とある事情で、最近「妖怪」に関する情報を集めていたのですが、その際Wikipediaにて『ろくろ首』に関する面白い小ネタを発見致しました。
『ろくろ首』は妖怪ではなく、病気の一種だったというものです。
妖怪『ろくろ首』とは?
日本の妖怪の代表選手『ろくろ首』を知らない方はいないかと思います。
一見普通の人間のようなのに、首がモチのようににゅるんと伸びるアレです。
この『ろくろ首』、名前の由来は、長く伸びた首の見た目がろくろで伸ばした陶器の感触に似ていることや、井戸のろくろ(滑車の部分)や傘のろくろ(傘の開閉の仕掛け部分)に似ているなど様々な説があります。
が、やはりいちばんしっくりくるのは一番目の説のこれ↓
やわらかさといい、すべすべ具合といいい、にゅるんと伸びた女性の細い首のイメージにピッタリです。
2タイプの 『ろくろ首』
ところで『ろくろ首』にはこのような首が伸びるタイプと、首だけが彷徨う抜けタイプ(抜け首)の2タイプがあります。
抜けタイプ(抜け首)の特徴
こちらの首が抜けるものの方が、ろくろ首の原型とされている[7]。このタイプのろくろ首は、夜間に人間などを襲い、血を吸うなどの悪さをするとされる。首が抜ける系統のろくろ首は、寝ている(首だけが飛び回っている)ときに、本体を移動すると元に戻らなくなることが弱点との説もある[8]。
平将門の首の怨霊などもこの抜けタイプかと思われますし、『抜けタイプのろくろ首』は意外と凶悪な性質を持っているようです。
『抜け首タイプ』の特徴を図にしてみました↓
凶悪そうな割に、本体を移動すると首が戻れなくなるとか、このマヌケな感じが憎めません
『抜け首タイプのろくろ首』が登場する文献
抜けタイプが登場する物語 | 作者 | 詳細 |
曾呂利物語 | 曾呂利新左衛門
(そろり・しんざえもん) | 女性の魂が睡眠中に抜け出す |
諸国百物語 | 著者、編者ともに不詳 | 女性の魂が睡眠中に抜け出す⇒この女は罪業を恥じて夫に暇を乞い、髪をおろして往生を遂げたという
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北?瑣談 | 橘春暉 | 寛政元年に越前国(現・福井県)のある家に務めている下女が、眠っている間に枕元に首だけが枕元を転がって動いていた話を挙げ、実際に首だけが胴を離れるわけはなく、魂が体を離れて首の形を形作っていると説明している[10]
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古今百物語評判 | 山岡元隣 | 吉野山の奥地にある「轆轤首村」の住人は皆ろくろ首であり、子供の頃から首巻きを付けており、首巻きを取り去ると首の周りに筋があると記述されている[12]。 |
甲子夜話(続編) | 松浦静山 | 、常陸国である女性が難病に冒され、夫が行商人から「白犬の肝が特効薬になる」と聞いて、飼い犬を殺して肝を服用させると、妻は元気になったが、後に生まれた女児はろくろ首となり、あるときに首が抜け出て宙を舞っていたところ、どこからか白い犬が現れ、首は噛み殺されて死んでしまったという[13]。 |
蕉斎筆記 | 平賀蕉斎 | ある寺の住職が夜寝ていると、胸の辺りに人の頭がやって来たので、それを手にして投げつけると、どこかへ行ってしまった。
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耳嚢 | 根岸鎮衛 | ろくろ首の噂のたてられている女性が結婚したが、結局は噂は噂に過ぎず、後に仲睦まじい夫婦生活を送ったという話がある。 |
和漢三才図会 | 寺島良安 | 「飛頭蛮」の表記をあて、耳を翼のように使って空を飛び、虫を食べるものとしているが、中国や日本における飛頭蛮は単なる異人に過ぎないとも述べている[15]。 |
怪談 | 小泉八雲 | もとは都人(みやこびと)で今は深山で木こりをしている一族、と見せかけて旅人を食い殺す |
伸びタイプの特徴
『ろくろ首』と聞いて一般的にイメージされるのはこちらの『伸びタイプのろくろ首』かと思います。
『伸びタイプのろくろ首』は、実際の病気が元になっているものや、魂(エクトプラズム)が体から抜け出たとされるものなど、抜け首タイプに比べてかなりおとなしめです。
『伸びタイプのろくろ首』が登場する文献
抜けタイプが登場する物語 | 作者 | 詳細 |
武野俗談 | 馬場 文耕 | |
閑田耕筆 | 伴蒿蹊
(ばんこうけい) | |
夜窓鬼談 | 石川鴻斎 | |
甲子夜話 | 山岡元隣 | ある女中がろくろ首と疑われ、女中の主が彼女の寝ている様子を確かめたところ、胸のあたりから次第に水蒸気のようなものが立ち昇り、それが濃くなるとともに頭部が消え、見る間に首が伸び上がった姿となった。 |
列国怪談聞書帖 | 十返舎一九 | 遠州で回信という僧が、およつという女と駆け落ちしたが、およつが病に倒れた上に旅の資金が尽きたために彼女を殺した。後に回信は還俗し、泊まった宿の娘と惹かれ合って枕をともにしたところ、娘の首が伸びて顔がおよつと化し、怨みつらみを述べた。 |
閑田耕筆 | 伴蒿蹊 | 新吉原のある芸者の首が寝ている間に伸びたという話を挙げ、眠ることで心が緩むと首が伸びる体質だろうと述べている[19]。
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口承 | 岐阜県の明智町と岩村の間の旧街道 | ヘビが化けたろくろ首が現れたといわれている[20]。 |
口承 | 長野県飯田市の越久保 | 人家にろくろ首が現れるといわれた[21]。 |
口承 | 明治初期に大阪府茨木市柴屋町の商家 | 夫婦が、娘の首が夜な夜な伸びる場面を目撃し、神仏にすがったが効果はなく、やがて町内の人々にも知られることとなり、いたたまれなくなってその地を転出し、消息を絶ったという[22]。 |
妖怪『ろくろ首』は、実は病気が元ネタ?!
このように妖怪として語り継がれてきた『ろくろ首』ですが、『妖怪としてのろくろ首』を否定する説は昔からあったようです。
妖怪じゃなくて実は心霊説
『甲子夜話』と、前述の『北?瑣談』で体外に出た魂が首の形になったという話は、心霊科学でいうところのエクトプラズム(霊が体外に出て視覚化・実体化したもの)に類するものとの解釈もある[18]。
妖怪の存在を否定している代わりに心霊現象を肯定してるところがなんとも……
夢があっていいじゃないですか;;
妖怪じゃなくて実は病気説
信憑性がある説がこちら。
こういった症状が『ろくろ首』として、勘違いされていたというもの。
また、こちらは創作ではありますが、『妖怪ろくろ首』を現実の存在としてリアルに描写しています。
夢野久作の小説『ドグラ・マグラ』においては、登場人物の正木博士が「ロクロ首の怪談は、夢中遊行(睡眠時遊行症)状態の人間が夜間、無意識のうちに喉の渇きを癒すために何らかの液体を飲み、その跡を翌朝見つけた人間がそれをロクロ首の仕業であるとした所から生まれたものである」という説を立てている。
他にも
酷使された末に腺病質となって痩せ衰えた遊女が、夜に灯油を嘗めている姿の影が首の長い人間に見え、ろくろ首の話のもとになったとする説もある[13]。
なんてのもあるし、妖怪や幽霊を現実的に解釈するのがネタになった話も多そう。
実際の病気が元になって誕生した妖怪も居るでしょうし、事実は小説より奇なりってことですかね。
というわけで、本日は偶然発見した『ろくろ首』の面白小ネタをイラスト付きでまとめてみました。
吸血鬼や、河童、天狗なども面白そうな元ネタがありそうですので、機会があったらまた同じ方式でまとめてみたいと思います。
でっは〜ノシ♪
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