姉なるもの-儀式みたいなモノ-
「夕君…絶対、絶対手離さないでね!?」
「大丈夫!大丈夫ですから!」
お姉ちゃんから発せられるとは思えない声に、僕に返答の選択は無かった。
とにかくお姉ちゃんの言う通りに動く。それに尽きる。
しかし僕の手が掴んでいる処。
それはお姉ちゃんの手では無い。
湯気により仄かに紅く染まった肢体の臀部分、
腰骨の辺りだった。
少し視線を下げればお姉ちゃんのお尻が見えてしまう。
僕は必死に視線を上に向けた。
「それで夕君、これから腰を下ろして良いの?」
「はい、僕が支えてますので…。ゆっくり。」
「うぅ…怖いわ…。」
僕と出会ったあの日。
この世の歪なものを全て集めた様な悪魔を怯むことなく打ち倒したお姉ちゃん。
そんなお姉ちゃんがこんなにも怯えている相手。
それは…………。
お姉ちゃんは入浴に挑戦していた。
いつもはシャワーで済ましてた僕達。
でも今日は買い物の途中に突然の豪雨に見舞われてしまった僕達。
夏とはいえ冷え切ってしまった身体では風邪を引いてしまう。
そこで僕は入浴を提案した。
しかし水嫌いなお姉ちゃん。
「怖いから嫌っ!」
プイッとそっぽを向くお姉ちゃん。
庭にあるホースで水遊びは楽しそうにしてたけど、浴槽にお湯を張るって入るのは怖いとのことだった。
でも、お姉ちゃんの身体も雨水で濡れ冷たくなっていた。
神様でも風邪を引くのだろうか?
そんな疑問もあったけど、お姉ちゃんのことを考えなんとか説得しようとした僕。
そこでお姉ちゃんが出した提案が。
「じゃあ…。夕君と一緒なら入る。風邪を引かないための儀式みたいなモノなのでしょ?」
そして現在に至る。
僕の支えを使ってゆっくりと腰を下ろしていくお姉ちゃん。
「その調子です。そのまま…そのま」
お姉ちゃんの誘導を続けようとした僕の口。
それが柔らかいモノに塞がれた。
お姉ちゃんのお尻だった。
恐怖心からか、だんだんと腰が引けて来てしまったお姉ちゃん。
自然と僕の身体にお姉ちゃんの臀部が近付いて来たのだ。
モチモチとして口の中に滑り込むように口を覆った。
家のお風呂もそこまで小さい訳では無いけれど、僕とお姉ちゃん2人でしっかりと入るには容量が少なかったみたい…。
「んっ!おねぇっん…。ねぇっ…。」
お尻で口を塞がれてしまった僕。
必死でそのことを伝えようとするけれど、お姉ちゃんはそれが合図だと思ったのか、より一層体重を預けて来た。
そうこうしているうちに、僕の顔はお姉ちゃんのお尻の割れ目にスッポリとはまってしまった。
「ひやっ!??」
お尻に当たる僕の吐息で非常事態にようやく気付いたのか、お姉ちゃんは一気に立ち上がった。
支えるモノが無くなった僕の身体は派手に浴槽に滑り落ちた。
「ゆ、夕君!」
お姉ちゃんの声がお湯の中でも聴こえた。
それくらい大きな声を出したのだろう。
「夕君!!大丈夫!??」
一気に身体を湯船から引き戻される僕。
お姉ちゃんが僕の身体を抱え上げていた。
「ごめんね!夕君!お姉ちゃんせいで!」
大変な事をしてしまったとばかりに慌てふためくお姉ちゃん。
「だ、大丈夫!滑っちゃっただけですから!」
「本当に?苦しくない?」
「大丈夫です!そんな事よりお姉ちゃん…」
「うん?なぁに?」
「ふふ…。ちゃんとお風呂に入ってますよ。」
「え…?」
慌てて僕を助けようとしたせいか、知らぬ間にしっかりと湯船に入っていたお姉ちゃん。
お姉ちゃん自身も全く気が付かなかったみたい。
「儀式…成功ですね。」
「あ!あ!夕君!お姉ちゃんやったよ!お風呂入れたよ!凄い凄い!夕君のおかげだよ!」
お姉ちゃんは母親に褒められた子供の様に満面の笑みで喜び、そ醒めやらぬ勢いのまま僕を抱きしめた。
今度は上半身の双丘が僕の顔を覆った。
く、苦しい…。
でもちょっとだけ嬉しい…。
でもこのままじゃまずい…。
僕の下半身の事情。
先ほどのお尻の件の事もあり、立派に反応してしまった。
お姉ちゃんにバレてしまうのは恥ずかしい。
必死の思いでお姉ちゃんの双丘から顔を離す。
「お、お姉ちゃん!こ、これで儀式は成功だよ!この儀式は男の人が先に浴槽から出ないといけないんだ!お姉ちゃんは僕の後に出て来てね!」
それだけ早口で告げると、名残惜しそうなお姉ちゃんに有無を言わせず、前屈みで浴室から逃げ出した。
なんとか下半身の事情は悟られずに済んだみたいだった。
「心臓に悪い…。身体にも…。」
僕も健全な14歳。
身を持って再確認した。
その日の夜。
いつもの様に寝室で布団を二つ並べて、床に着いた。
虫の鳴き声と夜風が心地よかった。
お姉ちゃんと談笑し、そろそろ本格的に寝ようと提案した時だった。
「ねぇ…夕君?」
お姉ちゃんの声。
なに?と返答をしようとする前にお姉ちゃんが続けた。
「今日は儀式が成功して本当に嬉しかったわ。ありがとう。また一つ出来ることが増えたの。本当にありがとう。それでね…。」
「?」
「お姉ちゃんの肢体で夕君が興奮してくれたのも嬉しかったわ。お姉ちゃん夕君が望むなら…。いつでも…。」
お姉ちゃんは暗闇の中で慈愛に満ちた目で僕を見つめていた。
その意味を理解し、顔が真っ赤に染まるのをお姉ちゃんに悟られない様にする事しか出来なかった。
Twitterにて姉なるものアカウント様より許可を得て執筆させて頂きました!
なるべく原作の世界観を崩さず、設定や一人称、喋り方など気を付けて書いたつもりですが、何か違和感等あったらご指摘をお願いします。
夕君と千夜ちゃんがいちゃいちゃする話が書きたかったのです!
千夜ちゃんはあんなに強い女神様だけど、水が苦手であるという事で、今回はお風呂に挑戦してもらいました!
お色気シーンも想像しやすかったです!
千夜ちゃんのお尻。お尻フェチの私にはたまらないです。
前回の話は暗い表現が多かった気がするので、今回はあくまでほのぼのとしたものを書きたかったのでした。
どうでも良い話ですが、千夜ちゃんの体を表現する時は'肢体’夕君の体は‘身体’と書く事にしました。千夜ちゃんの裸体が少しでも神々しく感じられたら幸いです。夕君の裸体もある意味美しいですが。
12月には姉なるもののコミック発売が決まっているようです。本当に楽しみですね。
早く千夜ちゃんと夕君に会いたいです。
椎菜 恋
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。