈没しました。いずれも、沈没した海域の水深は30004000mと深く、引き上げは難しいようです。

 

この話を聞いて思い出すのは、19691月に日本のはるか東の海上で沈没し、31名が行方不明になった「ボリビア丸事件」です。ボリビア丸は、沈没の4年前に建造された新しい船で、事故当時はペルーから鉄鉱石を積んで川崎港に向かっていました。船体が沈没したので、原因は明確になっていないようですが、荒波による金属疲労と言われています。

 

今までに、中国や韓国のコンテナ船で、船体が真っ二つに破断したことはあるのでしょうか?この事件の対応を誤ると、日本の造船業に打撃を与えかねません。是非、原因を突き止めて、改善を図ってほしものです。

 

2013.07.15

 

写真が見られるサイトなど、情報を追加します。

 

亀裂の写真、沈没海域、などがわかるサイト:

http://gcaptain.com/mol-box-ship-suffers-broken-back-sinks-off-yeme/

 

618日のThe Indian Expressです。真っ二つに割れる寸前の写真のアップです。http://www.indianexpress.com/news/merchant-vessel-mol-comfort-splits-into-two-off-mumbai-coast-crew-rescued/1130174/

漂流した海域がわかります。

http://www.odin.tc/2013/molcomfort.htm

航跡や火災の写真が載っています。動画もありますが、非公開で見られません。

http://empire-logistics.org/news/mol-comfort/

 

船体前部のコンテナが火災で焼け落ちて沈没寸前の写真、船体が折れた海域と沈没海域がより分かり易く載っています。(このサイトは削除されたようです。2016.01.12)

http://www.logisticsmediaindia.co.in/articles/mol-comfort-finally-gives-up

 

船体前部のコンテナの火災の様子、および放水中の様子が出ています

http://www.seanews.com.tr/article/ACCIDENTS/104608/

画面左下の“HOT NEWS”の“MOL COMFORT”という文字が入った写真だけをクリックしてください。他の記事もあるので、注意。

 

中央部の亀裂がよりアップで見られます。(このサイトは削除されているので見ることが出来ません。2016.01.12)

http://www.heavyliftspecialist.com/accidents/fully-cellular-containership-mol-comfort-90613-dwt-reportedly-broken-metre-seas/

 

船体前部の火災と放水の、数枚の写真が見られます。

http://forum.shipspotting.com/index.php?topic=12017.90

 

船体後部の沈没の写真や船体前部の火災と沈没の写真が25枚、掲載されています。

http://www.shipwrecklog.com/log/tag/mol-comfort/

 

この“MOL COMFORT”と同じシリーズのコンテナ船(全部で6隻ある)は、その船体の一部に新素材の高張力鋼板を初めて使用したと指摘しているサイトがあります。今の時点では、これが原因とも何とも言えない話ですが。

http://blog.livedoor.jp/xesea/archives/1866472.html

 

このサイトが指摘している高張力鋼板を紹介している三菱重工技報です。http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/443/443028.pdf

 

コメントすべきか迷いますが、この船“MOL COMFORT”にシリアの反政府軍向け武器・弾薬が積まれていたので、政府軍を支援するロシアが沈めたという話を載せているサイトがいくつかあります。

話としては面白いかも知れませんが、技術的な問題を覆い隠すようなことにならないようお願いしたいものです。

 

2013.07.19

 

続編はこちら

 

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